エステに行って施術師に怒られた話
エステに行って施術師に怒られた話
「あんたなんでエステ受けてるの?」
「……」
「キレイになりたいからじゃないの?」
この前行きつけのエステで、そのエステとコラボしている美容医院が無料キャンペーンみたいなのをやっていて、そのお姉さんにガチで叱られました。日本では今、カスハラというものがあるじゃないですか。これ、その逆バージョンじゃね?って話だよ。日本じゃありえないが、この国だったら有り得るだよ。
そして、ここから、被害者の中年女性 仮名Aさんは語る!でインタビュー記事をお載せしよう。つうか、私なんだけど。
で、話は昔に遡る。すみませんね、この人(私)話の長い人なんです。つまらなければもう、読んでる途中でうっちゃっといてください。そもそもなぜ、私がエステなんぞに行っているのか?昔は安かったのよ。「へー、中国ならこんな安くできるんだ」あの頃物価がまだ日本と比較して安かったからね。だから、日本より安いから行ってもいいかと思って行き始めたわけで、私はそんなガチの美容オタクでもなんでもないんです。
そしてここでエステの見込み客について分析してみよう。多分二種類いる。
・美魔女
・隠れ乙女(→私はここに所属)
美魔女は思春期の頃から女の子しているおしゃれ番長みたいな人だ。そして、隠れ乙女はクラスの端っこでメガネかけてスカートもなんか長くって、勉強は良くできるような女子だ。
私は、可愛くもないし、もう、結婚とか諦めて自分で稼ぐしかないな。(→ちょっと誇張入っております)しかし、自分なんかと思っていても実は隠れてコソコソ少女漫画とか読んで、恋愛に憧れている系だ。こういう人は男性経験は遅くなるだろうし、コツコツ頑張っていい大学入って手堅い職業についてきっちり貯金しているだろう。
しかし、手堅い職業についてきっちり貯金してその貯金通帳の残高を見て、ホクホクしつつも、時折心に隙間風が吹くわけよ。
私の人生、なんか足りない。
そして、おっかなびっくりエステとかしてみたいと思うわけだ!
さて、ここでクイズです。
・美魔女
・隠れ乙女
どっちがエステ店からみていいお客さんでしょうか?
パッと考えたら、バンバン美容にお金かけそうな美魔女だと思うじゃないですか。しかしね、美魔女は移り気な訳。だって、アクティブに美を追求しているから、いろんなエステ店を比較してコスパのいいところにじゃんじゃん行くし、店から見たらこの顧客を維持するのが難しいと思うわけ。反面隠れ乙女はエステ店が怖いわけです。
ここ、重要だからもう一度言うぞ。隠れ乙女はエステ店が怖いわけ
マーカー引いとけ。一度その門を潜って馴染みのエステティシャンができたら、まず、よっぽどのことがないと他店に移りません。そして、コンプレックスというのは根が深い。人間コンプレックスを解消するためにはついついお金を使っちゃうものなのよ。尚且つ、隠れ乙女はコツコツ働いているから小金を貯めている。
そこでね、美容販売員としては美魔女に対してと隠れ乙女に対してはセールストークを使い分けなきゃ行けないわけ。
そして、ここで被害者のAさんのインタビューに戻ってみましょう。
わしゃ、中年女性だし、はじめは安いからと思って通い出したエステのお姉ちゃんたちに上手にたかられて、効いてんのか効いてないのか、自分的には焼け石に水エステだなと思っているエステにそれなりの金額をかけてしまっていて、最近特に、
こう、歯って生え変わる時にグラグラするじゃないですか、めっちゃグラグラしてたわけ。
無駄じゃね?無駄じゃね?無駄じゃね?無駄じゃね?
しかし、すっきりスパーンと、もうやめるー!と言えないのはそこにべったりとコンプレックスな自分を抱えているからなのよ。わたしゃ隠れ乙女で、容姿コンプレックスが強かった。昔ほどじゃないけど、それがまだ残ってる。
そんな歯がグラグラしているときに
「あんたなんでエステ受けてるの?」
ほんとに、なんでなんでしょうね?改めて考える機会を与えてくれてありがとう❤︎
そして、被害者Aさんの体験談は続く……
「エステで施術の時って寝っ転がってるじゃないですか」
あいつら、あの美容販売部員な、客に鏡を見せる角度とか指示されてやってんじゃないかね?人間がよ、寝っ転がった体勢で首だけ持ち上げるような角度で鏡を見たらどうなります?よほど骨と皮でない限り、二重顎になるんですよ。二重顎になるような角度で鏡を見せて、その後美容販売員はなんといったのでしょうか?Aさんに聞きます。
「お前、この顎周りの肉はどうだって人の肉を摘むんですよー」
男も女もなー、ある程度の年齢を超えてくるとまず顔全体の皮膚が緩み肉が下に弛んでくるのよ。特別な処置をしない限りは大なり小なりそうなりますよ。そして、これは共通の悩みなのよ。
これは名付けて脅迫営業だ。
「どうしよう?あたし、このままいったら、荒地の魔女みたいになっちゃう!魔法の解けた荒地の魔女にー」
Aさん、なかなかマニアックな被害届出してきたな。今やらなきゃお前、醜いババアだぞっと。密室でこうやって攻めるのが、中国での営業スタイルなのかもね。絶対、鏡見せる角度までマニュアルで決まってるよね。
しかしだなぁ、なんというか、多分隠れ乙女でこれに引っかかる人は少ないんじゃないかなぁ。ほら、隠れ乙女はコンプレックスに右往左往していても、勉強してきた頭脳には自信のある人たちじゃないですか。
こいつ、アホだなーと本気で思っちゃったのよね。お前は美容関係の本を読む前に、つうか、本とか読まない人なのかもしれないけど、顧客心理を掴む本を読めと言いたかったよ。
「というか、私、早く帰りたいし、試しで施術してもらっても買う気はないから別のお客さんとこ行ったほうがいいよ」
あら、被害者Aさん、そんな態度とっちゃったら被害者と言えないじゃないですか。でもね、説明はくどいし、ポイントはないし、大体、ちっとも私むけに話してないから1ミリも心に刺さらないんだもん。時間の無駄以外のなんでもないよね?
そしたら、美容販売員のお姉さん、怒った。おいおい、俺が客だぞ、お前が怒ってどうする?と思いましたが、怒った。からの……なんていってたか忘れた。興味なかったんで。ただ要旨をまとめるとこうだ。お姉さんに言わせると、世の中で女に生まれてきたのにキレイになるために努力をしない人は信じられないそうです。
来たよ……自分の価値観の押し売り。努力がどうのの話じゃないのよ。論点がズレてる。あなたの美容医院の商品が、ただ単純に高すぎるのと、そもそも私は芸能人でもなんでもないし、そこまでキレイになる必要ないんだよ。
お前の価格帯で顧客として対象になる富裕層ははっきりいって少ないと思う。深圳だけみてもエステの数は半端なく増えてて、エステ界は間違いなくレッドオーシャンです。そこで、何の根拠があってそんな高い値付けしてんだ?(ちなみにリフトアップで 初回6万円、全体で80万円らしい。日本でもこのくらいするんですかね?しかも、本当に効果あるのか眉唾)
その商品を揃えて、どれだけ顧客ゲットできるか、売り上げ計画はどうやって建てたのだよ。この不動産から始まって不景気な中国で、個人消費もイマイチ力のないと言われている昨今で、んな値段のものホイホイ売れるか?深圳界隈の富裕層の全体人数に占める割合は何パーセントだ?売り上げ計画立てる前にそういう数字を調べろよ
ど素人が!(→キングダム、桓騎再び)
隠れ乙女を本気で怒らせると、理論武装で飛びかかってきます。お気をつけください。みなさま。
それではここで、美容販売員の役目について考えてみよう。それは、美を世に普及させることか?否!自分の会社の商品を売ることです。お客様には美魔女と隠れ乙女とその他がいます。お客様モデルは美魔女を使ってください。隠れ乙女はコソコソと鼠小僧のようにエステ店に通ってますので、そのままそっとしてやってください。中には食事制限もせず、運動もそれほどせず、おしゃれな服もたいして買わず、寝癖をつけたまま、鼠小僧のようにエステ店に来るお客様(私)もいますが、お金はきっちり払ってるんです。新登場した多分適当に値段つけたなと思われる眉唾商品を買わないからといって、鏡の角度を工夫して、お前すでに荒地の魔女の入り口に立ってるぞ、おら!と人様の顎を摘んで新商品の購入を迫ったりしないでください。
「お前、何のためにエステやってんだよ!」
と言われて、確かに金の無駄だな!と客に悟らせてどうする?お前の仕事はなんだ?世の中に美を普及させることか?違うだろ。自分の会社の商品を売ることだ。例え美しくなるためにたいして努力をしていなくとも、お金を払ってくれたら大事なお客様なんだって。あんたの商品が売れないのは、世の中に美しくなるために努力している人が少ないからではなく、君たちの美容医院のマーケットリサーチと価格が現在の経済環境とずれているのと、ターゲットである富裕層とズレたところに売り込んでいるのと、そもそもターゲットは他のエステ店と奪い合いの状況で、君の美容医院の顧客獲得に戦略がないところと、お前のセールストークが全くなってないからだ!
何度もくどくどとすみませんでした。
被害者A「私はエステ店で、お前は荒地の魔女の入り口に立っている!と脅された」より抜粋
宮崎駿大先生、すみません、お作から少々固有名詞を拝借しておりました。
2024.08.22