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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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これからどう生きていきたいか












   これからどう生きていきたいか

   2022.06.11












夕食を外で食べて家族で家へ戻る。おばあちゃんは夜の散歩へ、主人と息子はマンションの中庭をやはりぐるぐる回ってから帰るという。私は体調がすぐれないのでそれには付き合わず、一人で上へ戻りました。体調がすぐれないなどと言って実際はただの二日酔いなのですが。


家で一週間に一回あげている執筆状況のブログを書いていると、


「ママー」


息子が満面の笑顔で戻ってきた。そして、主人は戻るとすぐに冷蔵庫へ向かって何やらゴソゴソし出す。


「猫に餌あげたの」

「そうなの?」

「いっつもの黄色いのじゃなくて黒いのでね」


息子は猫が好きなのである。マンションには居着いている野良猫が何匹かいて、猫好きな息子のために最近よく写真を撮っていた。黒猫も確かにいました。


「自分からよってきたんだよ。でも、食べ物何も持ってなかったからさ」

「うん」

「わざわざコンビニでソーセージ買って戻ったら待ってたの」


息子の笑顔はよく知っている。彼の持っている中で一番の笑顔を見ながら話を聞く。


「それでね。撫でても怒らなかったよ」

「そっか」

「初めて撫でた」


それから、ソーセージは食べなかったから、今度は魚をあげるんだと言って、冷蔵庫から魚を持ってまた主人と二人で降りてった。


息子のこんな笑顔を見られると、それだけで、自分は幸せだなと思うのです。家族みんなできちんと暮らしていけることができて、そして、時々こんなふうに息子が幸せそうに笑っているのを見られたら、私はそれで満たされる。


これからどんなふうに生きていきたいか。


もともと自分は金銭的な欲求を一番に置いて生きている人間ではないのです。

金銭的な成功のみをいわゆる人生に勝つこととして生きていく、その価値観に長く疑問を持ちながら生きてきた人間で、そして、その価値観の影のようなものを見つめながら生きてきた。金銭的に成功できないことによって、心を病んでしまう事例とか。

まさに自分自身もそういう事例の一人なのかもしれませんが。


そして、不器用なままにきちんと正社員になることもせず海外に出て、日本にいればしなかったかもしれないような苦労をしながら生きているんです。


これからどんなふうに生きていきたいか。


だけど、自分はこれからも理想家でいたいなと思っています。

今のやり方ではいけないと言い続けたいと思ってる。死ぬまで。


現在転職活動中で、年齢から言ってそれが結構厳しい状況なのですが、新しい会社とご縁があるまでは、不満を抱えながらも今の会社で私にできる精一杯のことをやろうと思ってます。そして、次の道が開けたらその次の会社でまたできるだけの精一杯をやろうと。


息子が高校生になって日本に一緒に帰るときに、自分がまたどこかで働ける可能性はかなり低いと思ってます。

なかなか見つからなくてもそれでも、自分が働く場所を探してみよう。

そのために今、できる勉強をして、できる仕事をして、そして、社会とは会社とは本来、こうあるべきなのではないかと自分の頭で考え続けることをやめない。


どうせ会社は変わらない。どうせ社会は変わらない。


そんなふうに諦めながら生きている自分のために、そして自分に似た誰かのために


でも、やっぱり間違ってるよって言い続けたいんです。

言い続けたらそれが何かになるかもしれないじゃないですか。


そのための嫌な経験だったんだって、私はそういうふうに思うことにしました。


自分の作品の中の理想と現実のバランスを思いながら。

理想のみで作品をつくり上げてはならないなと思いつつ。

ただし、自分がやりたいことは、理想に現実が引っ張られることなんです。

だから、ままならない現実を知りつつも、でも、そんな現実に負けない、光り輝くような理想の世界を描きたいと思ってます。


そんなふうに生きていきたいなと。


「ただいまぁ」


息子が二回目に帰ってくる。


「食べなかったから、魚、置いてきた」

「そうなの?」

「でも、緊張してたから食べなかっただけかも。いなくなったら食べるかも。そう思って帰ってきた」

「そっか」

「お母さんにも見せてあげたかったな」


私はもう勝っている。

私は人生に勝ちました。

これからこのまま勝ち逃げします。


息子の笑顔をきちんと未来まで守る。


人の人生に必要なものなんて、そんなにたくさんないでしょう?

子供の笑顔が見られれば他のものなどどうでもいい。


どうでも良くはありますが、でもね、もっとたくさんの人が、きちんと心も体も健康で、家族の元へと戻ってほしいと思うんです。

そしてまた、せっかくいいものを持っているのに、それを世の中で発揮できずに苦しんでいるような人が、少しでも少なくなればと思うんです。


それが私の願いです。


また、ウクライナの戦争が少しでも早く終わりますように。


汪海妹

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