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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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愚痴

 この前、神田沙也加さんが亡くなったニュースを見て、非常に動揺してしまいました。


 後から冷静になってから思った。


 きっと彼女の周りには彼女の親身になってくれる人がいただろうに、うまく心のたけというかなんというか、言えずに亡くなってしまったんだろうなぁと。一人でどんどん思い詰めて。その姿に自分を重ねてしまったのだと思います。あんなに動揺したのは。


 そして、自分の母親や姑を見ながら思う。


 私の母はね、結構幸せな人だと最近思うんです。

 自分の才能を生かして仕事をする、というような運には恵まれませんでしたけど、家庭を築き、孫も4人います。

 だけど、毎日ホクホク生きているというわけでもないんですね。


 そして、姑は、家族のために毎日山のように肉や野菜を買ってきては、料理をする。料理が残ると、満たされないのです。でも、息子はともかく夫や私はもう、肉は控え目に、ご飯もあまり取ってはいけない年代ですね。別にイジワルしようと思ってたくさん食べないわけじゃない。だけど、それが理解できず、空周りをしてしまう。また、残った。また、食べない。何を作っても食べないと愚痴のように言うのが口癖なんです。


 心のあり方を変えなければ、人というのは幸せに歳を取れないものだなとつくづく思うのです。

 周りの人とのコミュニケーションが難しくなってしまう。


 正しい言葉、正しい行いで接すれば、必ず周りもその人を好くことはあっても嫌うことはない。

 そして、歳を取ったからと邪魔にされることなんてない。


 歳を取ったから邪魔にされるのではなくて、その言葉や行いが周りの人を困惑させてしまうのだと思います。


 歳をとれば体が弱くなるから、心の弱さを隠すことができなくなるものだと思うんですね。

 で、心の弱さでもって周りに接すると、周りを困惑させてしまう。


 そうならないためには、体と同時に心も鍛えるべきなんだな。

 若い頃から毎日きちんと、体と心を鍛えるべきだ。


 言うはやすし、行うは難しです。


 ただ我慢すればいいものでもない。無理をして表面だけで優しくしたって、そんな表面上の優しさは歳を取れば余裕がなくなって、本音が露呈します。そうではなくて、心から無理なく人に優しい心持ちでいられるためにはどう生きたらいいのか。


 そんな難しいことの答えなんて知らないよね。


 ただ、一つ思うことがあります。

 他人を愛するためにはまず、自分を愛さなければならないのだと思う。

 自分をしっかり愛している人というのは、他人に対してもまっすぐな愛情を示すことができると思うんですね。


 我慢と無理はいけません。


 自分を自分が愛して初めて、周りの人の自分に対する愛情に気づくことができる。だから、自分の行いは自然にその愛に応える行為になるのではないでしょうか。


 結構、難しいことだと思います。

 例えば、夫婦。新婚の時ならまだしも、結婚して長くなってきた時、相手の愛情を素直に信じることができますか?


 主人と喧嘩しなくなって随分になりますが、私たちの仲が悪くなってしまったきっかけは、私の姑に対する態度を主人が気に入らなかったからです。それまではずっと仲のいい恋人同士でした。


 あの頃は、よくわからなかったんです。ただ、このまま喧嘩を続けていたら持たないなと、主人に言いたいことを言うのをやめてしまいました。ただ、長い時間が経って、今わかることがある。


 奥さんとお姑さんが喧嘩して困るときはね、それでもやっぱり奥さんに対して優しくしてあげることだと思います。自分の母親を受け入れないことに怒ってしまってはいけないと思いますよ。あの頃、よく思ってた。主人はじゃあ、私の両親と一緒に暮らせるのかと。他人の親を受け入れるのって結構大変なんです。自分がやってもないし、できるかどうかわからないことで一方的に責められている気になりました。


 あの時、それでも主人が私に優しくしてくれていたら、私の心に余裕ができる。心に余裕ができたら、おばあちゃんにももう少し優しくできる。


 愛情というのは、与えられれば返すことができる。だから、相手を責めるのをやめて、やはり愛情を与えるというのは家族にとってとても大切なことなんじゃないかと思います。


 自分が我慢すればと我慢しても、無理をしている自分からは正しい言葉も正しい行為も導き出せませんね。

 それだけは学んだ気がします。


汪海妹

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