大事なのはむしろものづくりではないのだと思う
大事なのはむしろ
ものづくりではないのだと思う
2023.04.20
最近つくづくと思うことです。
人間が飛躍する時というのは、どんな時か。それはですね、既に自分が得意で、そして、周囲にもそれが周知されていることを更に磨く時ではないのではないかと思っています。もちろんね、若い時はそれである一定の効果があります。だけど、頭打ちというかなんというか、あるところまでくるともうそれ以上伸びません。自分の長所を知り、それを伸ばした後に大切なことは、その逆で、自分の短所を知り、その短所を克服するために動くことではないかと思う。
今、個人を例にして書きましたが、本当に言いたいことはそこではないのです。
私が言いたいことは日本のことなのです。日本がものづくりが得意なことはもう周知の事実です。今、重要なのはその自分たちの長所にこだわり続けることではないのではないか、むしろ、短所を自覚することではないでしょうか。
かつて、開国したての日本人、明治維新の頃の日本人は、もっと謙虚だったと思うのです。あの頃の日本の人たちは自分たちに足りないものというものを自覚していて、必死で頑張っていたと思う。その後、紆余曲折あり戦争も体験し、焼け野原から奇跡のような復興を遂げるわけですが、その後の日本人です。かつての日本人と比べて、なんてプライドが高いのだろうと思います。
ちょっと今日だけはきつい事を申しますが、特に日本人男性。
中国という外国にいて、中国人に対する様子を横で眺め続けてからの上の意見でございます。あまり気を悪くされないでいただきたいのですが。
ものづくりに対するプライドが悪いと言っているわけではなく、私自身だって日本人女性としてプライドが高いです。しかし、プライドが高かったとしても、それでも、何歳になったって、お金持ちになったって、自分が間違えたり弱かったりする部分は必ずあるわけで、どんな立場になっても他者から学ぶ姿勢というのは失ってはならない。個人であっても、国であってもです。
それが最近はどうだろう?
世界は常に変化しています。追い越したり追い越されたり、その中で生き続けるためには、他者から学び、他国から学ぶ姿勢を失ってはならないのに。かつて日本人が強かったのは、そこなのではないかと思うのに。
海外にいて、中国の発展を見ながら生活しているだけに思います。ものづくりの優位性だけでは勝てないです。中国は日本のものづくりの強さに関しては十分に学んでいて、お金を使って日本人のノウハウを持つ人材をそれこそ随分前から買っているんです。会社だってバンバン買っている。日本では通常考えられないような方法で、中国は発展のショートカットを成し遂げている。
それを聞いて、そういうものに不快感や恐れを感じる必要なんてないんです。劣等感もね。
なるほどと思って、そのやり方を真似できないか考える。それが、生き残るということではないですか。
中国が日本のいいとこを盗もうとしているなら、日本だって中国のいいとこ、中国だけじゃなくて色々な外国のいいところを盗んで仕舞えばいい。戦後の日本人はそれが得意だったはずです。
お金持ちになったから、何か大切なものを失ってしまったんでしょうか?でもね、自分の財布に穴が開いたら、目が覚めますよね?
そんなにやわじゃないですよ。日本人は。ただ、意味のないプライドの上にあぐらをかかないでください。
世界は日々、動いているんです。
財務の仕事をしていて、元々の潜在能力的に人事的な部分にも感覚があります。管理部門に身を置く身で、また、私は通常の日本人とはずれてるし、そんな視点から見て思う。うちの会社だけではなく、おそらく日系の製造業をはじめ多くの会社が、人事や金銭的部分の管理の要である財務が弱い。製造や営業部門の権勢が強くて、管理部門の意見が会社で通らないとよく聞きます。しかし、管理部門の真に重要な決定や行動というのは往々にして全社的な動きになることが多いため、効果的なことについてはほとんど何もできない。
管理部門はいつも製造部門や営業部門の下に置かれていて、発言権がない。
だけど、世界の全ての国でそれが一般的なわけではない。
今の時代、おそらく、昔から頑張ってやってきたことを同じようにやっても大した効果は出ない。それよりも、ブラックアウトのように見えてない日本ならではの問題点に光を当てるべきだと思います。当然のように問題とされてこなかったことの方が、改善効果が高い。
しかし、改善と改革には非常な困難があるでしょう。
どうしてこんなに人材というものに対しての嗅覚がないというか、扱いがぞんざいなのか理解に苦しみます。設備に関しては熱心なのにね。簡単ですね。性能の良い設備は効率もいい。その代わり高いでしょ?なぜ同じことを人材に対して感じられないのか。
日本ならではの公平というなの不公平。
そして、絶対に崩すことのできない年功序列という名の万里の長城のような壁です。
でも、その年功序列、科学的にいって利益を上げる文化ですか?
日本はものづくりで世界に勝って、そして、会社づくりで世界に負けるのではないかと思ってしまいます。
痛烈なる皮肉をまた今日も吐いてしまいました。でもね、自分はここまでけちょんけちょんに貶しても、それでも、自分の愛する日本のために働きますから。誰も聞いてくれないかもしれないけど、だけど、中国に長く生きてきたものとして、日本の会社の役に立ちたいんです。日本人と中国人の間に立って。人事をもっと大切にして、そして、もっと会社を守るために財務の管理を厳しくしましょうって。
自分とは考え方の異なる、先ほど毒を吐いてしまった、やはり日本人男性の皆様と、仕事をしなければなりませんから。
ただただ、相手を責めてはなりません。大人にとって大切なのは、寛容なのだと思います。対立からは何も生まれませんから。
汪海妹




