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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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私なりに書き方の進めその⑤『型』













   私なりに書き方の進めその⑤『型』













自分でも意外だったのですが、書き方というトピックに刺激され、次から次へと書きたいことがポコポコ浮かんできました。私の書くという行為は、ぽこっと浮かんだ考えを書いてみて考えるために行なっている要素が結構強いのです。それで、半ば自分のために書いている文章でもあるのですが、私の思考の散歩にお付き合いいただければ嬉しいです。


ちょっと話が飛んで、うちの息子は今空手を習っているのです。この空手というのにはそれはそれはたくさんの『型』があります。立ち方だけで十五あるんですよ。全ての型には細かく角度や高さや体の動かし方に規則があって、正しい形、正しい動きに倣い自分の身体を動かさなければなりません。その正しい体の動きを体に叩き込むことで、体がそれを身につけ、組み手と言われる試合でも技が繰り出せるようになる。


日本には日本舞踊もありますね。あれも『型』があります。型を覚えて準えるうちにそこに美が存在するようになるわけで。


日本の文化というのはまず師匠をならえと言われて、型を覚えるところから始まることが多いように思えます。それを完璧になぞらえた次に己の個をどうやって表現するのだろうか。幼い頃そういう部分が気になっていたように思います。


それでは文章もやはり型がありきなのだろうか?


これが気になっているのです。文章にも定型というものがありますね。また、よく言われる文章技術、テクニック。これも広義でいえば型なのではないかなと思っていました。そしてですね、あるいは定型を修めるうちに、文章にも輝きのようなものが生まれるだろうかと思わないわけでもない。私はわりと東洋の文化には寛大なつもりです。つもりなんですが……


空手と日本舞踊と思考はやはりちょっと違うんじゃないかなぁ、最終的にはそう思うのです。私は思考というのは、ものすごく、ものすごーく大きな白紙に描かれていくものなのではと思っていますので、最初から型にこだわって書いてしまうのはよくないのではないかなと思うんです。


それでは思考が縮こまる。


文章を書くのに慣れていないとか、ちょっと苦手意識があるけど上手になりたいとか、そういう時は、最初から型があって、それを見よう見まねで書くよりは、下書きはただもう長く自由に書いちゃったほうがいいと思う。


それから、読み直しながら、自分の考え方の癖を見つける。思考の流れというか、テンポというか、そういうもの。これは人によって違うと思うんです。


例えば私ですが、私は雷です。これだけだと何を言いたいのかさっぱりわからないと思いますが、私の思考は飛びます。雷みたいにズバズバズバって走っちゃうんですよ。


AでBでCです。


突拍子もなく聞いている方から見たら、AとBとCがどうして繋がるのかわからないようなもの同士がくっついている。私本人はそれで辻褄が合っているしわかるんですが、聞いている方は、???状態です。


それともう一つの特徴が、相反性。一つの出来事を表と裏と両面から見て検証します。常に別の角度からも見てます。


自分の思考をそのまま書いて読んでもらうと印象としては、


バババババ、バ、ババ、バビューン


え?は?なに?


雷みたいに速く、予測できない方向に進み、相反性の部分なんて前で言ったことと突然真逆のことを言い出ししかもその後一人で、そうか、そうだったのかと納得し聞いている人を置いて納得してしまう。


こういう考える癖というのが人それぞれ違う。


私の考え方のいい点は、ぱっぱっと視点が変わっていくので新鮮さが出て飽きないところです。しかし、それは、雷と雷の間にきちんと言葉を補って、後、AでもB、CでもD などと全部を表と裏で二面にして見せるくどいやり方も、効果的な部分のみ残してカットしたらです。


私は自分がどんなふうな思考の癖を持っているかと、その思考を他人に伝える時の欠点を自覚しています。最初から文章の型に入る前に、この作業が要ると思います。自分の思考の癖とその欠点をどう修正すべきなのかという点。


人間には自然な流れるような思考というものがあって、それは個々人でちょっとずつ違う。思考の息吹とでもいうか、それぞれの問題提起があって途中の考察があって結論に至るプロセスには個性があるものだと思うんです。


それを掴む前に型にはめて文章を書き始めてしまうと、自分をぶった斬ってしまうのです。私はやはりまず自分の自然な思考の流れによる文章があって、それを型を参考に整えるというやり方が、良い文章を書けるようになる道だと思うのです。こういうふうにやれば、自分の特徴が伝わる文章になります。


それを、無味乾燥なお手本通りに導入で何行、展開で何行、などとしながら書いてみたり、自分は別に一つの事象をさまざまな角度から説明しながら結論に至るような人間でもないのに、お手本通りに書いてみたり。


それはあれです。自分という人間が考えた思考をうなぎのようなものだとしたら、一本の自分のうなぎをぶった斬って、長すぎるので一部はすて、ぎゅうぎゅうにお重につめたようなものだ。


まずはぜひ、最終的な文章の形なんて気にせず、自分の自然な文章をたくさん書いて、自分の思考の癖、わかりにくくなりがちなポイントを観察し、そこを整えるところから始めてみてください。


雷とアンビバレントの使い手より(お笑い芸人と優等生共著)2024.04.23

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