お母さん
お母さん
2022.06.26
金曜日、インドカレーを出前し、そしてちっちゃな生クリームのホールケーキも出前した。マスカットの載ってるケーキだ。生クリームの大好きな私、泡立ててボールごと食べるような人間だ。でもね、本当にやったことは、多分人生で数回です。日本にいた大昔は料理が好きで、それにケーキ作りが好きな人間でした。だから、生クリームを泡立てることもあり、余ったクリームはそのままなめてた。うん。舐めてたな。
至福なときでした。幸せだなぁと言葉に出して、旦那の息子に聞かせたくらい。ちょっと珍しいくらい幸せだった。
なんでこんなに幸せだったかというと、一つ、仕事の面接が入ったんですね。
面接が入っただけで、最後までいけるかどうかわかりません。
だけどね、この年齢でさ、書類が受かるって嬉しいね。しかも、かなりいい会社だったんです。
私ですね、これは自分が悪いんですけど、まともに就職活動をしていない人間なんです。
能力がないわけじゃないのに、心の中に他の人には見えないような問題を抱えていたんだな。
私の人生も創作活動も、結局はそのこんがらがった糸のようなものを解くために行なっているんですが。
大昔、まともな就職活動をボイコットしてしまい、卒業してからバイトや契約、派遣のいわゆる非正規で仕事を探してた。とある某有名出版社のバイトの募集で、バイトの募集なのにきちんとした会社でペーパー試験を受けたんです。あれは、社会常識を問う方ではなくて、知能指数まではいきませんが潜在能力を測るテストだったように思う。多分ね、点数が高かったんだと思う。わざわざ向こうから電話がかかってきた。
もうしごと、決まってしまいましたかと。
断っちゃったんですよね。契約や派遣と並行して受けてて、でも、これはバイトだしなぁと思って。
その時のことをずっと覚えてる。
もっと数受けてれば、絶対日本できちんと正社員として就職できたよなって今ならわかるんですよ。勉強ばっかしてきて、心の底の方に対人恐怖症のようなものの芯を残してて、いざ社会に出ようとした時に親の過剰な期待と隠れていた対人恐怖症のようなものがぶつかって時限爆弾が爆発するように爆発しちゃったんだよな。
チャンスを潰しちゃってもったいなかったな。
だけど、しょうがなかったんだよな……。
徹底的に褒められずに育った呪いのせいですね。
自分の心を立て直すために、中国に来て私は良かったのだと思います。
それに、自分は海外に縁と運があったのだと思う。
私以外にもいると思う。能力の割に自分に自信を持てずに苦労している人たち。
私はそういう自分を何度も何度も自分で励ましながら生きてきた。だから、同類の人を見分けるのが上手いんですね。
そして、そう言う人が励ますと非常にいい仕事をしてくれるのを知っているし、上が適切に評価して味方になってくれる人だった場合、長く働いてくれる人だと言うのを知ってるんです。
会社に不満があってもどうしてもそれをうまく口に出せない人っていますね。私もその代表な訳だけど。
私は訳あり煎餅なんですよ。
世の中でね、正々堂々とした煎餅なんて、数が限られているんです。
だけど、訳あり煎餅が使えないわけじゃない。
使い方を心得ていれば、訳あり煎餅はいいよ。リーダーのサブ的な位置に入れるのに非常に有用な将棋で言えば金や銀だ。飛車や角にはならないけどな。
訳あり煎餅はね、ひねくれたプライドを持ってんです。表に積極的に出しては来ないけど、プライドはとても高い。傷つけられると、サクッと辞めます。今の私だ。
人というのは不思議なものですね。
各々個人によって違う。だから、アプローチは一人一人変えなければならないのだと思います。本来は。
それが、優秀な人事管理ではないかと、自分が訳ありだからこそ思うのですよ。
文句を言ってくるわかりやすい人ばかりが不満を抱えていると思わないでほしい。
重要なのはそこではないのです。
誰が、会社にとって必要か。
誰が、会社に貢献をしているか。
その人は、会社に何を求めているのか。
その人は、会社に不満を持っていないのか。
不要な人については後回しにしていい。必要な人については常に状態を把握しておくべきだ。
その人が不満を言ってくる人だったら、その不満を聞きながら情報を採集すれば良い。
でも、不満を言わない人だったら、こちらから出向いて聞くべきなんです。
話さなくても察しなければならない。
そして、人材に対してはクラスがある。
最重要な人に対してと重要、普通、普通以下で態度を微妙に変えるべきなんです。
あんた、別に辞めてもいい人だしと口には出さないが、丁寧さに差をつける。
それを、最重要な人や重要な人にさりげなくわかるように見せるのです。
普通の人や普通以下の人は怒ると思いますが、おこらしておけばいい。
なぜなら、辞めても困らない人ですから。
そして、こういう人たちは怒っても大抵辞めません。
汪海妹、人でなしだな、おい!という話ですがね。
あのね、私の今までの経験で申しますと、普通の人や普通以下の人ほど、井の中の蛙の程度が高い。弱い犬ほどよく吠える。客観性に欠け、自分の実力以上に待遇を求めてくるものなのですよ。
お話は時間をかけて丁寧に聞かなければなりません。
しかし、給料を上げてはなりません。そして、足りない部分を指摘します。
辞めてやらぁとなります。
そしたら、あなたが本当にそれでいいなら残念ですが、と言います。辞めても困らないので。
すると、外に出て転職活動をしてみるかもしれません。
世の中はそんなに甘くないのだなと思って戻ってきます。すこーし井の中の蛙の程度を下げて……。
これは結構しんどい作業よ。
私、何回文句言われたか。私が個人的に恨みを持っているので不当な評価をして私の出世を阻害していると言われたからね。
返事はこうだ。
それでは正当な評価をしてくれる外の会社へ行ってください。
ではない。いや、ではないぞ。上のはあれだ、本音。
建前はこれだ。
会社というのは、サイズというのがあるんです。何人も優秀な人を雇うことはできないんです。どうしても限界というのはあるんですよ。
上を目指したくても上のポストが空いてません。そんなにぽんぽんとポストを作ることはできないんですよ。ウンタラカンタラ。
意地悪なようですが、本当のことですね。
彼女に実力があれば、ポストを求めて外へ行く。それが自然な流れです。
こういう態度を取るのは、本人のためだけじゃないんです。むしろ、最重要な人や重要な人に見せるためです。
会社が、上司が、一人一人をどう扱っているか社員は非常に良く観察し比較しているものです。
会社の給与制度が融通が効かず、また、自分が入社する前に前任者が文句をよくいう吠える人を抑えつけるのに苦戦して高めに評価した名残があって、一番下の優秀な人の給与を思うように上げられなかった。
給与が思うように上げられない時に、中間管理職の上司が何をするべきか。
あなたの潜在能力と現在までの成長した結果に対して、でも、会社の給与制度としては勤続年数によって評価するルールがあるから私は評価と推薦をしましたがダメでしたと説明した。
その会社の規則には矛盾がありますと不満を言われました。一つ一つ聞いて、それに対して私もそう思うと同意しました。それについては私も意見としてあげるけれど、会社のルールというのは簡単に変えられないんですと。
それから、給料以外に彼女にあげられるものがないか考えたんです。
それが仕事の経験と知識、そして、例えば家庭の事情で休みたいときに休みやすい環境だったんです。課の中でお互いに仕事を頼みやすい環境を作り、私に休みのことを含め相談しやすい関係となるよう努力して、そして、回らなさそうな時には自分も手を出して仕事をする。
あなたは優秀だから頑張ってほしいと、頑張って得た経験はあなたの元に残るからと。
一つ一つは本当になんでもない普通のことです。
ただ、親身になってやってあげたい部下がいたから一生懸命やっただけ。
人と争うことのできない自分が、でも、本当はね、人と争わないことができる自分と言い換えても良かったのかもしれませんね。私が争うことができないから、争わないでできることを追求した結果とってきた方法で、でも、10年以上残りました。
転職するというのを引き止めたりしない。
定着率を上げるために必要なのは本人の立場になって考えてあげることなのだと思います。
本人と会社と両方を同時に考えて、その両者のベストを探るために、私は中間の位置に立っていた。
中間でなければならないと思う。会社よりになってしまっては、一つに結局は早く立ち去らせることになるし、もう一つに本人の能力を十二分の引き出すことができません。
モチベーションの問題です。
全ての人に対してフルでモチベーションを引き出す必要はないんです。
最重要な人、重要な人、普通の人、普通以下 で、 差をつけながら相対する必要があります。
なぜなら、人には能力の差と態度に差がある。責任感の差というか。
働きかけたら最高のリターンをしてくれる人に対してが優先順位が高いです。
でも、普通の人に対しても何もしないわけじゃない。
これは全体効率の問題です。
私が一生懸命時間と労力をリターンの少ない人にしても、返ってくるものが少ない。
そこにばかり労力をかけるわけにいかないんです。
だからと言って腐らしてはならない。
面接で何を言おうかなと、ここ10年で自分がしてきた仕事を思い返す、その中で中間管理職の人事管理について考えたことです。
それはもういい。休みの日に仕事のことを考えちゃったな。
自分の強みはなんですか?と聞かれたときになんて答えようかなと思って、色々考えてました。
そして、自分の望みは何か。
真面目に頑張っている人が、喜べる会社であってほしい。
そのために自分の経験や能力を活かす仕事がしたい。
ものすごいことができると思っているわけじゃないですが、自分にできる最大限のことをしたい。
そのためには自分が成長できる環境を求めたいんです。
今の会社では、成長できるとは思えません。
会社には共存共栄の意志がありません。
だからと言って会社が何も考えてないわけではなく、定着率を上げるために手当の増加を計画しているんです。
でもね、やり方が雑なんですよ。
合計を上げてないわけじゃない。でも、問題は合計ではない、分配方法なんです。
そして、もっと先を言えば、金じゃない。
会社の利益を考え、個人の利益を考えていないなと思わせる態度なんです。
お金をばら撒けば社員が残るか?そんな単純なものじゃない。
しかし、ばら撒いた金は戻ってこない。鼠小僧かよっ、おい。
もっと時間をかけて個人を見ろと。
頑張っている人にも頑張っていない人にも同じようにばら撒いてどうする?
会社の経費は政府の救済金とは違う。そこに公平はいらないだろ。
それは公平という名の不公平です。
1倍で働く人と1.5倍で働く人に同額で支払うのは不公平なんです。
社員にお金をかけるのは、結局は投資と同じなんです。
より多くリターンをする人に多く払うのが鉄則です。
それをせずしてどうして利益が残るんですか。
どうして私は休みの日にこんな、仕事のことを考えているんだろう?
面接のために準備しているのかね?やれやれ。スイッチ入ると止まらないんだ。疲れたね。
ま、でも、今回がうまく行くかどうかは別にして、私の会社の中で起きていることはコップの中の嵐。
自分がきちんと踏み出そうとすれば、きっとまた別の世界へ行ける。そんな兆しを感じて嬉しかった。
そして、本日のタイトルと関連ある部分なんです。
今朝夢を見ていた。見知らぬ森の中の一軒家に住んでいて、朝起きると、家の中におばさんがいるの。私と通り過ぎた後に彼女はとある流しに水を貯める。それは、掃除用具を洗うような流し。雑巾とかを絞るようなさ。
ああ、あのおばさんは家政婦さんだとそれを見て思っていたら、そのおばさんが窓から森へ逃げ出すの。
私と顔を合わせてしまったから咄嗟に家政婦のふりをしたけど、その人は泥棒だった。逃げてく彼女を追うために外へ出たのか、そうではなくて私はやはりまだ家の中にいて一旦外に出た泥棒がもう一度別の窓から家に入ろうとしたのか、細かいところを忘れてしまった。
そして、怖くてたまらなくなって叫ぶ。
「おかあさーん、おかあさーん」
声が出ない。私がうなされているのに気づいた主人に起こされて気づいた。
「どうしたの?」
「怖い夢見てた」
それだけ会話すると、旦那はまた寝た。その横で、夢の細かなディテイルを思い返しながらつくづくと思ったんですよ。
人にとってお母さんって本当に大切な存在なんだなぁって。
咄嗟の時に口をついて出るのは、お母さん。生まれてから一番最初に自分を守ってくれた人。
いや、違うな。
生まれる前から自分を守ってくれる人。だって、お腹の中にいるからね。
母子関係というものがどれだけ人にとって大切なものなのか、改めて思い返しました。
そして、お母さんにまつわってとある悲しいニュースについて思い出した。ここには書きません。お休みの日に悲しみに沈んでもね。
ただ、祈ります。一組でも、より多くの親子が幸せに暮らしますように。
まとまりのないままに失礼いたします。
汪海妹




