ドラゴンイヤー、万歳!
ドラゴンイヤー、万歳!
昨日息子の学校の運動会が深圳湾体育中心であり、お弁当を用意し、場所取りのために土曜だというのに朝7時にタクシーに乗り、家族とは別働隊で先乗りしました。優秀なる場所取り人たちである他の何人かのお父さんたちと(知人ではない)しばらくドヤ顔で列の先頭に並んだ後で、ふと思う。
フツー、運動会の日のお母さんってお弁当作らねばならないから朝、般若みたいになるじゃないですか。運動会会場先のり大作戦はお父さんの出番なのでは?
しかしだな、うちの旦那はあかん。なぜか?中国人はレストランの予約をするのは嫌いです。特にうちの主人はひどい。計画的に動くということが大嫌いな人です。
「別に場所くらい遅くいったってどうにかなるんじゃないの?」
Mr.行き当たりばったり。
神様の夫婦の組み合わせかたは不思議です。私、Ms.スケジューラー、段取りのプロ。流石に段取りしたことのないような大きなイベントは無理ですが、ある程度の規模まで段取り可能。そこそこの結果を残してきた。なぜか?わしゃ、不安症の塊のような人だから、きちんと決まってないと怖くて、怖くて、怖くて……、たまらないんですっ!
ハツカネズミ(←?)、
怖くて千里の道を走るっ!
スタタタタタタタ(しかも足が意外と速い)!
こういう人は、地味な準備をコツコツやってくれるので重宝します。チーズあげてくださいね。
えっと何の話でしたっけ?
お弁当も短い時間で用意し、尚且つ場所取り人としても、最高のパフォーマンスを発揮し、ほぼ先頭で列に並びながらドヤ顔をひとしきりしたところで、周りにいるのが全部、お父さん、つまりは男性であることに気づいた。
チーン……(今更ながらちょっとうんざりとしたぜ)
そして、残念ながら私の怒りのバロメーターはここからも静かに上がってゆく。八時から開場だったのだがいつまで経っても行き当たりばったりな主人や、別働隊に入れておいた今日の主役(息子)が届かない。
おー、まい、がっ!(ハツカネズミは予定通りに事が運ばないと弱い)
主人に電話した。
怒りのアフガン!(←特に深い意味はない)
トゥルルルル、
例によって、例のごとく、携帯を携帯しているが、電話に出ない夫。
健康に良くないのだが、一瞬、イライラしたぜ。運動会は学校行事だぜ。親が絡んで遅刻してどないすんねん。
すると、しばらく経って、例によって、例のごとく、「あ」と思った夫から電話がかかってくる。この着信音の平和さよ。受ける自分の心境(怒りのアフガン)と好対照だぜ
「はい」
ちなみに世の夫の皆様にここでご説明申し上げるが(多分私がわざわざここに書かなくてもご存じの方もいらっしゃると思うが)、奥様というのは怒っている時ほどすごく静かに電話に出るものである。
「どこにいるの?」
「そういうあなたはどこにいるの?」
「いや、探しているのだけど」
ここで、私の怒りメーターは最高潮のところから一気に落ちた。つまりはね、今、会場にいて私を探しているということは、息子はギリギリ集合時間に間に合ったということよ。日本人、集団行動、ジューヨー。これを犯してばかりいると、信頼度が下がるからな。
「どこを探しているのよ」
「人がいっぱいいて」
観覧席を求める人の列はいつの間にか延々と長くなっていたのだった。すると、とうとう会場が開き、まずは主役の子供たちがわやわやと入ってゆく。子供達はキラキラピカピカしていて、ゾロゾロと速やかに体育館に飲み込まれていった。
「子供たちが入ってゆくあたりよ。入り口のとこ」
「ええっ?」
「わかった?」
しばらくすると後方から見慣れた顔の人が来る。その驚いた顔で前へてくてくくる様子を見ながら、ハツカネズミとして恐怖に慄きながら己に鞭を打ち段取りを果たし、最重要タスクであった場所取りに勝利したネズミとして、ドヤ顔アゲインである。ふふん。
ここで、行き当たりばったりな人の行動パターンと心理パターンを昨日の朝の主人をサンプルとして再現だ。
「え?」
駐車場に車を停めてエレベーターで上に上がり、フロアを眺めた途端に驚く。たくさんの人である。
これはどうしよう?こんなんじゃ座れないんじゃないの?
そう思ってから、焦って、ここでようやく、どうしようかと考え始める。そしてショックのままフラフラと私が先頭の方に並んで座っているのが目に入らずに後方へゆく。この時うちの主人のようにここに至ってようやく席に座れないかもと焦っているお仲間がたくさんいる。そして、ここで列の先頭に並んでいる人は勝者である。その命運は分かれている!
恐怖マックス!
行き当たりばったりな人とハツカネズミは恐怖を感じる時点のずれている人たちである。
ハツカネズミは普段はおとなしく生きているので、滅多に英雄にならないのであるが、今日ばかしはちょっと地味なドヤ顔をしながら主人を待つ。
「こんな前にいたの?」
「だって、早く出たでしょ?」
そして、行き当たりばったりな人はここがアレなんですけど、その時、どうにかなっちゃうと、座れないかもと恐怖したその恐怖を忘れる。毎年運動会はあるわけで、だいたい同じ状況なんですが、基本的にそんな瑣末なことを気にして生きていかなくても人生どうにかなるものだという指針のもとに生きているので、その恐怖を忘れるのである。こういう人の人生は楽しいと思う。
しかし、こういう人の人生がどうにかなっているのは、こういう人の周りにいる別の人がこの人が頼りにならないので細かなことを処理しているからだということを私は知っている。
えー、長い前置きでした。前置きなの?って話ですが、本当にすみません。これで前置きです。ダラダラと長く続くので、本当に時間の無駄だと思われる皆様、私も本当に時間の無駄だと思いますので、迷わずここで閉じちゃってください!
それ(前の文章全部を指す指示語)で、無事家族でかなりのベスト位置にドカンとレジャーシートを広げた時に、私の細く長い戦いがゴングと共に終了した。
カーン!
タイの旅行へ行った五一の連休の前は6日連続勤務、後ろも6日連続勤務。政府の決めた日程です。調休と言って休みが動くんですよ。その次の週は息子の空手の試合で朝出て夜まで出ずっぱりだったし、今週に至っては、水曜と金曜と土曜に弁当作り、そして運動会!ちなみに今週は仕事もそこそこ多くて、定時に上がれなかった。
なんとか終わった。しんどかった。
で、20日ねずみ、頑張った自分にささやかなプレゼントをと、本当にささやかですがスタバにアイスラテを買いに行ったのです。
そこでここでも見つけたスタバ交換絵日記ノート。スタバでこの交換絵日記を見たら、コーヒーが出てくるまでの時間で絵を描くことにしている。大抵はその場にある何かを模写することにしている。なぜなら、コーヒーが出てくるまでの時間では模写ぐらいでなきゃ描きおわらないからだ。
今年はドラゴンイヤー。ドラゴン大好き中国人のためにスタバがデザインしたスタバカップがあり、そのドラゴンを模写することにした。ところが、今回の模写はいろんな問題があった。一つにペンが普通のボールペンで細かった。そして、カップが置かれていたのが遠かった。細かなラインが見て取れない。
太いペンでなら、線を引っ張る方向性にそれなりのセンスがあれば絵は誤魔化せるものですが、細いラインの方が難しい。(本当に絵が上手い人が描いた太い線と素人が描いた線にはセンスの違いが如実に現れます。達人レベルの話をしているのではなくて、もっと低レベルな部分での話です)細いラインでカッコよく見せるには、いっぱい描き込まないとダメですが、時間もないし、それに、カップが遠くてその形の良さの部分を見て取れなかった。一番最初の形を取り損ないました。
だから、模写に失敗しました。失敗したけど上げてみた。絵には長い、長ーい、ブランクがあります。上手く描けないけど、コーヒーが来るまでの間だけ、昔を思い出しながら描く短いお絵描きが嫌いではない。
「好溜!」
「どうも」
スタバのお兄ちゃんに「かっけえ」くらいのノリの褒め言葉をもらった。素朴な人だ。これは失敗作だぞと。ちなみに はおりう と言われましたが、中国人の若者は いいね! という意味で 666 という数字をよく使う。この6は発音が りう で 元々の言葉は 溜 から来てると認識している。
自分の中国語は生活の中で耳で拾って覚えたものが多く、文字で書けないことがよくあるのです。仕事で使う単語以外は、こんなふうに感覚で理解しています。
言葉ってたくさんあるんですよねぇ。中国は漢字が生まれた国でもあるし、字を大事にする国ですよねぇ。もうちょっと頑張って勉強しろってか?引退したらやるよ。
あんまりにも上手く描けなかったから、チャイナドラゴン、リベンジでお絵描きするか?今年はドラゴンイヤーでもあるしね。その時は、書き味のいいペンで描こう。
お笑い芸人著
2024.05.26