AI時代に敢えて必要な語学?
AI時代に敢えて必要な語学?
仕事柄、翻訳が欠かせない。以前は非常に苦労して中国語読んだり、日本語に翻訳したりしていた。もともと学校とかで中国語を勉強した人間ではないので、できる量は限られていた。
それがここ数年は翻訳ソフトも進歩したし、AIが便利でできる仕事量は飛躍的に拡大したし、読める中国語の参考文献の量が爆発的に増えた。
反面、自分の頭を使って翻訳をしたり読まないので、語学力は停滞しているか、退歩している。ここがちょっと難点だが、トータルで見て、やはり翻訳ソフトやAIは便利だ。考え方を変えれば、隙間時間で翻訳ソフトを使っての語学学習もできるはずだ。
そんな時代に、語学力とはなんぞや、という問題にとくと考えてしまった出来事があった。
とある日、保護者のお母さんと子供達とみんなで集まって会食する席があった。そこに普段は集まりに出てこない中国人ママが来たのである。彼女は日本語がほとんどできない。いつもは他にも中国人ママで日本語もできる人がいて通訳になるのだが、この日はいなかった。
「ハイメイさん、中国語上手だよね?」
「ハァ」
来て数年の駐在員の奥様たちより、そりゃ私の方ができる。でもね、私、留学とかして真面目に中国語勉強した人ほどはできないよ。それでもうちょっというと、その日も参加していた別のママさんの方が私より上なんです。
まいったな
と思いながら、まぁいいかと、その一人居づらそうにしているママさんの近くに座った。それから、どんどこ話しかけたか?
いんや。
いかにも気を使ってます的に話しかけると返って窮屈だろうと思って、話し掛けはするのだけれど、適度にほっといた。
すると、である。私のゆるいコミュニケに周りも気が緩んだのか、中国語があまり得意でないお母さんたちも身振り手振りで話しかけ始めた。
そう、これだよなと思う。集まりで、その場のみんなに気を使われ、尚且つ特定の一人にべったりと話しかけられると、された本人もめっちゃ疲れるじゃないですか。そうじゃなくてカタコトでもみんなと話せるとか、あとはその場に入るのが重要。私が一人で一生懸命話しかけて二人だけで話すと、それって場に入ったことにならないですよね。
あの日、あの場にいたママさんたちは、自分がそんなに中国語上手じゃないからと遠慮してたわけだけど。仕事ならまだしも仕事以外で、人間が誰かと話したいなと思ったら、その話す相手をテストの点数で選ぶだろうか?中にはそういう人もいると思うけど、そういうものでもないと思うのだ。
相手に興味があるから話したいわけで、この人と話したいと思ったら例えその人の語学が足りなくても、ちゃんと話せるまで待ってくれるものだ。生きたコミュニケーションなんてテスト用紙の上に転がってない。
伝えたいことがあって、でも、外国語でうまく話せなくて、顔を真っ赤にしながら頑張った自分の色々な場面を思い出す。例えうまく話せなくても、いまいち伝わらなくても、でも、相手はあなたより語学の上手いAさんやBさんよりも、今あなたと話したいと思っているのだ。そして、話しかけてくれたことに喜んでいるのだ。外国人との交流ではこういう側面がある。
外国語の勉強が好きで頑張って留学なんかするときっと自分なんかより遥かに上手い人に出会い、落ち込むこともあるだろう。そんな時はぜひ、一念発起して頑張って勉強してください。しかし同時に知っておいてほしい。
外国語を使って、翻訳をするのか、通訳をするのか、あるいは外国語+別の専門知識で働くのか。外国語を使って仕事をしたいのなら、もっと具体的なイメージが必要だ。知識を極めるのは得意でも対人力には自信がないのなら、翻訳系のものに向かった方が良いだろうし、語学力ではもっとすごい人に負けてしまう人も、自分自身に外国語とは関係なく交渉力がないだろうか?語学力と交渉力は別だ。むしろ、交渉力のある人が語学力をつけていくのが正しいイメージだろう。
AIの時代になった。別に自分で勉強なんかしなくっても、いんじゃね?って時代だが、場面によっては語学力が欲しい。それは、例えば人をやる気にさせて仕事させるときなどである。AIが機械的に話して、やりたくない仕事をしょうがねえなとやってくれるようになるだろうか?
ここぞという時に決めゼリフを表情と仕草をプラスして決めてこそだ。A Iがやってくれるだろうか?
ああだこうだと言い訳してくる輩をああだこうだと説き伏せ、落としてから励ましなんとか仕事に向けさせたり、ありとあらゆるバージョンのいいねを五月雨的に降らせ、自分ってできるかもと思って突っ走ってもらうにも、
自分の語学力はかなり足りないと思う今日この頃である。一念発起、するか?
翻訳ソフトとDeepSeekが相棒の今日この頃。
汪海妹
2025.06.12




