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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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蘇州の出来事 続き













   蘇州の出来事 続き













続報があって、蘇州のバス停での事故の際に怪我をされた中国人女性の方が、亡くなってしまったそうです。偶然その場に居合わせた方ではなく、バスの案内人の方で、子供たちの乗り降りの際に安全を確保するための人だったそう。


安全を確保するといっても、ナイフを持って子供を襲おうとする男から子供たちを守るなどというのは想定外ですよね。


男はバスを待っていた親子を襲った後にバスに乗り込もうとしたのをこの人が阻止したそうで、もしもこの方がいなければ、もっとたくさんの子供が怪我をしてたでしょう。


なんというか……いくら仕事でも命を失うに値する仕事はない としばらく思ったあとで、思い至ったのですが、警察や消防の人や、自衛隊の人や軍の人というのは、命の危険がある仕事をしているわけで、そういう人がいないと自分も困ってしまうわけです。当たり前だと思ってたかもなと。


しかし、職務を全うして偉かったなだなどとは思えないわけですよ。ただただ、感謝ではないでしょうか。ありがとう。健やかに魂が天に昇っていってほしい、などと書くと、宗教観とか死後の世界や魂について、どのような考えで解釈するかなどというややこしい問題に関わってきますが、私の拙いイメージとしては、天国で特別にいい席に座ってもらうとか、何かいいことがあってほしい。


平和な日常も正常ではないことによって針で突き破られるように破られると弱いものです。社会不安が広がっているのかどうか、今回の件だけでなく日本人が被害者というわけでもありませんが、無差別に殺傷しようという事件が起きていて、報道が抑えられているためにその事件現場の周りだけで知られているようです。噂レベルで聞きました。


もし、中国でこのような事件が起きて、それが大々的に報道されれば、日本では考えられないような規模での模倣というか飛び火が起きるかもしれない。また、被害者になるかもしれないと平常心を失い騒ぐ人数の規模も違います。だから大々的に報道することもできないのかもしれませんが、今は個人の発信から情報が広がっていきますから、完全に押さえ込むことも不可能ですね。


何か問題が起きた時にその再発を防ぐためにどうするか。取りうる手段を全てとった後にも、それでも、その危険をゼロにすることはできない。それは忘れてはならないのですが、その反面、飛行機に乗っていても、車に乗っていても、道を歩いていても、何をしていても意識をしていないだけで、自分が死んでしまうかもしれない可能性はあるわけです。病気になる可能性もあるし。


ただ普通に生きていることが奇跡だなと。だから、やっぱりそれには感謝しなければならないなと。いろいろな怖いことが起きればその結果に他人事だとしても胸を痛めるし、自分や家族の身にも起こるかもしれないと思えば、心の平安を失います。


そういう時に何を根拠に安心を取り戻すかといえば、自分の場合は神様とか仏様とかそういう古風なものを古風に信じながら生きてきてますので、これもまた逆説的な思考法ですが、


危険なことも起こりうる世界で、何事もなく生きてきた今までが奇跡だなと。だから自分は守られているのだなという安心感。


つまりは全く根拠がないわけですが、ただ、安心と不安、実は 不安というのもまた、同じくらい全く根拠がないことが多いです。


私に何も危ないことが起こらずずっと生きていけるという根拠も全くないですが、何か悪いことが起きて大変になるという根拠も全くない。具体的に病気になってしまったとかいう根拠が生まれるまでは、人間は根拠のないことで不安を覚える必要はないんじゃないかなぁ。


起きるその瞬間までは安心し続ける、それが大事なのだと思います。もう一つ、咄嗟に何か火急のことが起きた時に、自分が冷静でいられるか、また、取りうる最上の方法で自分自身とまた、周囲の守るべき人を守れるか、現代人はこういった感覚から遠いところで毎日生活しています。


でもね、私たちにだって動物の本能がある。命を守ろうとするのは本能ですね。そういうものは自分の奥深くにちゃんと持ち続けたいものです。


最後にもう一度、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げます。


2024.06.29

汪海妹

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