表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
66/355

自分が思う自分と人から見える自分












   自分が思う自分と人から見える自分

   2022.11.19












 転職活動をしていて、また、大学卒業してから息子を産む前後の2年以外は働いてきて、最近学んだことについて今日は書こうかと思ってました。大学時代、就職活動の時代に色々な事情から正社員になるのから逃げてしまいました。それからずっと派遣社員とか年契約更新の契約社員、いわば非正規の立場でずっと働いてきています。当然ながら正社員の方が常に待遇が上で、自分は財務でみなさんの給与計算をする業務上、それを逐一知っているのですね。口に出しては言わないけれど、ぶつぶつとドス黒いものを毎月心の奥の底の方の池のようなところに溜めて生きてきたのかな?真っ黒な鯉を飼うような要領でね。


 私はもっとできる。本当はあの人よりできる。


 でも、それを表では出さずに裏で愚痴りながら、もともと口のたつ人間です。会社の問題点について批判するような日々を送ってた。


 自分を損なっていたなととある時点でふと気づいた。本当に損なっていたと思います。


 自分に事情がありました。正社員になれるチャンスの時に頑張れなかった。でも、それは自分で選んだ結果だし。


 とある日に上司に言われました。

 あなたは日本にいる女性より給料が高いと。


 面と向かってなんてことを言うんだと呆れました。

 うちの会社の本社の給与標準から言って高すぎるという見解を持たれているんです。

 昔の上司がせっせと昇給してくれた。それを今の上司になってからぶつぶつ言われ、一部手当を削られているんです。


 でも、自分は駐在員の方の待遇を全て知ってますね。口には出さないけど、自分とその待遇の差を知ってる。上を見て、自分はこれっぽっちかと思いながらぶつぶつ思いながら生活してきているわけです。そういうところに注力しすぎていたなと。


 社会は厳しい。

 確かに自分は、任せられたらこなすだけの能力はあると思います。でも、正社員ではありませんから、私ができるかできないかが問題ではなく、会社というものは契約社員にはある一定以上の重要な事項は任せません。会議にも出られず、会社の全ての情報が知らされるわけではない。うちの会社だけではない、社会とは往々にそういうものなのです。


 100個の会社があって100個全てがそうなわけではない。

 しかし、能力はあっても非正規のまま正規に入れてもらえず悔しい思いをしている人はきっといっぱいいると思います。

 今は本当にたくさんの会社が正社員と非正規を混合させて経営を行い、それによって利益を上げてます。


 まるで吸血鬼のようだなと思う。

 私の場合、1人でできる仕事の量が全然違う。2人分の仕事を楽々とこなしていますが、そこまでやっても自分の給与というのは1人分の仕事しかできない人と大差ないんです。でも、私が2人分の仕事をこなせることで会社は利益を得ている。そういう損をしている人たちの血を吸って、得をしている。ああ、ここまでいうとちょっとキツすぎるね。やめよう。やめよう。


 こういうことで怒って鋭い言葉で切り取って、自分の怒りを増幅させて、そして、私は自分の貴重な時間や能力をですね、無駄にしてしまったと思っているのです。


 確かに、社会にそういった側面はあるかもしれません。だけど、現在自分がそういう状況にいて、その状況を簡単には変えられないとき、繰り返し繰り返し、自分はこんなはずじゃないのにと愚痴を繰り返してやる気を失ってもね、時間の無駄なんですよ。


 時に人は自分で自分を損なってしまう。


 今になってね、何度も若い時にちゃんと就職活動をしなかったことを後悔しました。

 後悔したんだけれど、ただ、事情がありました。あの時逃げなければ自分はきっと壊れてしまってた。

 無理をして正社員になった後、その先で破綻したと思います。


 そのために、その後、悔しい思いを何度もしてきましたが、でも、これが私。これが私の人生です。

 心の弱さを段階的に克服して、今もちゃんと働いています。自分を偉いと思う。


 ニュースを読んでいて、年収300万の女性が年収1000万の男性に嫁いで……、という記事を読んでました。そして、ふと自分の年収をざっと計算してみた。現在円安なこともあり、あらためて計算してみると……。


 ああ、確かに自分の給与は日本の一般的な女性の給与より高いかもな


 自分の会社しか知らないから、会社の中でだけ他の人と比べてぶつぶつと文句を言う。

 だけど、そんな自分にちゃんと社会的な客観性はあっただろうか。


 自分は中国語が話せるし、日本ではなくて海外で働いているという特異性がある。だから、一般的な女性と比べられても困ります。

 日本で暮らせるなら、給料多少下がってもいいですよ。我が家は日本にいたら発生していない息子の学費がかかってますから。


 ただね、自分のやってる仕事に対する対価として、結構高いのではないかと思い至る。

 私にとってそこまで難しい仕事ではない。


 まだ余力がある。だからもう一段階上の仕事がしたい。

 会社は私にもう一段階上の仕事をさせても構わないわけです。でも、階級や待遇をそのままで文句言わずにやってくれるなら。

 そういうわけにいかないのを知ってるから、仕事も渡さないし、待遇も上がらない。

 誰もかれもをほいほい上げていたら経営が成り立たないですから。


 これはミスマッチで、どの会社でも起こること、だから、人は転職をするわけだ。

 ここで行動を起こさずにぶつぶつと自分を腐らせるより、行動して打開しよう。

 息子に時間が前ほどかからない。もっと勉強していけるとこまでいこう。


 会社というものは入り方を間違えると見えない天井を上に設置されるものです。

 女だからとか、非正規だからとか、そんなことに


「そんなの間違ってるよ!」


 と一生懸命怒ってみても、怒ってみてもね、


 時間の無駄なんだよ。


 私が言っているのは理想。間違ってはいないと思う。でも理想と現実は違う。

 

 それは、ウクライナとロシアの戦争がなかなか終わらないことと同じなんですよ。

 社会の矛盾をついて怒り、そこに囚われてしまうと、ハッと気づくと自分の姿が以前とは違う。まるで何か醜い化け物のようにさ、変わってしまうよ。そういう人にはね、きっといい仕事はできない。


 人事の仕事をやりたいなと思って、ずっと返事を待ってました。

 でもね、私の給与はやはりそちらの会社でも安くないようなんです。ずっとそこで答えが出ないようで。


 お金がほしくてひたすら働いているわけでもない。しかし、見えない天井はどこにもある。

 さて、どうするか。


 もうそろそろ結論を出さないと、ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ