頑張るの周辺
頑張るの周辺
本編に入る前に一言。ドンファンさんの事件、被告に無罪判決出ましたね。疑わしきは罰せずってやつかと思いつつ、いやでも、めっちゃ疑わしいですが?と思いました。ちなみに報道を見ながら自分がやっていたことはこうだ。
「ネットで覚醒剤購入の検索をしていた履歴が……」
そうか、自宅PCか自分のスマホかiPadで検索履歴が残ったんだ。じゃあ、足のつかないネカフェとかのPCで必要事項は検索するのだな。で、あたしはメモ魔だからノートにメモしちゃうと思うんだけど、実行後早速捨てないといけないな。ふうむ、しかしまだこの計画を実行するには調査が足りないな。万全を期すためにはもう少しプランニングしないと。
……
おっと、なんの計画だったかな。おほほ。やれやれ。思わず殺害計画の参考にしてしまったぜ。殺害予定もないのに。つうか、こんなとこにこんなこと書いてて私の周辺で人が死んだら、どうよ?やべやべ。小説の参考にしようとしただけです。<(_ _)>ってことで。
で、今日はドンファンの話ではないのである。今朝のNHKに天海祐希さんが出てました。それで、祐希さんは非常にストイックに頑張ってきたし今も頑張っているんだぜいという話をしてたんです。テレビの前で、「あ、あまみさんだー❤︎」と思ってた自分。あまみさん、には❤︎なんだけど、頑張るのトークには、
どよーん と朝からしてしまったぜ。
「いこ」
「おう」
息子に声をかけられ家を出る。現在中1ですが登校はアチキが同行しております。テンポラリーな措置です。とんでも事件が起こったからな。それから、サクッと私の身長を追い越して現在も発展中の我が子を学校に送り届け、地下鉄に向かいながら、頑張るの周辺について考える。
頑張るという観点でもって人間は 種族を分類できると思う。黄色人種で、頑張る族、スイッチ族、逆ギレ族、厭世族、その他。便宜のためにめんどくさいのでその他をつけておく。
それでは黄色人種 頑張る族から説明しよう。とにかくアグレッシブに努力する人だ。頑張るって気持ちいい!
次へ行こう、スイッチ族、頑張ろう!とか、頑張って!とか言われると「頑張んなきゃ、頑張んなきゃ」とスイッチが入り、コマネズミのようにカラカラと心の中の回し車を回し始め、最後に自爆する族だ。
次へ行こう、逆ギレ族、頑張ろう!とか、頑張って!とか言われるといった相手に噛みつく族だ。「はぁ?お前が頑張れよ!」羨ましい人たちだ。
次へ行こう、厭世族。頑張ろう!とか、頑張って!とか言われると、「え、努力とか無駄だから」「いや無駄じゃないよ」「いや無駄だから」取りつく島のない族である。ナチュラルに省エネな人たちである。怒りのエネルギーも使わないので、カロリー消費は逆ギレ族より低い。
あんたはどれに属してるのや?って言われると、もちろんスイッチ族です!ふえーん。あまみさーん!頑張ろうと思っても頑張れなくて、燃え尽きちゃう人たちもいるんだよーん。ふえーん!
ひとしきりガキのように泣いておいて、ちょっと気を取り直して説明を補おうかの。スイッチ族もですな。地味に努力はしてます。よいしょ、よいしょ、的なね。しかし、この人たちは愛すべき小市民。
「あの頂を目指せえええええ」
みたいなスケールのことを言われると、入れてはいけないスイッチが入ってしまい、結局は頑張りきれないのよ。プレッシャーばっかりかかって、自分を浪費した挙句潰れますぅ。
あまみさんは間違いなく頑張る族だろう。迷いがない。まっすぐ頂を目指す系だ。こういう人たちは清々しいのだが、ややこしいのは他人を巻き込んで頂を目指させようとすることで、誰でも頑張ればいただきに辿り着くのであって、辿り着かないのは努力が足りないからだと信じ込んでいる。
「海妹ちゃーん、ほら、もっと気合い入れて行こうよ!」
「えーーーー」
人間には器の大きさというのがあり、その大きさは人によって違う。あまみさんみたいに有名で元気で前向きな人を見ると、自分と比べてドヨンとなるが、あまみさんと比べたらそんなにたいして頑張ってなくても、自分的には頑張ってる。これ以上頑張ると私は壊れます。だからほっといてください。
面と向かって申し上げるとあの目力と勢いにやられそうなので、ちまちまとお手紙を書いて、つうか、メール?ポチッと送っとくか。ほっといてください。私なりには頑張ってるので。これ以上頑張ると壊れるんですっと。
よしよし。
ちなみに自分的には、これは感覚的な問題ですが、日本人はスイッチ族が多いような気がする。真面目でコツコツと頑張っているのだが、その地味な努力はなかなか いいね! されず、自分もイマイチ、自分が頑張ってると思えない。半信半疑なのだ。そこで、
「頑張ろう!」
と声をかけられると、
(え、俺、頑張ってない?頑張ってないから頑張ろうって言われてる?)
被害者意識マックス!!ちなみに頑張ろうを連発する頑張る族は、言われた相手がどう受け取るかなんてこれっぽっちも考えない。彼らにとって 頑張ろう はお祈りの言葉のようなものであり、尚且つ、あいさつなのである。なんてったって、 頑張るのって気持ちいい! っからな!みんなそうだと思い込んでいる。
ぶっちゃけ、一回死んでこい、と言いたいが、気の小さいスイッチ族がそんなことを面と向かって言えるわけがなく、
え、俺、頑張ってない?頑張ってないの?頑張って見えない?つうか、成果出てない?(以下省略)
ちまちまちまちまと積み上がってゆく不安。からの、
頑張んなきゃ、頑張らなければ、頑張んないと、うおおおおおお
スイッチ族に火がつく。しかし、頑張る族は火がつけば成果を上げるが、スイッチ族は燃え尽きる。結論から言うと、スイッチ族に ぶっちゃけ 頑張れ は本当は禁句なんですよ。
しかし、世の中のほとんどの人は、そんな真理を知るわけはなく、今日も頑張るって気持ちいいって思ってる人から、「頑張ろ!ね?」と禁句を浴びせられる。こんな時、スイッチ族はどうすればいいのか?この気の弱い人たちは?
「かったりいなぁ、やってられんすよ。たく」
不良でもないのに、こっそりと不良の真似をする。さぁ、燃え尽きないためには心の片隅に不良を飼いなさい。どんな姿形の不良でも良いから。ささ。
「こんなことくらい俺っちにかかったら、ちょちょいのちょいよー」
別に有能社員でもないのに自分が有能で万能な神にでもなったみたく妄想してみる。
「あー、もう、適当にやろ、適当に」
スイッチ族に必要なのは、頑張ろ ではなく、適当に である。ちなみに不良やら万能の神やら適当やら色々書きましたが、それでも根は真面目なのであくまでポーズにしかならずスイッチ族の本質は変わらない。
今日も疲れた。てくてくと家へ帰る。頑張れど頑張れど我が暮らし楽にならざり、ただじっと手を見る。じ。
……
ビールでも買って帰るか。
俺なんかいなくたって世界は回るんだよんだ。てやんでい。脇役、ジョートー!
「ちょっと何いってんのよ、海妹ちゃーん!」
「キャーーーーー」
なぜかコンビニのビールが並べられた棚の後ろから天海姉さん現る。
「人生、主役にならなくてどうすんのよ、ほら、飲み行くわよ」
「きゃー、私は缶ビールでいいんですぅ。きゃー」
「何あの、くらーい、メール。いいから行くわよ」
「キャーーーーー」
肴は炙ったイカでいいー、きゃー、たすけて〜。
ちなみに、自分は地味なスイッチ族であるが、この地味さが受けて、割とガンガンバリバリな頑張る族にはモテるのである。刀持ちに雇いたいNo.1かもよ。自慢にならねーーーー。
「なに、のむ?ギムレット?」
「なんでギムレットじゃあああ」
今日は、終わらないままに終わる。ちなみに天海祐希さんはわりと好きな方だ。
汪海妹
2024.12.12




