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19話 入学試験



 入学試験当日。

 俺とヘレンは、入学試験の会場であるセントラル魔法学院に来ていた。朝、行く前に母さんや父さん、ティオさん、それと村の人たちが頑張れって言ってくれたから、絶対に受かって、皆んなを報告しないとな。


「こ、ここが、セントラル魔法学院、思ったよりも、大きいわね」


「うん、そうだね、確か、ここは、昔は、お城として使われてたらしいよ」


というか、ここって、前世の俺の城だったんだな。さすがに、改装されて、前よりも綺麗になってるけど。


「ねえ、ガイア、人いっぱい、だね」


「う、うん、やっぱり、こんなにいると緊張するね」


しかし、流石は、貴族が多く集まる学院だな。皆んな、それなりの魔力を持っている。ただの村人じゃ太刀打ちできないな、これは。まあ、俺とヘレンは別だけど。


「だ、大丈夫かな。何だか、不安になってきた」


「大丈夫だよ、ヘレン! 今までの修行を思い出して! あんなに頑張ったんだから、きっと合格できる!」


「・・・・・・うん、そうだね、頑張ってみる!」


まあ、ヘレンは教養はあるし、魔法操作も最初に比べると随分と精密になってるから、心配しなくても合格できるだろう。


「じゃあ、行こうか、ヘレン!」


「うん、ガイア!」


そして、俺たちは、最初にある筆記試験の教室へと向かった。教室は、教師の机を中心に下から上へと階段のようになっていた。ここが学院なのか、何だか新鮮だな。前世では、学校なんて行ったことなかったから。


すると、試験官のような人が教室に入ってきた。きっと手に持っているのが試験問題だろう。


「受験生の皆さん、初めまして。本日の試験官を務めさせていただくことになりました、シャルロット・オーカスです。では、今から、試験問題を配りますね」


そうして、シャルロット先生は、試験問題を配っていった。試験問題を見た受験生たちが皆苦悶の表情を浮かべている。そんなに難しいのか、と思いながら、渡された試験問題を見てみたが、別段、難しいとは感じなかった。むしろ、簡単すぎるのではないか。なぜ、みんなは、こんな問題に、あんなに苦しそうにしているのだろうか。俺には理解不明だ。俺の隣のヘレンも周りを見て、不思議そうな顔をしていた。どうやら、ヘレンも思うことは一緒だったようだな。


そうして、筆記試験が終わった後、俺たちは実技試験を受けるため、学院の練習場に向かっていた。案内しているのは、筆記試験の時と同じシャルロット先生だ。


「・・・・・・ここが、実技試験の会場です。では、皆さん、頑張ってきてください〜!」


あれ、あの人が試験官じゃなかったのか、てっきり実技試験もあの人かと思っていたが、少し落ち込むな。まあ、試験官は誰でもあまり変わらないか。


そして、俺たちは、実技試験の会場に入っていく。


「・・・・・・受験生諸君、良くぞ、来た! 私が、この実技試験の試験官、ドルト・マースリーにして、現魔法師団の団長である!」


この人が魔法師団の団長か。道理で、他の先生たちとは、魔力の量と質が桁違いなわけだ。まあ、それでも、俺とヘレン程ではないけどな。


「じゃあ、ここの的に、魔法を撃ってくれ! 魔法の種類は問わない! 各自、自分の得意な魔法で挑むように!」


なるほど、結構実技試験も緩いんだな。こんなに試験を簡単にして、この学院は大丈夫なのかな。


「では、1番から順番にどんどん撃ってくれ!」


そして、皆んな、各々の魔法を撃っていく。全部、まあまあの威力だな。その中で、一際強い魔力反応を感じて、そちらを見てみると、そこには、まさに美少女と呼べるほどの子が魔法を撃っていた。何者だ、あの子? 俺やヘレン以外にも、あそこまでの魔法を使える人がいるとは、正直驚きだな。


「さすがは、エレーナ様、お見事です!」


「これで、ブラッド家の将来も安泰ですね!」


その子の横にいる2人の少女がそんなことを言っている。というより、ブラッド、ということは、前世の俺の子孫か。どうやら、かなりの実力のようだな。魔力操作の精密さは、俺と同等ぐらいか。魔力量は俺より少し少ないぐらいだが、大した問題にはならない。やっぱり、どの時代にも傑物はいるんだな。


そんなことを考えていると、どうやら、もう俺の番のようだ。ここは神級魔法を使うとするか。


「・・・・・・ゴッドファイアアアアアァ!!!!」


「・・・・・・っ! これは!? クッ! ゴッドウォーター!!」


俺が放った炎神の魔法は、どうやら、威力が強すぎたのか、全てを燃やし尽くす勢いで、周囲に広がった。そして、それは、ドルト先生の手によって、消された。というより、ドルト先生、さっき水神の魔法を使ったよな。まさか、先生も神級の魔法を使えるなんて、本当に、この時代は優秀な人が多い。


「・・・・・・?」


何やら、視線を感じるが、何だ。そう思いながら、視線を感じる方を振り返ると、さっきのエレーナという子が俺をじっと見ていた。


「・・・・・・」


「どうしたんですか、エレーナ様? 彼方の少年が何か?」


「・・・・・・エレーナ様?」


「・・・・・・何でもないわ。さあ、あなたたち、早く行きましょう」


本当に何だったんだろうか。エレーナさんに気を取られているうちに、どうやら、実技試験は全員終わったようだ。何か、ヘレンが若干落ち込んでいるが、何があったんだ。


「・・・・・・な、なあ、ヘレン、何かあったのか?」


「あ、ガイア、あのね、実は・・・・・・」


なるほど、どうやら、緊張して、今まで出来ていた魔力操作と制御ができなくなってしまい、魔法の威力が強くなり過ぎてしまったようだ。よく見るとあちこちに焼き焦げた跡がある。


「ま、まあ、ヘレン、そんなに気にしなくてもいいんじゃないかな? 魔法の威力とか種類とかは決められてないんだしさ!」


「で、でも、学院のものに、傷、つけちゃったから・・・・・・」


ヘレンは、真面目だな、まあ、そこが良いところなんだけど。


「だ、大丈夫だよ! ここは、魔法学院、たとえ、物が壊れたり部屋が壊れたりしても、先生たちが直してくれるから! だから、元気出して! それに、俺なんか、魔法の威力が強すぎて、先生に強引に消されたんだぞ。それに比べれば、ヘレンの魔法なんて大したことないよ」


「・・・・・・っ! あ、ありがとう、ガイア」


少し、顔が元気になってきたかな。たぶん、もう大丈夫だろう。それに、魔法の威力から考えて、おそらく合格はしているだろうしな。


そして、俺たちは、合格発表があるまで、最初の教室で待っていたのだが、そこでも、時折、エレーナさんが俺の方をちらちらと見てくる。本当に俺は何をしたんだろうか。全く覚えがない。


そんなことを考えていると、もう合格発表の時間になったようだ。だから、俺たちは、校門前の壁に張り出された合格発表の紙と受験番号を照らし合わせていた。その結果を見て、飛び上がるような勢いで喜んでいる人や悔しそうでその場から走って帰る人、その場に蹲って泣いている人など、さまざまな人がいた。俺とヘレンはというと、2人とも、特待生のところに番号があった。


「や、やった・・・・・・やったよ、ガイア! 受かった!」


「うん、俺も! 頑張った甲斐があったな!」


受かったことをヘレンと喜んでいると、放送がかかった。


「本日試験に合格された人は、西にある体育館にお集まりください」


「じゃあ、ヘレン、行こっか」


「うん! 行こう!」


そして、俺たちは西の体育館に向かい、扉が開いていて、学院の生徒っぽい人が案内していたので、中に入った。他の受験生たちも続々と入っていく。


「・・・・・・皆さん、試験合格、誠におめでとうございます! 私は、学院長のレイン・フォードです! これから、皆さんに本学院の説明を行いたいと思います!」


この人が学院長なのか。まだ、若いのに凄いな。見た目的には20代みたいだけど、もし、本当にその歳で学院長なら相当優秀だったってことだな。


「はい、まず、この学院は、全寮制で、卒業するまでは、出ることが出来ません! ですが、安心してください! 学院の中には、ありとあらゆる施設が併設されているので、生活には何ら支障はありません! 後、家族に直接会うことは出来ませんが、魔法通信でなら会話は可能です! さて、では、次は、と言ってもこれが最後なんですけどね・・・・・・学院のシステムについてお話しします。学院では、魔法はもちろんのことですが、武術いわゆる護身術の授業も含まれています。決して魔法だけで全て決まるということではありません。魔法が使えなくなった時に、最低限の護身術は覚えておかないと命も危ういですからね〜。なので、万が一の事態に対応でき、かつ、力の使い方を間違えない魔法使いに育成するというのがこの学院の教育方針なんです! まあ、魔法学院と名乗っている以上、魔法の評価が主な成績評価になるんですけどね〜。それで、試験についてですが、今回は秘密です! 詳細は、入学式の時に担任の先生に聞いてくださいね」


なるほど、この学院は護身術も教えてくれるのか。それは、かなりありがたい。試験のことを聞けなかったのは残念だが、まあ、入学式の時に教えてくれるっていうし、問題ないだろう。というより、いつが入学式なんだろうか。


「では、皆さん! 明日の入学式に備えて、今日は早く帰って、早く寝てくださいね! くれぐれも寝坊することのないように!」


明日が入学式なのか。結構早いんだな。前世では、試験に合格して、入学式まで2週間もかかっていたのに、やっぱり、時代が進むと色々変わるんだなあ。


そして、合格者への説明会は終わり、皆んな、次々に体育館から出て行った。もちろん、俺たちも。でも、このまま帰るのも忍びないし、せっかくの王都なんだから、少しぐらい観光したいよな。ヘレンはどうなんだろうか。


「じゃあ、ヘレン、俺たちはこれからどうする? せっかくの王都だし、その辺を散策しないか?」


「散策、それって、デー・・・・・・ううん! やっぱ、何でもない!! それより、そうね、せっかく王都に来たんだし、このまま帰るのも勿体無いわね! 王都の街がどんな感じか少し見ておきたいわ!」


というか、ヘレン、今デートって言いかけなかったか。それに、何か口調が焦った感じになってるし。ま、まあ、俺もヘレンと2人きりで街を散策できるのは正直嬉しいし、こういうのデートって言えなくもないんだろうけど、やっぱり、デートってことにしてしまうと、何か恥ずかしいし、別に深く考える必要もないか。


そして、俺たちは、王都の街を見て回ることになった。



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