プロローグ
「クッ! これでも、尚、奴には、届かぬというのか!」
本当に馬鹿な奴らだ、反乱なんて起こさなければ、死ぬことなく幸せな生活を送れていただろうに。
これ以上、反乱が起きないように、火種となりうるものは完全に消さなければならない。
「クッ! この、化け物め!」
とはいえ、反乱が起きたということは、私に、何かしらの落ち度があったということ、それを度外視して、この者たちを殺すことなどできるはずもない。
「……そう怯えるな。別に、お前たちを殺そうとは……!? うっ!」
またか、こんな時に! このままではまずい、俺が俺じゃなくなる! とにかく、早く、こいつらを逃して……!?
「……お前ら、覚悟はできてるか?」
「クッ! どうせ、殺されるなら、最後に一太刀……!」
そこには、さっきまで勇猛果敢に向かって来た男が、真っ二つになって、倒れていた。さすがに、この状況には他の兵士たちも動じずにはいられぬようだ。
「さてと、次は、どいつだ?」
「に、にげろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「追いかけっこか、それも悪くない、だが……遅すぎる」
数100メートル離れたところから、一瞬で兵士たちの前に現れた。
「な!? いつの間に!」
兵士たちは、皆目の前の光景に絶句していた。なぜなら、自分達の仲間が、次々と殺されていったからだ。
「……もう、終わりか。つまらん!」
やはり、強すぎるというのも困ったものだな。誰も相手にならない、まったく楽しめない。
「……っ! 俺は、一体何を……!?」
何だ、これ? もしかして、俺が? 俺の前には、さっきまで戦っていた反乱軍の兵士たちの亡骸が転がっていた。上半身が吹っ飛んだもの、頭が千切れているものなど、多種多様な死体があった。あまりの残酷さに、吐きそうになるぐらいだ。
ふと俺は思うことがある。もしも、俺に二重人格がなかったら、今回のような反乱は起きなかったのだろうか、と。
もしも、俺が居なければ、この者たちが反乱を起こすことも死ぬこともなかったのだろうか。
それなら、いっそのこと、俺がこの世から消えてなくなれば、きっと世界は平和になってくれるはず。
肉体が死んでも、魂さえ残れば、生まれ変わることができる。だが、おそらく次にこの世に生を受けるときは、今より数100年は過ぎているだろう。今度こそ、争いのない平和な世界になっていてくれ。
「転生魔法……発動!!」




