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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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私なりに書き方の進め15:それは恋愛なのか、官能なのか













  私なりに書き方の進め15:それは恋愛なのか、官能なのか













ジャンルの話に引き続く、だらだらとした雑談になりそうなのですが、自分が19年より小説を書き始め、最初の頃にはまった落とし穴について、思い出話的に書けたらなと思います。


自分の場合は、少女漫画を参考にしながら、恋愛を主軸にした小説から始めました。読みやすいもの、とっつきやすいものにしたかったからです。私自身にも作品のテーマというものがあって、それは部分によってはわりと難解なものであったりもするのですが、それをできるだけわかりやすくしたいと思ってました。理由は簡単で、難しそうと思われると読んでもらえないからです。だから、人気のある形の物語の中に受け入れてもらえそうな形で自分のテーマを入れ込むことに努力していました。


真面目な話をしますと、自分は恋愛小説家になりたいと思ったことはありません。が、小説を書く技術がないので、一番書きやすい分野に手をつけました。こんな言い方をすれば、恋愛小説家の方に叱られてしまいますが、ただ分野を否定しているわけじゃありません。


思うに、漠然と曖昧にですが、こういうものを書いて行きたいという芽のようなものが自分の中にあります。恋愛を書くのが嫌いなわけではありませんが、恋愛を書きたくて小説を書いているわけではないのです。うまく説明できないのですが、恋愛というのは物語の世界の一部の出来事であり、それが全部ではないというのが自分の考えで、私が自分で自分に課しているタスクは、恋愛だけではなくそれ以外の様々な要素も書けるようになることです。そして、自分の幅を広げたいと思っては、日々苦しんでおりますし、悪戦苦闘しているわけです。


書き始めた頃は、上のようなことはあまり考えていませんでした。どんなジャンルを書くかということにもっと無頓着でした。しかし、いつまでも無頓着ではいられません。投稿をしていると、自分が書いた作品を読んでもらった数というのがわかります。数が伸びるものと伸びないものがあります。私にも書きたいテーマというものはあるし、他の投稿作家さんにもあると思うのですが、その一方で、毎日増えたり減ったりしている数を眺めていると、自然と自分が書いているものの中で読者の人にウケた部分を意識して多く書くようになります。


恋愛の内容で投稿をしていれば、官能的な場面で数が伸びることが多く、数が伸びるようにとだんだん、そういう場面だけエスカレートしてゆくこともある。


ここではたと思うわけです。恋愛なのか、官能なのか。


慣れてくれば、皆が喜びそうなシーンというのもだんだんわかってくるし、そういうシーンを書くのも面白くなってくるんですが、こういう官能的な場面というのは味の濃い料理のようなもので、一度その濃さで書いて作品に入れてしまうと、次も同じ濃さかあるいはもう少し濃いものでないと物足りなく感じるようになってしまいます。


そして、その場面が過激なものになると、他の場面がどうでも良くなってきます。これは書く方も読む方もどうでも良くなってきます。官能のスイッチが入って物語が進むと、書く方も読む方も性欲で進んでいるんですね。


性欲は欲望ですから、数を取りやすいんです。


そういった、数を集めやすい要素を積極的に取り入れず、それ以外のもので読んでもらおうとすれば、技術向上の弛まぬ努力が必要です。いうのは簡単ですが、小説技法なんてそんな簡単に上がる物じゃない。だから、恋愛小説を書いていると、官能に走りやすいと思う。別に儲けるのが目的で書いていない小説だとしても、書き手には承認欲求という欲望がありますから、簡単に数を上げられる方法があれば、恋愛小説なら、官能、これに走るでしょう。


ただ、ひとえに官能が悪いとは思ってないんです。むしろ、良い恋愛小説を書きたいなら、それは作品には書かないのですが、書かない場面をよく思い浮かべた方がいいと思うのね。つまり、自分が文字にしない官能的な場面を思い浮かべるということです。


性欲と恋愛感情の違いがわからなければ、おそらく恋愛小説は書けないんです。恋愛小説家になりたいわけでもないが、そういうものだと思う。自分が官能は書かないと決めたのなら、じゃあ、官能というのは何なのかを知らないと、それが何かを知らなければ、間違って書いちゃうこともあるということですよ。


また、官能を中心に据えて書けばそれは官能小説ですが、官能に溺れる人間を客観的に描写するのであれば、それは官能小説でもないわけです。


それと、人は欲望と恋愛感情の間で揺れながら生きている物ですからね。


書くか書かないかは別にして、世の中には色々な人間がいますから、小説というものが人間を書くものである以上は、基本的には自称も含め小説家は、官能を求める人や恋愛を求める人、そんな人間のどちらも好き嫌いせずに観察して、官能的な要素を取り入れるにしろ、取り入れないにしろ、計算の上ですべきであって、決して、それを書いた方が数が稼げるから、とかではない方が良いであろう。


恋愛をかけば、人はより官能的なものに走り、推理物を書けば、より猟奇的なものに走り、転生物を書けば、よりあり得ない何かに走り、そして、そこにはまりそこから抜けられなくなるものだ。


投稿作家、あるあるではないだろうか。大事なのは、絶妙なバランスである。その場面だけ味が濃すぎることにならないように。


汪海妹

2024.07.08

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