1話 新たな人生
声が聞こえる。男と女の声だ。
「あなた、元気な男の子ですよ」
「おう、そうか、よく頑張ったな、ルーナ」
「ふふ、ねえ、あなた、この子には、自分の好きな道を歩ませてあげましょうね」
「ああ、もちろんだ。どんなことがあっても、一緒にこの子を守っていこう」
ーー
ここは……? そうか。確か、俺はあの時、転生魔法を発動したんだったな。
「はーい、ガイアちゃん、そろそろお昼寝の時間ですよ〜」
この魔力、俺の魔力に似ている。ということは、この人が新しい母か。そして、俺の名前がガイア。
「はい、ガイアちゃん、いっぱい飲んでね〜」
それにしても、こんな美女が俺の母とはな。悪くない気分だ。
「……オギャー、オギャー」
「ふふ、ミルクを飲む姿もかわいいわ! 流石、私の子ね」
赤ん坊だからか、うまく喋れないな。仕方ない、この未成熟の身体で魔法が使えるか分からんが、使うしかないか。
「……オギャー」
すると、その時、俺の手から炎が出た。やっぱり、この身体じゃ、まだまともに魔法は使えないらしいな。言語魔法を使ったつもりだが、何をどうやったら、炎魔法になるのか。はぁ、俺の人生初の失態だ。
母も固まってしまった。無理もない、生まれたばかりの子が魔法を使ったんだ。普通驚くよな。でも、なんで炎魔法が――――
あっ! そうか。そういえば、言語魔法の発動条件は喋れることだったな。だから、まだ言語を発することのできない赤ん坊の状態では、言語魔法は使えないってことか。しかし、炎魔法が発動したのは何でだ? まあ、でも、この身体でも一応魔法が使えるってことは確かめられたから良いか。
「す、すごい……すごいわ、ガイアちゃん! まさか、生まれてすぐ魔法を使えるだなんて! 流石は私の子! 将来は、優秀な魔法使いかしら~!!」
「……」
やばい、完全にやらかしてしまったな。赤ん坊のときぐらい自重しておくべきだった。でも――母が喜んでいると何だか俺も嬉しくなる。
「そうと決まれば、今日はお祝いしましょう! お父さんが帰ってきたら、久しぶりの外食よ!」
それにしても、自分の子供が魔法を使えるって、そんなに嬉しいことなんだな。俺にも子供はいたけど、子育てよりも魔法の研究や世界の統治に没頭してたから、親の気持ちっていうのが良く分からない。
そんなことを考えていると、父親が帰ってきた。どうやら、母さんが俺が魔法を使ったことを話しているようだ。それには、父親の方も驚き、今晩はお祝いということで外食することになったのだが――――俺は、まだ赤ん坊だからミルクしか飲めないんだよなあ。俺だって、この時代の料理を食べてみたいんだけど。せめて、この身体がもう少し、成長していたらな〜。
「じゃあ、早速行くか、ルーナ、ガイア!」
「ええ!」
「オギャー!」
そうして、俺たちは、父親の行きつけの店に行った。行った瞬間に、店にいた人たちが俺の方に押し寄せてきて、本当に大変だった。
「じゃあ、ガイアの初魔法を祝して」
「「かんぱーい!」」




