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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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ドラマ感想文:虎に翼 其の三













   ドラマ感想文:虎に翼 其の三












今週は、働く女 虎ちゃん と 働かない女 花江ちゃん の対立構造とその後ろに 夫 と 妻 の対立構造を見ながら見てました。


虎ちゃんと花江ちゃんは夫と妻ではないやんけ、って話なんですが、ただね。忙しく働いて仕事に偏っちゃう人と家の中を守る人という意味では、虎ちゃんと花江ちゃんは夫婦です。


一昔前の自分なら、出世街道爆進中の虎ちゃんを見ながらモヤモヤして、そして、そんな虎ちゃんが育児で失敗しているのを見て、


「ほらみろ!」


と意地悪な気分で盛り上がってたかもしれません。しかし、今の自分が見て思ったのは、まぁ、そうは言っても、全部完璧にこなすのは無理やろという感想です。


仕事がうまくいって有名人になって調子に乗るのも、ついつい育児をほったらかしにしてそこを支えている花江ちゃんに対する感謝が疎かになるのも、ダメっちゃダメだけど、完璧にこなすのは無理やろ


じゃあ、どうしろというんだと言われると、どうすればいいんだろうなぁ。


虎ちゃんみたいなハイレベルな仕事じゃないですが、自分もずっと仕事と育児をしてきてます。虎ちゃんには花江ちゃんがいて、私にはおばあちゃん(姑)がいますが、わたしゃ家のことやってくれるばあちゃんとは喧嘩してきたし、別に仕事にそこまで思い入れがあったわけでもなく、むしろばあちゃん追い出して専業主婦になりたいと何度思ったか。


しかし、旦那の稼ぎだけでは生活できないのだからしょうがない。


そんな中で、ばあちゃんが別にベスト姑賞を受けるわけでもなく、私もベストマザー賞を取るわけでもなく、最初は熱く喧嘩を、そして、次に冷戦時代を迎えて、そんな過去を越えてやってきてるわけです。


ばあちゃんと母ちゃんの間に立たされて息子も大変だったと思う。しかし、不登校になったとか、ぐれたなんて問題は今のところまだない。


こっからは持論ですが、育児なんて完璧かどうかという世界ではないですよ。育児はようするに、人間関係です。私は仕事にも責任があり、育児にも責任がある。いわば二股かけてる状態で、仕事という彼氏にもしかめ面させたり、育児という彼氏も待ちぼうけくらわしたりしながら、汗をかきかき走り回ってるような感じです。


どちらも同時に満足させることはできないと最初から思ってたほうがいい。


じゃあ、どうするのか?


あっちにもこっちにも大目に見てもらいながら、別れなければいいんじゃないかな?


こうやって思い返してみると、息子がおぎゃっと生まれてから今まで、自分は結構わがままだったなと思う。仕事もしたい、息子もかわいいで、仕事が終わったらとっとと家にかけ戻り、ばあちゃんとぎゃあぎゃあ喧嘩しながら、預けてた息子を取り返し、しかし、仕事がどうにもならなかったら、しれっとばあちゃんに預ける。


子供のためにやってたんじゃない。自分がそうしたいからです。自分勝手だけど、だけど、やっぱりここでもう一回言いたいのは、育児は仕事でも作業でもない。人間関係だ。子供が求めてるのはより良いサービスではなく、親の愛情だ。より良いサービスをしてくれるから優未ちゃんはとらちゃんといるより花江ちゃんといたほうが幸せか?しかし、花江ちゃんは自分を産んでくれたお母さんじゃない。新潟へついていくかいかないか優未が選べと直治が言った時に、花江ちゃん、偉かった。そんなことを優未に選ばせるなと直治を叱った。


もしも、あそこで優未がお母さんの顔を見ながらついていかないと言っていたら、お母さんは自分を選んでくれなかった。お母さんに捨てられたと思いながら一生、生きてくことになっちゃう。


大事なのは優未ちゃんがどうしたいかとか、どっちといるほうが快適かとか、そういうことじゃないんですよね。子供は親の顔色を伺い、親が望む答えを言おうとするものだから。親が一緒にいたくないと思っているのなら、ついていかないと答えると思いますよ。


ただね、人間関係が壊れていないのであれば、普通は子供は親と一緒にいたいでしょ。いく先がどこかとか、住む場所がどこかじゃないんですよ。誰と一緒にいるかが重要なわけ。


でも、待ってると思う。自分からは言わない。親がついてこいというのを待ってる。そういうものだと思う。


とある回で虎ちゃんが、家に帰ってきているのに家に入らずにまるでマッチ売りの少女みたいな佇まいでしばらく窓の外から優未ちゃんを中心にした一家団欒の様子を見ながら涙するシーンがありましたが、あれは気持ちがわかったよ。よくわかる。


仕事がうまくいっていても、人の運勢というのはよっぽどの強運の持ち主でない限り、必ず落ちる時がある。うまくいっている時はいいけど、落ちている時、人は1人では生きていけません。若い頃はこんなことそこまで考えなかったけど、最近はつくづく思う。


よく 家族のために働く、というけれど、私に言わせればそれは正しくはこうなんですよ。


家族がいるから働ける


人生が落ちる時を経験したことのない人には私の言いたいことがうまく伝わらないと思うんだけど、仕事をしていれば時には、とっても酷い目に遭うことがある。何のためにこんなことやってるんだろうなんて思うくらい、酷い目に遭うことがありますよ。自己実現みたいな欲望だけでは、ガス欠になる後半が待っている。


そっから逃げ出してもいい。でも、仕事しかしてこなかった人が仕事から逃げ出したら、何が残る?


こういう時、かろうじてそこに踏みとどまれるのは、家族がいるからですよ。必死になって支えれば、笑顔を返してくれる家族がいるから。1人で生きていたら自分が何のために頑張っているのか、わからなくなってしまう。


だから、虎ちゃんは、ただわがままに優未ちゃんと離れたくないんですよ。自分は自己都合で優未ちゃんに寂しい思いをさせてきてるけど、虎ちゃんには優未ちゃんが必要で、自分が必要なときにはそばにおきたいんですよ。だって、結婚できないかもと諦めてたけど結婚できて、心から一緒にいて肩の力を抜くことができた人との間の子供じゃないですか。優未ちゃんがいなかったら虎ちゃんは、1人ぼっちだものね。


私が思うのは、子供に必要なのは親の愛情です。ただ、その愛情というのは、子供のためにどうすればいいのかとか、子供はどうしたいと思っているのかとか、そういう綺麗な何かじゃないんですよ。一番の根本は、親がどうしたいか。親が手放したくないと思ってる。そばにおきたいと思ってる。離れたくないと思ってる。親に必要とされている。そんなシンプルなことではないでしょうか。


こんな簡単なことや当たり前なことが、実は意外と伝わっていないこともある。子供にちゃんと伝わっていなければ、子供は不安です。


だから、優未ちゃんがどう思っているかとか関係なく、そこはわがままに私は一緒にいたいんだよと言えばいい。関係が拗れてしまっていて、私は一緒にいたくないと子供に言われてしまったら、じゃあ、どうすれば、私がどう変われば一緒にいてくれるのか、そう聞けばいい。


あなたが私に必要なんだとはっきり言えば、きっと子供はある程度までの不具合は許してくれる。そして、一緒にいてくれる。


子供に必要なのは、親が自分の求めに応えてくれることではなく、親に求められることと、自分が親に求められる存在なのだと自覚できることなんじゃないかな。


しかし、時に大人は不器用です。愛しているのに、愛しているということをうまく伝えられていないこともある。そこはわがままにいこう。


自分は完璧な親ではないけれど、でも、あなたと離れたくない。だから、そばにいろ。いつか君が大人になって、1人で生きていけるようになる時まで。


優未ちゃんは はい と言ったけど、うまくいくのかしらねぇ。しばらく目が離せなさそうです。まとまりのないままに失礼。


汪海妹

2024.07.11



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