つちのこうやのラブコメ (それぞれ別々にお読みいただけます)
隣の席の可愛い女の子が僕の寝癖を直しながら告白してきたのでこれからもたくさん甘えたい
教室に早く来る人って固定メンバーじゃん。
それがこのクラスだと、隣の席の大浜さんと僕だ。
そして僕はなんとなく、大浜さんよりも早く教室につきたいなと思って、張り合ってしまったりしている。
だから僕は今日も慌てて学校に向かって、そして急いで教室までやってきた。
そしたら……もういた。大浜さん。
「おはよう、私の方が早かったね。田月くん」
「いやあ今日も教室一番をゲットできなかった……」
「なんか一番風呂みたいなノリだね」
「あ、お風呂ね……」
あ、いや大浜さんのお風呂は……別にいいよ。想像するなら明日一番に教室に入る自分。
僕は自分の席に座った。つまりは大浜さんの隣。
「あれ、また寝癖ある」
大浜さんが僕の頭を撫でる。撫でてるうちに直るからと言って、よく撫でてくれる。いや結構不思議なタイプな時あるんだよね、大浜さん。
だけどその不思議なことしてる時がすごく可愛くて、ちょっと足をバタ足みたいにしたり、目の瞬きの頻度が速くなっては遅くなったりする。
そんなことを知ってるのも、毎朝一緒に隣の席にいるからだ。
「寝癖……直る気がしない、今日のは」
「え、そうなの?」
「でも頑張って直すねー。あ、でも撫でられてて嫌じゃないかな? 私は田月くんが好きだから撫でるの大丈夫なんだけどね」
「あ、うんいやじゃないよ、でも、あ、好き……?」
「あ、気づいた」
「気づいたというか今言ったよ」
「うん、まあ好きだから。ていうか好きじゃなかったら田月くんしかいないのにこんな朝早く学校来ないよ?」
「たしかに。まあ僕もそうだもんな。なんで早く来てるかって言ったら」
「そうなの? 私のこと、寝癖直しマシーンだとおもってない?」
「思ってないよ」
「じゃあ好きなの?」
「うん」
「ほ、ほんとに好き?」
「ほんとだよ。だからこんな寝癖立てたまま学校きてるんだし」
「え、てことは、寝癖私に直してもらうのも好きだったの?」
「そうだよ」
「え、え。まあ私も寝癖直すの楽しみしてたから、お互いエスカレートしてたんだねー」
僕のすごい寝癖と、ずっとなでなでする大浜さんの手。
その通りかも。
でも、
「もっとエスカレートしてもいいかな」
「えっ、そのエスカレートは、えっちな方向では……ないよね?」
「ないよ!」
僕は頭を振る。
「頭振っちゃダメだよー、いまちょうど直り始めてたのに」
「ごめん」
「ま、私がもっとたくさんなでなでするだけだから、大丈夫。それでそしたら、エスカレートっていうのは、どうすればエスカレートするのかな?」
「わかんない」
「えー、だって田月くんが言ったんだよ?」
「たしかに」
「じゃあ……どこか遠めにデート、行ってみる?」
「行きたい」
「返し速いね。もしかしてそういうこと提案したかったの?」
「うん。でもなんかいきなりだとよくないかなって」
「いや全然いきなりじゃないでしょ。というか、なんか、田月くんの考えてることとか寝癖とか、すごく撫でたいところだらけ」
めっちゃ大浜さんの手が動いてる。髪が乱れてる気がする。
「寝癖直してるの台無しになってたりしない?」
「あ、する。台無しになってるよ。まあ、大丈夫。私、いくらでも田月くんの寝癖直すから」
そう言って大浜さんが笑うと、僕はもう、明日から気合いを入れて寝癖を立てていかないとなと思うのだった。
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