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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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空気よみます。そのに。













   空気よみます。そのに。












スタバに来ると、コーヒーが来るまでの短い時間で絵を描きます。今日も描こうと思ってノートを開いたら、他の人の絵が見つかり写真を撮りました。そうこうしているうちに頼んだものが来てしまい、今日は絵を描けませんでした。


損をしたような気が、ほんの少しだけしたような気がするが、まぁ、いいか。ちなみに勝手に掲載したが、ご本人から文句が来る可能性はかなり低いと思う。深圳のとある中国人の方がスタバで描いた絵が、日本のnoteで公開されてますからね。


本日は、先日書いた空気よみますの続きである。何を書くかというと、中国人の人の空気よみます。


いや、それは、中国人の人は日本人のようには空気を読まないということで終わったんじゃないの?って話ですが。ちゃうねん。中国人は空気を読みます。ただ、空気を読むシチュエーションが違うのです。


お客様は神様 → 日本

権威、権力者は神様 → 中国


取扱注意な話題なので、アチキも流石に本日は歯切れが悪いと思いますが、許してくださいませ。


私が縁あってこの国に長くいます。できればうまい干物が食い放題の祖国に早く帰りたいですが、なんか怖いことあったらさっさと逃げようと常に及び腰でここに暮らしてる。最近になって常々思うことは、この中国人の人たちの時勢を見る目の確かさです。


私はこれは歴史の違いからくるものだと勝手に思ってますが、中国人はとにかく風呂敷にいつも自分の荷物を詰めて、常に背負っていて、なんかあったらさっさと逃げる態勢でいる人たちだと思ってる。変化に強い。たくましい。ひっくり返せばひと所に落ち着かない人々。


そして何より常に 誰が今力を持っていて、誰と誰が仲がいいかを観察している人々です。この空気の読みが半端ない。


例えば会社の中でAが力を持っていたら、Aにおもねるのですが、Aが力を失った途端に、手のひら返してBにつきます。そうしないと生きていけないと本能で知ってるのですね。


何も知らぬは日本人ばかりなり。怒らずに聞いていただきたい。これは半分冗談で、半分本当の話です。中国語が話せたり、観察眼の高い日本人でなければ、社内の中国人社員の人間関係は掴めないでしょう。表面的なものではなくて、裏の、ですね。


そして、対外的なやりとりです。当局とのやりとりや或いは顧客とやり取りをするとき、中国ではもののズバリで要求を出してはきません。ここで私が言っているのは、表の交渉ではなくて、表の交渉の文字の裏に潜んでいる意味です。


この、裏読みの時に中国人の見せる空気を読む能力には……


本来、脱帽と言いたいところですが、農耕民族である自分としては、正直言って、


干物の食べられる日本に帰りたい。ウエーん!


恐怖以外の何ものでもない。


中国では、表の話の後ろに裏の話があり、それは文字化されません。まるで、万葉集の和歌のようなやり取りなのですよ。それを解さない無粋な人間には、ドアが開かないのです。


先日、対アメリカと対中国の外交について話されていた方が、アメリカも中国も強引な外交態度であると評した後に、ただアメリカは要求を明確にするからまだ付き合える。中国は要求が曖昧であると言ってました。


なんとなくわかる。様々な場面で、扉が開かなくなる国ですから。


ちなみに、あまり問題のないようなところでご紹介すると、とある日に、突然、お宅の会社の電話が繋がらなかったから、なんて理由で登記状況をグレイにされてしまうなんてことが起こったとする。日本人だったら、電話が繋がらないなんてことねだろ。いちゃもんつけやがってとプリプリ怒るのだが、中国人はすぐにカレンダーを見る。中国では日本でいうお歳暮やお中元を渡す時期というのがある。その時期にいちゃもんをつけられたということは、プレゼントを持って挨拶にこいという意味である。そこでプレゼントを持って会いにいくと、お前の会社では新年会とかやらないのかと言われる。それから、最近親戚がワインの輸入を始めてねとおしゃべりされる。これはお前の会社の宴会で俺の親戚からワインを買って飲めという意味である。


ちなみにこういう傾向は時代とともに縮小している。しかし、ゼロではない。だから、現代中国人は、正攻法かそれとも否か、目の前の相手がどちらを望んでいるのかを常に探りながら右のポケットと左のポケットに相手の要求に応えられるものを用意して生きているのである。


目を見開き、耳の穴かっぽじって、常に前傾姿勢で、ドッカと椅子に座ってるような人はいない。それくらい競争の激しい社会だ。ドッカと椅子に座っていては、明日はないという信念がある。


ちなみに、ざっくり言って仕舞えば、時代と社会の変化とともに、この中国でもだんだんと正攻法以外のやり方が使えなくなってきている。ぶっちゃけ、正攻法以外の方法が使えた方が楽である。この国は表の要求がこうと決まれば、やると言ったらやると言って逃げ場がない。


とんでもないことをやると言われて仕舞えば、企業として憤っても構わない。しかし、それは、よくできた演技でなければならない。本気で怒ったからと言って、道が開ける国ではないのである。あくまで憤るのは交渉手段であり、ポーズである。現在の状況で、どこまでなら憤っても安全かを見極めてやる演技でなければならない。


大事なことは表とは違う。裏で決まる。表でやり取りされる言葉や出来事の裏に、真意があるのである。だから、中国の専門家の人たちは表で発表されたことの真意に対して、今までの経験と分析からくる見解を述べるのである。


大きな政治の世界だけではなく、日常的なビジネスの世界にもこういったことが浸透している。日本から来てそういう曖昧さというか、アッチョンブリケ(手塚治氏ブラックジャック、ピノコによるとんでもないこと)な展開に、一般的な日本人は一通り憤り、次に中国が嫌いになり、それでも会社からは中国で仕事しろと指令が出ているので諦めの境地にひたり、最後に日本人改めしたたかな日本人となる。


帰りたいのに帰れないまま長くなってしまった日本人として一言忠告申し上げる。海外だから、その文化をわかった気になって大胆なことをするのは気をつけた方がいいと思う。慣れてきてわかっているからこそ、慎重になった方がいい。


長く海外で暮らしても日本人である。日本のいいところは慎重であるところだ。日本のいいところを捨てて、中国であれアメリカであれ、中途半端に海外にかぶれてはならない。あくまで日本人として異質なものの中でどうやって生き残っていくかが大事なのだ。


中国で空気を読まなければならない時は、信頼できる中国人の手を借りるべきである。


汪海妹

2024.11.12


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