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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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盾を持たない












   盾を持たない

   2022.01.22











   

 とんでもない夢を見ました。


 とある中国人男性と夢の中で再会して一緒に仲良くカラオケをする夢。

 その時はそばに主人がいて、でも一次会が終わった後に私は一人で外を歩いている。

 路上で隠れていると、向こうをその男性が仲間と楽しそうに話しながらこちらに来るのが見える。

 見つかってはいけないと思うのに見つかる。夢でよくあることですね。


 その仲間の数人と彼と一緒に二次会に行こうと笑顔で言われる。

 着いて行ってはいけないと心の中のアラームが鳴っている。

 向こうは全て男性で、女性は私一人。

 これ、危ないやつだと思ってるところで一旦目が覚めた。


 この夢のどこがとんでもないかというと、この男性はまぁ、色々あって脅迫を受けた相手なんです。

 主人初め、ごく親しい人は知っている話です。念のためと言われて警察にまで行ってますから。


 夢の中でレイプされるかもしれないという恐怖を感じて、普段の生活ではそんなことないわけですから、なんで今のタイミングでこんな夢を見るのだと夢と現の間でぼけっとしていた。


 そしたら、もう一つとんでもないことが起きました。


 大昔の経験が、ひっくり返った。魚をひっくり返すみたいにひっくり返って、あの出来事の私の中での新解釈がもう数十年も経って浮かんできた。学生時代の話です。そこそこ洒落にならない話ですので、詳細は省きます。


 ああ、あれって、そういうことだったのか。


 残念ながら良い経験ではありません。でも、ひどい経験をした時って忘れようとしますよね。

 本当に見事に忘れてたんだなぁ。


 自分はそういうところがあるなと。きっと人間の防御本能だと思うんですよね。

 清ちゃんの物語を書いてから、自分の中には一つの自分に対する見方というか、考え方というのかな?があって、

 私は自分を守る盾を持たずに生きているんです。


 もうちょっとだけ具体的にいうと、喜怒哀楽の中の怒が足りない。結構足りない。

 怒るという行動は自分を守るために必要なことだと思うんですね。

 だけれど、怒れない人間というのは世の中にいるのですよ。

 例えば私。そして、きっと私以外の誰か。


 学生時代のその洒落にならない経験が起きた時、怒れなかった。

 周りに対してちっとも怒れなかった。

 そして、自分は自分の心の中でも怒れなかった。

 怒ったり悲しんだりすることを忘れました。


 だから、まぁ、平気と言えば平気だったんです。でも……、それって、いいことじゃなかったんだなぁ。

 その時付き合ってた人とあまりうまくいってなくって、そんなフラフラしてた時期に、自分が弱ってたんでしょうね。訳のわからないトラブルに巻き込まれて、で、傷ついた亀は甲羅の奥に閉じこもる。それがあった日の帰り道に唐突に彼氏に電話して別れようと言ったんだった。


 その後、3ヶ月ぐらい経った頃だったかな?同じ学校だったから学校の近くで再会して、で、寄りが戻ったんです。その後また別れちゃったけど。


 もともとあの時、彼氏の態度に傷ついたり悩んだりしてたけど、それも、ぶつけられなかった。そして、洒落にならない経験をしました。そのことも彼氏にも友達にも家族にも言ったことなかったな。


 本当に洒落にならないこと、子供の頃やこの学生時代の頃のこと含めて、ほぼ一人で飲み込んで生きてきたのだなぁ。

 その後も例えば脅迫されたこととか、洒落にならないことはたまーに起きてきた。私を助けようとしてくれた人はいたんです。いつだって。

 敵もいたけど味方もいた。


 でも、頑なに一人で解決しようとしてきた。


 昔よりは人に頼れるようになってきたけれど、それでもまだ足りないというか。


 スラ転。転生したらスライムだった件。

 グラトニーというスキルがあるんです。

 何でもかんでも飲み込んでしまうところが、自分の行動に似てるなぁとふと思った。

 でも、自分は飲み込んだものからスキルを吸収するなんてことはできません。もちろん。


 私が飲み込んでいるものは、嫌な経験そのものです。

 なかったことにしちゃう。そうすると傷つく必要がないから。


 起こる全てのことを飲み込んでる訳じゃない。

 だけど、自分は怒って相手に怒りを返すことができない人間ですから、その怒りを自分で処理するしかない訳です。

 生き方は自然に、できるだけ怒りを感じるようなぶつかり合いを避けるようになる。

 行動は制限されます。

 頭は悪くないけれど、仕事の場でガンガンいけないのは理由がある。上のようなね。

 コミュニケーションは苦手です。ぶつかり合いを避けれない場面が仕事の上ではあるからね。


 大人になって随分回避する能力が上がったから、ひどい目に遭う前に逃げられてるけど、それでも、脅迫されたりしてるしな。

 今より昔、20代前後の頃は、そりゃもう、落とし穴にいつ落ちるかビクビクしながら進むような毎日だったなぁ。

 10代ってほんと、危うい。


 変な夢を見て、そして、大昔にまでトリップした。

 人間の脳というのは不思議です。


 自分が大きな大きなスライムになって、リムルのような。

 大昔に間違えて飲み込んだまま吐き出せないでいた、魚の骨のようなものを今日ぷっと吐き出した気がしました。


 そして、あの頃付き合ってた彼に、もう会えないし連絡も取れませんが、あの頃、心を開けなくてちょっとすまなかったなと思います。

 これもまた、青春のリグレット、かな?


 ごめんなさい。時効だな。きっともう覚えていない。

 或いは、覚えているかなぁ?


 それよりも、今か。会えない人ではなくて今そばにいる人ですよね?

 あーーー


 嫌われる勇気の中で語られている。確かに勇気がいるね。これは。

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