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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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更に、どこへ?












   更に、どこへ?













昔、香港がまだイギリス領だった頃。もっともっと昔の頃、出入管理は今ほど厳しくなくて、それでチャンスを求めて川を泳いで渡る人たちがいたのだって。昔はしばらく皿洗いでもしてたら居留許可が降りたんだってよ。そうやって香港は人口が増えたのだと。


ところが、香港が中国に戻り、いわば生みの親のもとに戻された子供のようなものだ。すっかり育ての親に懐いちゃって、香港が変わることを嫌がる人たちがたくさんいた。


そして、それも抑えられてしまった後、やれやれとかつて川を泳いで渡った人たちの子孫なんでしょうか?更に海をわたって別の場所へと移っていくのですよ。


更に、どこへ?


そのけつの軽さというか、行動力というか、ポカンとしたよ。


いや、そりゃ確かに皆さんの親は、時々 なぬ?と思うこともなきにしもあらずだが、だからって、自分の仕事とかなんとか全部捨てて、別の国行くほどか?


自分とは多分根本から作りの違う人たちなんだろうけど、それでもあえて思う。それは本当に国を出るほどのことかー!そうなのかー!


そして、最近は自分も世界のニュースを見ながら考えちゃうわけですよ。イスラエルとかガザとかさ。


自分の国を捨てて、他人の国へ行っても、絶対自分の国にそのままいるより苦労するよなぁ。最近ちょっと考えちゃうんだよなぁ。いろんなこと。


わざわざ捨てて別の国へ行かなければならないほど、中国が悪い国だとは思わないんだけど、それともこう思うのは、私が、もうずれちゃってるからなのかなぁ。そしてねえ、やっぱ、なんというか、長く住んでも私は中国を自分の国だとは思ってないんだなとしみじみ思う。一時的に住んでいる国で、自分の国じゃないから、だから、色々なことが気にならないと思うんです。私は最後には日本に帰るつもりですから。


香港で雨傘運動をした人たちは、香港を自分の家だと思っているから、故郷ね。その故郷が変わることに耐えられなかったんだろうね。そして、台湾かー、と思う。台湾の人も、今更、中国化することはどうしても嫌なんだろうなぁ。


住めるか住めないかの問題じゃないと思うんですよ。いつかは帰ると思いながら暮らすぐらいなら、全然平気ですよ。平気だよ、中国。


でも、香港の人も台湾の人もそういうことじゃないんだと思うんですよ。つまりは、意識の上で、香港の人にとって香港と中国は違うものだし、台湾の人にとっても台湾と中国は違うものなんだってことですよ。


中国にとってみたら一つのものなんだけど、すでに二つとも中国とは別のアイデンティティを持った存在になっているってことですね。両者が是が非でもと拒否しているのは、中国化することに対してじゃない。中国の一部として生活することが嫌なんじゃない。そこで戦っているんじゃないと最近になって気づいた。


皆が戦っているのは、自分たちの故郷を失いたくないからです。変わりたくないんですよ。そのままでいたいんです。


場所が存在し続ければ、故郷を失わない、というわけでもないと思うんですね。大事な帰る場所を失ってしまう。だから抵抗するのだなと。


中国がどんなふうに変わろうが、私にとって中国は、帰るところではない。人間というのは、一時的に住んでいる場所に対して一所懸命、必死になるなんてことはないんですよ。


人間には帰る場所が必要なんです。自分が帰属している場所、国の、在り方というものにまで影響を与えるくらい自分たちにとって異質で巨大な何かが迫ってくる時、やはり人は抵抗をするものなのだと思う。さもなくば自分たちの故郷を永久に失ってしまうからです。


香港から出て更に新しいフロンティアをゆく人々よ。もちろん止めることなどしないが、だが、問いたい。


更に、どこへ?人間にとって幸せなのは、生まれ育った故郷がそのままに未来までも残ってゆくことではないか。それは実は世界の一部の人にとっては当たり前のことではないのだと思う。


眠気のマックスきました。今週はタフな1週間でした。すみませんが、まとまりのないままに、今日はもう半分寝てます。すみません。


2024.05.24

優等生著

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