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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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寝ないで働け












   寝ないで働け

   2022.09.10













まるで転すらで主人公が転生する時に色々スキルを獲得したみたく、

最近自分を自分がゲームの中のキャラだったら、どんなスキルが高いのかなと、

見立てることがある。発展途上の自分の新しい遊びなのです。


ただし、それはもちろん、格闘系スキルではなくて、リーマンとしてのスキルなのですが……


スマイルスキル、高し、対客、強い、対下、強い、対上、最初は強い?


私は初対面での印象が良い人間だと思う。


(なんかこの人、優しそう。怖くなさそう)……初対面が苦手、臆病な人、草食動物系の感想。うさぎあたりだ。

(話しやすい人だな)……普通の人、雑食系

(取るに足らないやつだな)……世界を制覇したい人系、肉食系

(なんか一見人当たり良さそうに見えて、よくわからない人だな)……マニアック系


この4番目のタイプはかなり少ないので、私はガラスの10代や怒涛の20代を経て生まれ変わった30代から更にスーパーサイヤ人系詐欺師に超転生した


あっ!


年齢をバラすところだった。やばいやばい。


とにかく現在は第一印象はかなり良い。日本人中国人問わず9割は初対面で嫌がられない自信がある。


でもね!初対面だから!


自分の人間関係では、さっこんは上との関係があまりよろしくないのです。


上の人とは長く仕事をしていくうちに


こいつ……


と思わせてしまう場面があるので、割と干されることもある。

初対面でうまく行っても、どこかでうまくいかない、合わない人というのはいるものです。

上司と相性が良ければ仕事は楽ですが、相性が悪いと大変。


でもね、私の場合相性だけではないんです。今まで全ての上司に嫌われたわけじゃない。

だけど 約4割には嫌われたな。


……


いや、何が9割だよっ!って話だよ。初対面9割でも、上司の4割に嫌われてたら意味ないじゃん。

まず、こういう人は、出世しない。女だし、現地採用だし、4割には嫌われてるし、出世しない。


刑事ドラマだとさ、最後まで現場で終わる、筋金入りのデカだよ。

で、いわゆる下っぱだけど真犯人を追い詰め、意外とやるじゃんと思わせといて、ドラマの三分の2あたりで刺されて死ぬわけ。

視聴者は、


ああっ


と思うわけだ。この人情派で出世しない人に心を奪われてたからな。可哀想な人だと思って親近感が湧くのだよな。

で、盛り上がって視聴率が上がり、最後はイケメンの主人公が真犯人を追い詰め、ラストシーンではお墓の前で庶民派のデカに犯人を逮捕した報告をするわけよ。お線香の煙たなびくラストだ。まさに水戸黄門を愛する私にふさわしい終わりだな。


いや、違う。なんだ?なんの話をしてたんだっけ?

ええっと……


私が出世しない話でしたよね?

そうそう、なんで出世しないか。

生意気だからだな。


父がサラリーマンではないのです。小さいが自営をしていて経営者です。

子供の頃から男の子がいないのもあって、経営者としてのお喋りの相手に私を使ってきた。

だから、父の目線や考え方を学んで大きくなった。


役に立ったこともあります。

ただ、上から目線なんですね。これは、自分が上の立場に立って初めて生きる目線。

下の立場にいるときは、出せばそれを認めてくれる人もいる。生意気だと思われることもある。もしくは敬遠される。


痛いところをこれでもかとついちゃうから、言葉が鋭すぎて敬遠されるのだよな。


下で女で現地採用だからな。


だからね、脳あるたかは爪を隠すと言いますけど、


若かったり、女だったり、正社員とかじゃなかったり、そう言う時は言いたいことをグッと我慢して笑ってなければならない場面というのは、残念ながら社会ではあることですね。


ただ、それはね、会社や社会の発展のためには本当は良くないことだと思います。

言いたいことを我慢して社会人を始めると、それが長くなって骨身に染み付いてくると、思考する力自体が弱まります。

だから、表で言わずに裏で言うようになる。それで思考する力を維持する。


でも、その意見が表で取り上げられることはない。すると、その意見はいつの間にかただの愚痴になる。


気づくと自分がただのダメな人間になっている。


サラリーマンというのは本当に、時に魂を削る職業ですね。


ただね、全ての会社がこうではないと思います。人材の活用を考えている会社は、こうではないと思う。

実際私も4割の上司には嫌われ、結構ひどい目に遭いましたが、生意気だなと思いつつも頼りにしてくれる上司もいました。


私の人間関係の課題は、もし上に自分の苦手な人が来ても、諦めずに関係を掴むことですね。

これはサラリーマンとしての基本的な課題だと思う。

デリヘル嬢はチェンジできても、上司はチェンジできないから、簡単にはね。

(私は女性ですので、デリヘル嬢を自宅に招くことは今世では一生ありませんが)


周りの人が心配してくれていても、一人で問題を解決しようとする。

サバイバル力と忍耐力スキルの高い人間だから、周りの予想以上に一人でどうにかできる人間です。


だから、今も部下が辞めて一人で二人分に近い仕事をしていますが、平気そうに見えると思う。

見えるんじゃない、平気です。


じゃ、なんで平気なの?と言われると、転すらにかこつけてみる?

転すらではちょっと語れないかな。うーん。

精神的な修羅場を子供の頃から何度も潜ってきていて、で、中国に来たばかりの勤め先がブラックだったんですね。

めちゃくちゃだった。

あのブラックな職場での2年あまりが、私のサバイバルと忍耐力を超人的に上げたんですよ。


そりゃ、もう、大変だった……。


私の部下もね、中国が長い子で、長さで言ったら私と同じ20年なんですよ。

ただ、あの子は来たばかりの頃は学生。こちらで学校に行っている。

私は社会人です。


20年前の中国で社会人だった日本人の人たち、そりゃ、苦労してる。

もちろん、中国でもっと苦労した日本人いると思います。

戦後のハルピンあたりの東北部にいた方とかね。

でも、それは置いといて最近だけを切り取ると、今の深圳で仕事している日本人には、20年前の苦労はわからないと思うよ。


だから、


「所詮お前らにはわからねんだよっ」


と、まるで居酒屋の隅っこで若者をなじる年寄りのようになりたいかというと、そうではない。


ただ事実として、常識を超えたはちゃめちゃな苦労というのは、若い頃にした苦労ね、意外と自分のスキルを上げてたかもなと。

一人抜けるくらいのトラブル、何を何をと思うわけ。


私はブラックな職場にいた時は、月から金まで11時くらいまで会社にいたし、土も17時くらいまで働いてました。

社長がよ


「寝ないで働けっ」


えー!


呆れるとか、怒るとか、そういうのを通りこして、ウケた。

(私が言われたわけでなく横で聞いてたのだ。それもあってウケた)


しかも、今は思い出、昔のこの社長を思い出す。この人ね、自分にも厳しい人だった。だから、確かに寝ないで働くくらいの気迫はありましたよ。もちろん寝てるけどな。頭のいい人で、自分も無茶苦茶仕事してたよ。人にもさせてるけどさ。

それに比べると、我々普通の人が、スローモーに動いているように見えたんだろな。


サラリーマンを務めた後に、たいして伝手もない香港に突然来て会社を立ち上げ、その後中国にも進出した人です。

普通の人と気迫が違う。


香港に住んでて、香港から週1くらいで中国に来る。

会社のドアをバーンと開ける。


「くおら、○○ー!」


その日、1番怒りたい人に向かって次の瞬間怒鳴っている。それが私だったこともある。挨拶より先にそれだからな!

ヤクザだったんですか?と言われると、そうではない。断じてそうではないが、直接社長を知ってる人は、わかる。

そうそうそんな人。


社会人経験のたいしてない状態で、(東京で2、3年だ)いきなりそんな中国のトリッキーな職場に入った。

私のいたポジションというのは、前任者も前々任者も、えっと、その前も、とにかく大量の日本人女性、或いは男性が、一年持たないポジションだったんです。その当時は私ともう一人日本人女性がいて、この二人が初の一年越えの人材。

私たちの上のポジション。会社のトップは有名商社や企業を退職されて、再雇用されている方が多かった。

下手するとこのトップも1年持たないという……。


馬鹿ではないのですが、肝心な部分で抜けている私。

自分がかなりトリッキーな職場にいて、これは普通ではないと気づいていない。


当時日系向けの工業団地の管理会社にいた。顧客の入居企業のトップたちが集まる会議の場で


「くおら、○○ー!」


私が発表をしていて、とある方にその場でやや苦情も含む問い合わせを受けた。そのばで社長にいつものように怒られた。


顧客の皆様、みんな、ビビった。

あんな怒ったら、私が辞めちゃうよと裏でおじさまたち気もそぞろだったらしい。

あの頃はまだ私も可愛い若い女の子だったんですよ。それもあってね。


「○○さん、大丈夫?」

「はい?」

「あんな怒鳴られて……」

「え?ああ、あー、いつもです」

「え……」

「大丈夫です。言われたことやってたらそのうち収まるので」


あの頃は誰もかしらも優秀なあの人も、そつのない彼も、お茶目なあの子も、ぜーんぶ順番に怒られてたからな。

それこそ、カツラだったらカツラ吹っ飛ぶぜ、ぐらいの勢いで。


慣れてました……。

生き残る攻略法も着々と研究中だったわけで。こう、うまく隠れてできるだけ攻撃を受ける回数を減らそうとかさ。

いわば、ダンジョンのラスボスです。

しかし、このラスボス倒したら、会社潰れるから倒しませんが。


それで、顧客のトップたちの間に、当時私ともう一人日本人の女の子がいたんですが、この二人を後援する会みたいなのができて……

ハハハハハ!笑えるよな。アイドルじゃねーぞってことなんだけど。


でも、あの殺伐としたまさしく戦場とも言えるような当時の深圳でさ、日本人女子、本当に希少だったから。

あの頃まだ若かったし。


事務所の3階に彼女と私とおじいちゃんと三人でシェアハウスさせられてたんだけど、

同居とかありえませんよと顧客の皆さんが社長に言ってくれたり、

頑張ってやってくれてますよと一生懸命社長に言ってくれて、特別ボーナスもらったことあったな。


いや、いい思い出だなぁ。


私は昔、精神的に一人ぼっちのところまで追い詰められたことがあって、そのせいもあってなんでも一人で解決しようとするところがあるんです。ただ、昔も今も、その場、その場で色々な人に心配されて、助けられてきた。


四人の人が一緒に私が頑張っていると言ってくれた、特別ボーナスをもらった件

その四人のうちの一人が私を今の会社に引っ張った方です。


恩があって縁があって、それで今ここで働いている。

久しぶりにそういうことを思い出した。こんなことだけじゃなくて、書けば酷いことや悪いこといっぱいありました。

でも、悪いことだけじゃなかったな。それなのに。


恩と縁があって今ここにいる。

それなのに、こんなことになってしまって悲しいです。


素晴らしい人でした。その人を中心に、他の日本人の人たちも一生懸命中国人スタッフを育てた。

いい工場でした。私も古い中国人スタッフもそれを知っている。だから工場に想いがあるんですね。

守りたいという想いがある。


中国を去られる前に、工場を託された。私一人にではもちろんないです。

いくつかあるキーのうちの私も一人だった。

だから、私たちは工場を託された仲間だったんです。


うちの古い中国人スタッフが辛い目にあってもなかなかやめないのには理由がある。

工場を託されたという想いがあるからですね。

そういう過去がある。


それなのに今の会社は、給料の額だけが人を引き止めると思ってる。


昔の方々も今の皆さんも同じ日本人。

だけど、人としての格が違うと思います。


私の部下もキーの一つでした。去年辞めました。

私は今年去ることになると思います。


どうしてみんなが去らずに長くここにいるのか、いたのか

その答えがわからなければ今いるスタッフを大切にすることはできないでしょう。


いいことばかりではなかったけれど、意味のある10年でした。


部下が、去年辞めてしまった課長さん


人としての誇りを傷つけられた。ここまでされても辞めないのはちょっと違うと思う。


そう言ってそれから一年かけて努力して準備して転職していった。

あんなに会社に貢献した人が、こんな辞め方をするなんて。

そこで心を痛めることのない人に工場の経営なんて無理だと思います。まして外国でね。


日本でだろうが中国でだろうが会社に人を引き止める術はあります。

ただそれは一朝一夕で手に入るものではない。

ここにいては腐ってしまう。今の会社に未練はありません。


会社というのも生き物のようなものです。

手術で切除しなければならないような病にかかってしまったようなもの。

手術をすればまた生まれ変わって輝くかもしれません。


ただ、その手術は、この腫瘍はね、トップを入れ替えるというような単純なもので治るものではないと思うのです。

病気の進行をそばで見ていました。食い止めたかった。何もできなかった、一人では。

私が辞めるということは、かなりやばいということです。

もうできることがないと思ったということですから。


むしろですね。人が次々に辞めていくことで上の方の人に考えてもらいたいと思って。

経営はやはり上層の人が重要です。

今のやり方では死んでしまう。

手術をしなければ死んでしまいますよ。

遅くなれば間に合わない。


私は一緒には死にません。


七転び八起き


この会社で役立てる必要がないのなら、別の会社で役立てたい。

私は日本人ですから、やはり日本の会社のために、日本のために働きたいんです。

この嫌な経験も、経験は経験です。経験した人にしかわからない経験値がある。


仕事、決まるでしょうか。

決まらなかったら、別の仕事をするしかないですね。

それもまた、運と縁だと思います。


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