11話 少年参戦
ティオとリリーによって、超強化されたアランでさえも、鬼神には、及ばなかった。そして、他の冒険者も恐怖で動けなくなっていた。
「・・・・・・っ! な!? 一体何が起きて・・・・・・!?」
そんな時に、救援に向かったヘレンが辿り着いた。
「・・・・・・へ、ヘレン!? なぜ、なぜ、ここに来た!! 早く、逃げろ!!」
普段は温厚で冷静なティオが、今日初めて怒鳴り声を上げた。それには、さすがのヘレンも驚いたが、逃げようとはしなかった。
「・・・・・・」
ヘレンは、何も言わずに、冒険者の前に立って、鬼神と対峙した。
「・・・・・・お父さん、大丈夫。私は、負けない!」
その強い意志のこもった言葉に、周りの冒険者も、ティオも何も言い返せなかった。
「・・・・・・お前が、俺の相手を、するのか?」
「ええ、そうよ! そして、私があなたを倒す!」
「ふふふ、ふはははははははは!! そんな小さい体で、俺に勝てると本気で思っているんだとしたら、相当な大馬鹿者だなあ!!」
「笑えるのも今のうちよ! ファイアトルネード!!」
「ほう、なるほど、魔法の混合、か。確かに、それなりの実力はあるようだな」
「もしかして、もう怖気付いた? でも、ダメよ、あなただけは、許せない!!」
「ふん、面白いことを言うな。俺が、お前のような小娘に怖気付くわけないだろう」
そう言って、鬼神は、ヘレンに迫りながら、魔力を溜め始める。おそらく、上級魔法以上の魔法を行使するつもりだろう。
「・・・・・・っ! 魔力が、集まってる、まさか、上級魔法!?」
「ほう、中々に察しがいいな。だが、残念、俺が今から使うのは上級魔法なんてものじゃない。神級魔法、だ」
最強の魔法は、最上級魔法とされているが、実は、その上に、神の域に達した者にしか使うことができない神級魔法なるものが存在する。しかし、これは、普通の人間では、扱うことができないため、今まで、その存在が確認されていなかったのだ。
「小娘如きにこの魔法を使うことになるとは、正直想定外ではあるが、貴様の魔力量からして、半端な魔法は効かないだろうからな。食らうがいい、これが俺の最強の魔法だ! ダイメンショナルクラープス!!」
鬼神は、神級魔法、次元崩壊を発動した。このままでは、この世界そのものが崩壊してしまう程の魔法で、冒険者たちが皆、死を覚悟したその時、彼は来た。
「・・・・・・アンチマジック!!」
間に合ったとは、言い難い状況だが、最悪の事態は免れたようだな。それにしても、まさか、村を襲っていたのが、神級の魔物だったとは、俺としたことが相手を甘くみすぎていたな。
「ガ、ガイア! な、何しに来たのよ! 今更、来ても、もう遅・・・・・・」
「・・・・・・大丈夫、安心して、ヘレン。俺は、あんな奴には絶対に負けないから」
「む、無茶よ! それに、あなた、さっきまで行くのを嫌がってたじゃない! そんな人に、任せられるわけ・・・・・・!?」
「なら、せめて、見ていてくれ! 俺があいつを倒すところを!」
「・・・・・・」
俺の言葉に、ヘレンは何も言わなかった。元々、行かないように言ったのは俺だし、腰抜けとか弱虫とか思われても仕方ないけど、だからこそ、その汚名をここで返上しておきたい。
「・・・・・・じゃあ、行ってくる!」
「・・・・・・ガイア! 絶対に死なないでね!」
「ああ、こんなところで死んでたまるか!」
そして、俺は、彼女の言葉を胸に、鬼神と向かい合った。こいつさえ、倒せば、ゴブリンたちも怯んで逃げていくはず、だから、何としても、こいつだけは倒す!




