27話 敵のアジト
エレーナさんを助けるために、ジークの過去を見る魔眼を使って、場所を特定するべく、彼女の部屋に向かった。
とはいえ、このまま行っても入れるわけがないので、俺たちは、透明化の魔法で姿を消し、今、彼女の部屋に入っている。
しかし、予想以上に見張りの騎士が多いな。さすがは、王に最も近いと言われている貴族の屋敷といったところか。
「・・・・・・じゃあ、ジーク、頼む」
「おう、任せろ!」
そして、ジークが、魔眼に魔力を込め始める。それにしても、本当に、その魔眼、羨ましいな。正直、俺も欲しい。
「・・・・・・見えた!」
「本当か!」
「ああ、どうやら、昨日の10時ぐらいは、まだ無事みたいだな・・・・・・いや、待て、ドアが開けられた!? エレーナ様が臨戦体制に入っているが、この族、一瞬で、エレーナ様を眠らせてやがる!?」
あのエレーナさんを、一瞬で眠らせたということは、俺の想像よりも遥かに手強い連中かもしれないな。ジークとヘレンを連れて行くのはやめておいた方が良さそうか。
「それで、族の向かった方向は分かるか?」
「い、いや、流石に、そこまでは、分からない。この部屋にある物じゃ、分かっても部屋の中だけだ。向かった先を知りたいなら、窓の外にある物の過去も見ないと行けない」
「じゃあ、過去の映像を追う形で、行くことは可能か?」
「・・・・・・したことがないから、なんとも言えないが、おそらくできない」
「理由を聞いてもいいか?」
「簡単な話だ。まず、この魔眼は、使うのに必要な魔力が多い。だから、そんな頻繁には使えない、もし使えば、少なくとも俺は確実に死ぬ」
なるほど、そういうことなら、手はあるな。
「なあ、ヘレン、ジークに魔力を注ぐことができたりするか?」
「え? ま、まあ、できなくはないけど、どうして?」
すると、何かを察したように、ジークが俺近づいて、耳のそばで囁くように言ってきた。
「おい、まさか、お前・・・・・・!」
「ああ、そのまさかだ。ヘレンの魔力は、正直底が知れない、だから、魔力を注いで貰えば、お前の魔眼もずっと使えるんじゃないか?」
「ねえ、何をこそこそ話してるの?」
「・・・・・・!? とにかく、頼んだ、ジーク、ヘレン!」
そして、ジークが捜索を、ヘレンが魔力供給を続けることで、長時間にも及ぶ過去の魔眼の行使が可能となり、族のアジトも見つけることができた。
しかし、まさか、族のアジトが邪神ハデスの遺跡とはな。邪神ハデス、数100年前に人はおろか、魔族、神、精霊に至るまで、大量虐殺を繰り返してきた、まさに邪悪の化身とも言えるような神、あまりの残虐さに、前世の俺がこの遺跡に封印したのだ。ハデスを崇める宗派は、まだ残っていると聞いていたが、まさか、今回の族もそれと関わりがあるのだろうか。
まあ、今は、そんなこと気にする余裕はないし、エレーナを救出してから、じっくり聞き出すとするか。
「じゃあ、行ってくる、2人はここに残っておいてくれ」
「な、何言ってるの! 1人じゃ流石のガイアも危ないよ! 私たちも一緒に・・・・・・!」
「その気持ちだけ受け取っておくよ。それに、ただ、待ってって言ってる訳じゃない。ここに、誰も近づかないようにして欲しいんだ。もし、全員入っちゃったら、外にいる仲間に閉じ込められた時、もう全て終わりだからね」
「それも、そうだな。分かった、ここは任せろ! だけど、無理はするなよ!」
「ガイア、気をつけてね!」
「うん、そっちもな! じゃあ、行ってくる!」
俺は、ハデスの遺跡に足を踏み入れた。魔力の反応から、エレーナさんがここにいるのは、まず間違いはない。
そして、俺は絶対に助けると決意し、先に進んだ。
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