小さな会社のよいところ
小さな会社の良いところ
2023.12.20
会社の社長と話せるところではないですかね?
じゃあ、デメリットは?安定性に欠ける。これに尽きると思います。
前の会社では、本社とテレビを繋いで行うような重要な会議には呼ばれない自分でした。意見があってもそれを出せる場所がなく、意見を言える身分になるための登用の機会というのもなかった。いわば自分は透明人間のように扱われ、たまに日本から偉い人が来るとお茶汲みをさせられるのです。
入社したばかりの頃は思いついたことを一生懸命口にしていた自分もそのうち、言っても無駄だと公の場所では発言をしないようになり、お茶汲みをさせられることにもなれた。しかしですね、ほんとのほんとのところでは、すごく嫌だったんでしょうね。
転職をした。今の会社はできてから100年とかそういう会社ではありません。また、外国でできて発展しているので、そもそもローカルスタッフの人数が多くて日本人は少ないのです。そして、日本人は即経営会議に参加できる。会議に参加した。そして、初めて社長の顔を見た。
前の会社では10余年たっても現地採用の自分には会議に参加する権利はありませんでした。
社会って、そういうところなんですよ。自分から席を立ってドアを開けて出ていかない限り、永遠に補欠選手をさせられることもある。だけど、世の中の会社全てがそういうわけでもない。
入社1〜2年の人が他にもいて、みんなはひとまわり若いのです。もともと有名な会社で働いてやめて中国に来ている人もいる。転職しなければ、安定した生活が保障されていても、きっと、ゆっくりとしか成長できず、場合によっては飼い殺しにされてしまう、その環境に耐えられなかったのかなぁ……。そんなことを思いながら眺めてみる。
私はまたそれと毛色が違う。彼、彼女たちとはひとまわり経験してます。
自分のあの、見えない天井を抱えて、意見を聞いてもらえず無視され続けた10余年、あれはなんかの役に立つのだろうか?
オンライン会議の席上で、若い男の子が社長から質問されてスラスラと返事をする様子を見ながらぼんやり思いました。
小さな会社では簡単に社長と話すことができます。
そして、自分が行動したことの結果がどのように反映されるかよくも悪くもダイレクトに感じることができる。
聞こえが良いようですが、悪いことに関しても目の前ですぐ感じて、責任を負わなくてはならないのです。
大きな大きな会社の補助部品のような立場になって、倉庫の中から現場を覗き見るような立場と、安全性の高い客船ではなく、自らボートに乗り込みそれを操縦するのとどちらがいいのか。
これは一概に言えないと思う。
ただ、長い辛い透明人間の時代があったからこそ、ただ、会議に参加できただけでありがたいなと思うことができるのです。意見を言う機会を与えられることの喜びと、自分の考えに沿って行動していいと許される喜び、これはきっと、辛い時代が長かった私だからこそのものだと思う。
ひとまわり若い子達とはまた違う働き方をしようと、この日誓いました。
死に向かってヒタヒタと近寄り続けている。私にはもう彼らほどの時間はない。
無駄に生きたと思ったこの10余年をしかし、無駄にしてしまってはいけないのです。
人と比べる必要はない。人にできて、自分もできることを探したり、そこに焦ってついていこうと行動を起こしたり、そんな必要はないのです。仕事はチームです。隣の人ができることは隣の人にやって貰えばいい。大事なのは、自分にできて人にできないことを探し続けることなのだと思う。
透明人間だった10余年も無駄にしてはいけない。
その分、自分の人生は短くなってしまいましたから。
落ち込んでいる時間は、無駄な時間です。
もう、1秒も落ち込んではいられない。
とはいえ、やはり人間ですから、これからもため息をつく日はあるとは思うのですが。
汪海妹




