令和の魔女裁判
令和の魔女裁判
何度もこのことは書いていますが、私は基本、ニュースはNHKしか見ないし、Yahoo!ニュースはたまにしか見ないのです。というか、たまには見るようにしていると言い換えてもいい。理由がちゃんとあって、ワイドショーやYahoo!ニュースのコメントは、むしろ面白いのです。好奇心を満たしてくれるし、自分を 『イライラ』 させてくれる。
聖人君子みたく毎日をつらつらと生きている自分の優等生面を少しひっぺがして、バランスを取るために見ているのです。人間、いい人の方がモテますが、ただし、完全にホワイトで人間らしさが希薄、というかいわゆる偽善者くさい人はモテません。私は自分の いい人の程度 を知ってますから、時々 ガス抜きみたいに普段は見ないYahoo!ニュースとコメントを見て、バランスを取っているのです。
本日の文章は、先週の広末涼子さんの事件報道を見たことがきっかけで書いておりますが、広末さんの事件そのものを語りたいわけではないことは御留意いただきたい。事件報道とか、コメントのあり方というか、そういうものに対して感じたことや考えたことを書きたいのです。
今回の事件のみに絞っていうと、事故を起こしたことと病院での暴行の原因が違法薬物によるものではないかと疑われたために勾留になったと理解しています。ただし、推定無罪であり、また、ご本人の身体検査と自宅の捜査からは違法薬物はでなかった。その時点から報道の風向きも変わり、少し下火になったんでしょうか。結論はまだ出てないですね。
ただやはり、まだ罪なのかどうかがわからないうちから、過去から現代までのありとあらゆるプライベートなことを総ざらいで報道されたり、一般人の人も噂レベルの有る事無い事を自由に言い立てる。
彼らは祭りの前夜祭をやっていたのだと思う。本来なら警察が薬物使用を発見して本格的な祭りに突入するはずでした。
しかし、今のところ出ていません。今後も多分出ないでしょう。
この時、確たる証拠もないのに誹謗中傷を喚き立てたことに対して、つまりは、人権を侵害している ということに対しては何のお咎めもないというのはどうなんだろうと思います。
きちんとしたマスコミで、きちんとした報道をする人たちは、多分報道のルールというのを意識しながら、言い過ぎないように注意していると思う。報道する権利はある。知る権利もある。しかし、その内容には線引きがあり、その線を越えて確定してはいないことをさもそれで確定しているかのように報道してはならない。
こういうことが、きちんとしたマスコミはわかってるのだろうけど、マスコミにもいろんなマスコミがあるし、さらに現在はツールの発達で、一般人もマスコミ気取りでさまざまな情報をあげられるようになりました。そして、見る方も、きちんとしたマスコミの情報を見ずに、ネット上の情報を判断根拠にする人が増えてきていると思う。
これを私は、ツールが進化し、しかし、法治国家であるという面では、退化してるんじゃないかしら?と思ったわけです。
事件を起こした方にも責任はあるが、警察や被害当事者や法関連の人たちが多面的に捜査をして、結論を出すわけですから、それを見ている自分達は、直接事案の過不足ない情報を揃えてみているわけではなく、断片的な情報で、なおかつ、法的知識や判断力もないままにありとあらゆる自分勝手な判決を描いて自由に投稿しているのです。
「あ、なんだ、薬物じゃなかったんだ」
そこで、過去描いた判決はさっさとなかったことにしてしまう。
別にSNSなどない昔から、世間というのは勝手にこういう、社会的抹殺と言いますか、勝手な判決を描いて個人を追い込むものなのでしょうが、だからと言って、なぁと思うことがしばしばだ。
突然話が変わる。いつものことなので許していただきたい。
人間の腸内には、善玉菌と日和見菌と悪玉菌がいるそうですが、悪玉菌はゼロにはならないけれど、善玉菌が活発化すれば日和見菌は悪玉菌の味方をするのはやめて善玉菌の味方をするそうですので、世の中もそれと同じだと思う。つまりは、ここでいう悪玉菌は一線を超えてやりすぎてしまう自称マスコミの人たちです。悪玉菌はゼロにはならない。しかし、活性化させてはいけない。腸内の健康のためにね。
戦後の焼け跡から立ち上がり、せっかく物質的に豊かになったのだから、法治国家であるという、そういう、目に見えない制度や仕組みやシステムという部分でも、日本には豊かになってもらいたい。昨日より今日、今日より明日ぐらいでいいのです。
世界的に見て他国よりお金持ちであったとしても、その国の人たちの言動や行動に他国より進んだ何かがなければ、やはりそれは恥ずべきことではないでしょうか。
ジャニーズの件や、松本人志さんの件、中居さんの件、これらは全部、人権の問題と重なっていると捉えています。それと少し角度は違いますが、広末さんの件の報道の仕方も人権が軽視されているように感じています。
一般人の人も猫も杓子も、自分なりに事案に対して判決を出す時代だというのなら、その一般人ももう少し、法的感覚を身につけるべきだと思います。私の願いは、ある程度までは許しても一線を超えてその自分勝手な判決をひけらかすのなら、今度は同じ法律の力で、人権侵害が問題になるような法整備と施行できる仕組みを整えてもらいたい。法という武器は公平に振り下ろされるべきだ。
法律の枠組みで白黒ついていない人を、法的知識もない無名の人々が追い回すなんて、令和の魔女裁判だと言いたいのです。一線を超えた誹謗中傷。これはこれを口にした人も罪を問われるような仕組みが、ツールが進化したのだから必要なのじゃないかと思う。AIの事務処理能力に頼り、デジタルの世界でも犯人探しが容易に可能になるような未来を望みます。
私は、一般人の人と芸能人の人を分けて考えるつもりはありませんので、芸能人の人であっても一般人の人が企業に勤めていて、あるいは生活していて当然守られる人権は、守られるべきではないかと思う。安心して働ける環境を整えなければならないのは、普通の会社だけではなくショービズの世界もなんでしょう。
悪玉菌はこの世からなくなることはありませんから、やはりテレビに顔を晒して、自らが商品として生きていかねばならない芸能人の方は、悪玉菌からの誹謗中傷や度をこした詮索というものに身を晒して生きていかねばならない。昨今では一般企業の中でもうつ病等の精神疾患を発症してしまう人が増えていて、会社は従業員のヘルスチェックのみでなくメンタルヘルスチェックの仕組みを整えているかと思います。所属タレントの方の心の健康を守るための仕組みを整えることが、タレントの所属会社の責任となっていくのではないでしょうか。
そういうところに企業の責任を要求するような、法律や実行制度が日本にあるのかな?とふと思いました。もしもそれがなかったとしても、現在は企業責任が問われる時代ですね。法的には無罪であっても社会責任が問われる時代です。だから、フジテレビのスポンサーが広告の掲載を止めているわけで。
中居さんの件にしたって、加害者も被害者も生まないという方針がフジテレビにきちんとあり、その仕組みを整えていれば、長く応援してきたファンの方々があんなに残念な裏舞台を目にしてしまうこともなかったと思うのです。それもある意味、被害の社員の方と同時に芸能人の方を守ることにつながっていたはずです。
長らく続いてきたジャニーズの問題を一番最初に報道したのは、確かイギリスの報道機関だったと思うのですが、この時私たち日本人は、
恥を知れ
と海外から言われていると受け止めなければならなかったのではないか。指摘されたのはその行為自体だけではなく、問題を組織的に隠し、いわば、個を潰し、組織を守ろうとする体質とでもいうのでしょうか。個に何か問題が起こっても、それを問題化し浄化することが難しい、この状態なのではないかと思う。海外の人はそれを外から見ているから、もっとはっきり見えているのじゃないかなと。
CSRというのは言われるからやるものでは本当はない。でも、日本ではやはり意識が低いと思う。CSRの取り組みをしたからといって、利益率が上がるものでもないし、客先から監査される時に合格するぐらいのやる気で取り組んでいればいいんじゃないの?という感覚が一般的かと思う。
少し狭い範囲で物事を見てそう思い、今度はその見る範囲を広げて考えるのですが、例えば、個人の人権を大切にせずその人に問題が起こり退職してしまっても、新しい人を雇えばいいからそれでいい、そんなふうに考えている会社も多いのかなと思う。
でもね、今、あっちでもこっちでも人手不足が叫ばれていますよね?
若い世代の方の意識はきっと、ジャニーズの問題を報道した海外のメディアにもっと近いと思います。今までこれでやってきて問題なかったから、これからも問題は起きないなんだという感覚は、どうなんでしょうか?世代間の価値観に断絶が見られます。
会社という大きなものは、明確なメリット・デメリットが示されなければ、本腰を入れない存在なのでしょうが、こういう諸々なことは今後将来にわたって、経営の根幹により関わってゆくことになるのではないでしょうか。
もう少しいうと、自分は物質的なものにはあまり興味がなくて、精神的なものに価値を見出す人間ですので、会社とか経営とか興味がないのです。ただ、個人が幸せに生きていくためには、働きやすい会社というのが必要なのでこんなことを書いているわけです。
広末さんの報道を見ている時にモヤモヤっとしたのが一体なんだったのか、自分が何を考えているのかわからないので整理するためにこんな文章を書きました。考え慣れていないというか、書き慣れていない私の中の新しいトピックだったのかな。いまいちまとまらなかったのですが、今後の思考の土台にしたい文章ということで、ご理解いただければ幸いです。
中国の自宅より
汪海妹
2025.04.13




