9話 ゴブリン襲来
「・・・・・・っ! ゴブリンが来たぞー!! 皆、配置につけー!」
見張り役の人が、そう高らかに伝える。それを聞いた冒険者たちも、いよいよか、と気を引き締める。
「いよいよ、だな。覚悟はできてるか、ティオ?」
「ああ、ばっちりだ、アラン!」
そして、リリー支部長が冒険者全員に言い渡す。
「全員、突撃!!」
その号令に合わせて、冒険者全員がゴブリンに突撃していく。
「・・・・・・フィジカルエンハンスメント!!」
「おう!! 久しぶりだな、お前の強化魔法! やっぱり、お前の魔法が一番効果があるな!」
「ああ、当然だ! ゴブリンたちを1匹残らず、殲滅するぞ!」
「おう! 任せとけ!」
500体のゴブリンと90人の冒険者との戦いが始まった頃、森にいたガイアも、大規模攻撃魔法の構築を始めていた。
ヘレンの気持ちは分からなくはない。俺だって、できれば村のみんなを今すぐにでも助けに行きたいが、ゴブリンたちの裏に何がいるのか分からない以上迂闊に動くのは、あまりにも危険すぎる。それに、もうすぐ俺の魔法が構築される。
「・・・・・・安心して、ヘレン。村の皆は、誰一人死なせたりしないから!」
それより、まずは、ゴブリンの裏にいるのが、何の魔物なのか。場合によっては、前世の俺の魔法を使わないといけないかもしれないが、その時はその時だ。まずは・・・・・・。
「サーチ!」
俺は、サーチを使ってゴブリンたちが来た方を見てみた。・・・・・・何も、いない、のか? いや、微かにゴブリンとは別の、異質の魔力を感じる。そして、俺は、その魔力を感じる方を探してみると、そこには・・・・・・オーガが、いた。
「な!? オーガ!? 何で、こんなところに!?」
いや、今はそんなことどうでもいい。それにしても、これは、まずいぞ。この村の冒険者じゃ、オーガには到底敵わない。それどころか、村人全員殺される。やっぱり、俺も向かった方が・・・・・・いや、まだ、魔法は構築できてないから、今動くべきじゃない。
ふと、ヘレンのことが、脳裏に浮かぶ。
「・・・・・・ヘレン」
俺は、本当は、どうしたいんだ。ここで、じっとしている、違う、そんなことじゃないはずだ。俺は・・・・・・村のみんなに死んでほしくない。
「大規模攻撃魔法なんて使わなくても、ゴブリンとオーガぐらい倒せる! 早く行かないと! ファストスピード!」
みんなを助けに行く途中にも、ゴブリンが大量にいて、邪魔なので、俺は、ゴブリンたちを燃やし尽くす。
「ヘレンはどこだ? サーチ!」
再び、俺は、サーチを使って、ヘレンを探す。すると、1キロメートル先にヘレンの魔力を感じたので、その方向目がけて全速力で駆け抜ける。その際に邪魔なゴブリンも討伐していった。
そして、オーガも徐々に、村に近づいてきていることも感じた。これは、オーガよりも早く村に着かないと本当に取り返しのつかないことになってしまう。
と言っても、オーガの進む速度は、そこまで速くないので、ファストスピードを使っている俺の先を越して、村に着くことはないだろう。だけど、油断はできないので、俺は、限界まで速度を上げる。
それにしても、本当に、数が多いな。どんなに弱い魔物もここまで多いと面倒だ。ここは、一気に消し飛ばそう。
「メガファイア!!」
俺の炎で、ゴブリンたちが次々と焼け死んでいく。すると、その瞬間、突然、オーガが速度を上げた。普通、オーガは、人間よりも移動速度は遅いが、今回のオーガはどうやら、別格だ。村にいる冒険者では、絶対に敵わない。あのオーガよりも、先に俺が村に着がないといけない!
「皆んな、絶対無事でいてくれよ! 俺が、絶対に助けに行くから!」




