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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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論理の破綻












   論理の破綻

   2023/4/19











   


週末に主人が


「日本でなんかあったよ」


と見せてきた動画。映画か何かかと、ま、つまりは冗談かと思って覗いてました。頭では冗談ではないとわかっているんですが、体が拒否するとでもいうのかな?首相のそばに水筒のようなものが転がってそれを咄嗟に蹴っているスーツ姿の男性がいて……。


なんで、中国人、日本人のことそんな嫌いなんだよ、こんなフェイクの映像作って……


数秒、そんなわけのわからないことを感じてた。

……


違うのか。


思考停止から脳みそが再起動し、慌ててテレビのニュースをつける。おそらく日本の皆さんのほとんどが私と同じように感じたと思うのですけれど、今度は現職の首相かよと。去年のニュースが記憶にまだ新しいですからね。


正直、大事に至らなくてよかったなと単純に思えなかったですね。

現職の首相です。

自分たちにとって大切な人がこんな危機に晒されるなんて。怒りではなくて、不安。

首相はイコール自分。この言い方で伝わるかどうかわかりませんが、非常に傾倒しているとか心酔しているとかいうことではなくて、私は海外にいても日本に所属していますから、国が健全かどうか、安全かどうかというのは直接に自分の安全感に繋がっているのです。


ショックでした。ものすごい不安感を覚えた。

その次に覚えたのが、恥だなと。


世界に報道された。日本がもう以前のような安全な国ではないと。


海外に暮らしていて、反日感情から嫌な目にあったこともあるけど、その逆もありました。中国では、日本が明治維新の際にほぼ無血の状態で政権が移譲されたことが評価されていて、明治維新前後の日本の歴史を学ぶ人がいるんですね。そこから中国も学ぼうと。少し近いところでは、阪神淡路大震災で水を得るために列ができていたこと。賛否両論でしたが、日本の秩序の高さが評価されていた。さらに近いところでは、あの控え室の折り鶴。


色々な日本の人が少しずつ積み上げてきた日本人に対する信頼というかなんというか、壊してしまうのは簡単だなと。

ただね、私はペシミスト、悲観主義者ですから。実際は影響はゼロではないとはいえ、そこまで悲劇的ではないと思います。


そして、あの筒を投げた人の動機を聞いて、論理が破綻しているなと。

30歳にならなければ被選挙権がない、300万の支度金でしたっけ?お金がなければならない。

それは法律で定められた制度ですね。法律で定められたことは、きちんとした手順を持って変更されなければならない。

それが、民主主義の根幹ではないですか。


そこで円筒の筒を用意して暴力に訴える人がね、100年経ったって民衆の代表になることはないですよ。


小学生でもわかる話だと思うのに、どうして20代の彼はそう考えることができなかったんでしょう?


そんな中で、自分について思うのですが、私は非常に政治に無関心な人間なんです。海外にいて在外投票権があるけど投票していない人間です。前からそういう自分についてちょっと良くないかなと思ってたんですが、改めてこの筒事件を見て反省しました。


なんで、政治に無関心なのかなと自分を振り返ると、きっとね、自分が参加しても参加しなくても、ちゃんと生活できるって安心感が国にあったからだろうな。参加しても参加しなくても同じだと思ってました。参加したってよくならないと冷めた気持ちがあったのも事実。


そして、自分で忙しかったからだと思います。

自分は対人恐怖症だけど、無理して働いている、普通とは違う人だと認識していて、自分で手一杯だから政治がどうとかそういうのは普通に元気な人がやってくれと思ってた。そして、最近周りを見渡して思うんです。


対人恐怖症なのは自分だけではないなと。むしろ自分は長年かけてそれを克服してきていて、元気な方?

昔の私みたいな人、結構いるのではないか。


だから、もう少し、自分のことだけでなくて社会のことについてできることはやらないといけないのかなと。

例えばもう少し、世の中のことや政治に関心を持つとか。


自分は本当に閉じていました。

閉じていなければ保てないほど元気がなかった時代があるのは本当です。

世の中のことに関心を示さず、周囲の他人にも関心を示さず、自分と自分の家族とだけ暮らしていれば、毎日はシンプルで快適です。


だけど、自分が何もしなくても毎日安全に暮らせるのは、私を含めた他人のために苦労している人がいるからで、そういう苦労をしてくれる人の成り手というのが、基本的にはいつの時代も不足しているのかなぁ。


これが、私にとっては井戸を出るということなんです。


井戸というのは、自分なのではないでしょうか。

人というのはかなりの人が、自分ばかりを見ていて他のものを見ていないものではないかと思うのです。

自分ばかりを見ている状態が、私にとっては井戸に入っている状態で、井の中の蛙なのかなと。


この、円筒の筒を投げてしまった男性も、やはり自分ばかりを見ていたのではないかと。


そして、やはり去年の安倍元首相の事件と比べてしまうのですね。


ここで、こんな話を書くとかなり微妙かもしれません。

いかなる主張に対しても、そこに人命をかけてはなりません。

功労者を主張を代弁するための人質のように使用したことは許されないことだと思うのですが、

ただですね、去年の事件の際には、あの行動による余波が社会に起きました。


暴力でもって事を動かすというのはあってはならないものですが、ですが、ある意味では社会を動かしたなと。

その模倣を今回の方がしたのかどうか、それは分かりませんが、やはり質が違うなと思うのです。


前回の方に対して同情をしているとかそういうことはありません。

むしろやはり安倍元首相のご冥福を祈る気持ちがただただ強いです。


しかし、ここまでの事を動かすまで、統一教会の問題が放置されていたことはそれはそれで問題かなと。


こんなことが今後あってはならないと警備の体制を見直すだけでは足りないと思うのです。どうして、ここまでしなければならなかったのかという部分について、裁判で明らかにしなければならない。


昨年の事件は明らかなる社会不安です。

短期的解決は、警備の見直しや充実なのかもしれませんけど、もっと広い視野で長期的に考えて、社会は安定しなければならないと、大きくいえばやっぱりそういうことではないかと。不満がここまで激しい形で噴き出す前に、行政が向き合うべきだったのではないかと。


そういう考えを持つに至れば、やはり自分もただただ傍観者でいてはいけないなと思いました。


去年の事件の時も、今回も、事件についてのコメントをそれぞれの党の党首が求められていましたが、


民主主義に対する挑戦である。


じゃあ、あなたはその挑戦に対して具体的にどのような対策を講じるべきと思うのか、

それに対して何らかの印象的なコメントを聞いた覚えがない。


そして、今回の模倣犯です。


こんな模倣犯が起こるかもしれないという予測を、やはり中央としては持つべきだったのではないでしょうか。

どこかの田舎の一企業の社長が狙われたとかではないんです。一国の首相です。


危機感、かけてますよね。


その危機感の欠落を図らずも全国民と世界へ発信してしまっているではありませんか。

これもまた、平和ボケで片付けてしまっていいんでしょうか?


先日にはまた、北朝鮮の弾道ミサイルが北海道へ落ちるという報道もあった。


昔とは違いますね。安心して生活できない。


だからと言って自分に現政権を批判しようとかそんな気持ちはないんです。

だって、闇雲に批判したから何かが得られるとも思わないし。


自分という一個人としてはただ、ガラパゴスのゾウガメをやめようと思ったところですので、今まで閉じていた時間で無駄にした時間を取り戻すようにもっと色々な知識を入れて、思考しようかと。


そして、自分にできる範囲で、何か人の役に立つことをしようと思います。

自分にできることは小さいことだと思いますが、でも、それでも、ゼロではありません。


自分の影響力の小ささに悩む時間はないんだと思います。

人生は短いようで長いですが、しかし、人が成長するのにはやはり時間がかかりますので。


汪海妹








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― 新着の感想 ―
[一言] 汪海妹様 いつもしみじみ拝読しております<(_ _)>(*^-^*) 海外では あなどられると あっという間…(-_-;) かもしれません? 国内でぬくぬくしている じぶんも 不穏な事…
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