5話 カエデくん
門の前でハルカとシンが待ってた。そういえば希望者が多いパートはパートリーダーは残って貰ったんだ。フルートとサックスとトランペット。クラリネットは多かったけど、定員も多いから帰って貰った。
「ごめーん!お待たせー!」
サックスパートのパートリーダーのアスカがきた。
「全員揃ったね、遅くなってごめん。今年は23人入ってくれた。僕らの代の倍近いね。そこで、各パート何人まで面倒みれるかききたいんだ。うちは3人かな?ハルカ?」
「そうだね、ヒロくんとさーちゃんにもよるけどね。」
「フルートは?シン。」
「フルートは2人かな。ピッコロの楽器の数的にこれ以上増えるとパート振りに困る」
「アスカちゃんのとこは?」
「4人欲しい!」
「わかったありがとう。んじゃ、また明日。よろしくね。」
「はーい。」
「うん。」
「ラジャ!カエデくん!帰ろー!」
帰り道はアスカちゃんと一緒。幼稚園の時からの付き合いで、家が徒歩3分ぐらいのところにある。幼なじみってやつだ。
アスカも僕の黒いところを知ってる人間だ。
「ねぇねぇ、今年の1年、カエデくん目当ての子多いらしいよ」
「噂でしょ。」
と、いいつつ、まんざらでもない。
「ボロ出さないようにするのたいへんになるねぇ、無理しないで頼ってくれてもいいんだよぉ。」
「ありがとさん、いつも頼りにしてるよ。」
「あ、カエデくん家いっていい?勉強教えてよ!おばさんには私からメールするから」
「えぇ、もう俺高校生だよ?部屋で勉強とかなにされるかわかんなくね?」
「んー、カエデくんならいいよ。」
「ん、どーゆーいみ???」
「ハー、ついた!」
「いや、ここ俺ん家!」
「おばさーん!ただいま?お邪魔しまーす!メールみてくれたぁ?」
カエデちゃんは母親がどんな人間かを知っている。生で見たことはないけど。その上でこうやって機嫌をとって、付き合ってくれるんだ。ありがたい。
「部屋いっていい?」
「どーぞ。分かんないところ解けたらすぐ帰れよ?」
「うん!」
改めて見るとスタイルいいな。引き締まった体に豊かな胸。スカートからチラチラ太ももが…。小学校の頃はバスケをやってて、今でも運動神経は抜群。吹奏楽部に入ったのが不思議なくらいだ。顔も我が幼なじみながらいい方だ。裏で囁かれる学年美人ランキング五本の指に入るとか…。
「なにジロジロみてんの?エッチ。」
「違うから!!」
「でも今見てたよ。一昨年とかは『昔はよくベタベタしてたじゃん。今更そんな目で見れねーよ。』とか言ってたのに…カエデくんもオトコになったのかなぁ。」
『いや、あなたが女になったのかと。』心のなかで呟く。中一のときはそんな女っぽくなかったじゃねーかよ!襲わないだけ感謝して欲しい。
「カエデくんが良い子にしてるとなんかみんなのものになってく気がしてやだなぁ。」
「なにそれ。」