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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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仕事が全てではない












   仕事が全てではない

   












本日は、今朝のニュースで直木賞候補作の一つを書いた麻布競馬場さんの作品の一部が取り上げられていて、その一部について考えたことを書こうと思う。ちなみにニュースはNHKだ。自分は割とNHKに侵されている人である。


先に断っておくと、麻布競馬場さんの作品を読ませてもらったことはありません。また、今日の文章はニュースで出てきた一部について書いているので、厳密に言えば麻布競馬場さんの作品ともあまり関係はないのです。すみませんね。


ニュースで出てきた部分はこうである。


とある新入社員が仕事に対する自分の希望というか望む今後の展望について、総務かなんか楽な課に入ってそこそこの給与をもらい、定時で帰りたいと発言する。出世の望めない中年ならまだしも新入社員である。主人公はこの発言にショックを受けるのです。


で、どっから話したらいいのかしら?


まず、仕事が全てではないという価値観なんですが、これが日本人は極端なんじゃないかなと思うんです。つまりは、日本人の仕事が全ては、とっても非常にべリー仕事が全て。全てと言ったら、全て!


これは日本の常識、世界の非常識ですよ。


過労死をしてしまったり、うつ病になってしまったり、心を病んで自殺してしまったり、そこまでして働くことに意味なんてあるんでしょうか?


この冒頭に出るような、最初っから楽してほどほどに、みたいな発言には微妙だなとも思いますが、そもそもそんな発言が出る背景には、日本の『仕事が全て』という価値観が隠れてるわけで……。あんなにやるくらいなら最初っから白旗上げて逃げるだろ、そういうことだと思うんです。


今の日本の価値観だと、ガチで最初から逃走をかまさないと、結局巻き込まれてその『仕事が全て』を求められるんです。一緒にイヤイヤ、えいえいおーを言わされる。


そして、ここまで書いてきてもう一つ別の角度から言いたいのですが、『仕事が全て』なんて、本当は日本の価値観じゃないんですよ。なぜか?この価値観には日本人女性のうちの大多数が参加していないからです。


日本人女性でも、男並みに働けと言われる一部の人は、やはりこの価値観に与しているかと思いますが、補助的立ち位置に組み入れられた女性は見えない壁を張られてこのえいえいおーのメンバーとはならない。


日本のこういう部分が私は子供の頃から大嫌いで、なんとか抜け出してやろうと思って海外に出てきているかもしれません。


会社の利益を上げるのは大事なことですが、それを左手に持っているとしてね、今までのような自己を犠牲にするような価値観で人を働かせることには無理がありますよ。それが右手に持っているものです。


人生を生きていけば、結婚して子供が生まれ、子供が小さい時には仕事優先ではいられない、それからもう一度仕事優先に戻り、その後また親の介護などの問題が出てくることもある。いつもいつも仕事優先でいられるわけでないのは、人としてとても自然なことです。


時代にあった人材活用の形を取り入れてゆくべきなのではないでしょうかね。そして、仕事を右手に左手に家族とか自分とか、つまりはライフ、ライフワークバランスでいうところのライフ。これを持って、どちらも大切にして働きながら生きていけるように個人ではなく、組織が変化していかないといけないんじゃないでしょうか。


つまりは雇用がもっとドラスティックに変化していかなければならないのだと思うし、また、働いている人たちの価値観も破壊と再生が必要で、そして、雇用はもっとフレキシブル、しなやかで柔軟に富んだものでなければならない。


自分はもともと、日本人としてなんかズレてましたし、日本の全てがやだったわけじゃないけど、海外の考え方ややり方と比較して、なんかおかしいと強く感じた若い頃があり、海外で生きていく道を選び、ずっと海外にいます。


そういう中で、自分が一体どこまで何をできるのか、さっぱりわかりませんが、ただ、もし自分が何か意味のあることをするのだとしたら、この、破壊と再生が必要な価値観に対して、攻撃ができないかなと思う。


ほんとはね、別にどうだっていいんですよ。私はほんとはどうだっていいんです。自分のこの日本人としてはちょっとズレてる考えも、私を面白いと言ってそばにいてくれる友達とか家族とかと分け合いながらおもしろおかしく生きてけばそれで済むのだから。


生きていけるだけのお金も主人と一緒に稼いでいけばどうにかなりそうですよ。だから、色々考えていたとしても、別にそれを発表しなくたっていいでしょう。


いいのだけど、ただ、ぼんやりと感じているのは、今までの日本と、これからの日本は変わっていくでしょう。私が生まれてから今に至る道のりでも変わってきたし、そしてまた今は、過渡期に差し掛かっていて、今までの当たり前がこれからの当たり前では無くなっていくのだと思う。それは国としての経済的な部分や社会構造的な部分をも含んでいるでしょう。


だから、今の若い日本人は、未来が見えなくて不安を抱えているのです。


そういう時に、自分自身は死ぬまでどうにかなる、泳ぎ切って逃げ切れるから、それでいいのか?そういうことはやっぱり思うんです。自分だけ良ければいいのか?と。


そう思うから、楽な仕事をして定時で帰れればいいと発言したその小説中の若い人に言いたいのだよ。みんながみんな楽をして、とうとう日本の底が抜けたらどうするのか、と。


まぁ、流石にそんなことはないと思うのだけれど、ね。ただ、底が抜けるなんてことはなくとも、経済基盤がこのまま推移するかどうかは誰もはっきり言えないわけで。


他人任せな人はどんな時代にだっているわけだし、そこに目くじらを立て始めるとキリがないし、無駄な行為ですが、前言ったことと繰り返しになりますがもう一度こう言いたい。


あなたの生活を支えてくれている他人がいることを忘れるな


楽して定時で帰ってもいいからその代わり、他人の分まで頑張ってくれているどっかの誰かの方向に向かってありがとうと言ってくれ。


そしてまた自分の話に戻るのですが、日本のいいところは置いておいて、日本の変なところ、仕事が全てすぎるところとか、が変わるのかという点、個人を中心にもはや強制的に変わり始めていて、組織としても無視できなくなってきているのかなと感じてます。


ただ、問題なのは、今までのように猛烈に働いてくれた日本人社員が補充できなくなった後に、どうやって利益を上げていくかで、ライフが充実した後にワークがおかしくなれば、結局は食っていけなくなるわけでライフも落ちる。


ライフを充実させつつ、ワークも落とさないためには、価値観が変わらないと。その価値観を変えるのは、とても長い牛蒡を地中から引っこ抜こうとしたら、この牛蒡が地中で合体牛蒡になっていて、抜けませーん、みたいなことかなと。


つまりは、この『仕事が全て』な価値観はそんな簡単に破壊できるものじゃないってことよ。もうちょっというと、新世代というか、この価値観をはなから信奉しない人たちの問題は、『仕事が全て』を捨てて代わりに信奉する何かを持っていないことじゃないかしら?


別に捨てていい、古い価値観なんて、じゃ、その代わりに何を信奉するの?ということで、これがなければ我々は戦艦に乗ってるみたくグイグイいけないわけよ。


豊かな時代に生まれました。豊かな時代に育ちました。貧乏を知らない世代が、イマイチ推進力のないままで、これから先、段階的に少しずつ、貧しくなるとしたらどうでしょう?


定時で帰りたい君も流石にそれは望んでないと思うのね。定時で帰ってもいい。ただ、ちゃんと頭を使って考えていかないと、我々がこれから先、今までと同じ生活水準を続けられるという根拠はどこにある?


生きているんだから、ちゃんと考えないと、絶対に安全とか絶対に大丈夫なんて、この世界のどこにもないんだよ。本当は。


なんて、非常に漠然としたお説教をしてもしょうがないか。


マクロな感覚では上のようなことを考えていて、ただ、自分はミクロな世界で地味に生きているものですから、仕事でも創作でも、コツコツと目の前に出てきたモグラを叩いているわけです。マクロな理想を胸に、ミクロなもぐらを叩き続けましょうか。


その価値観、古いですぞ!きえーい!

次回はもっと具体的な話をできましたら、今日はマクロなままに失礼致します。


汪海妹

2024.07.17



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