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天使の涙  マリ

夜、真は、街にいた。

「ひさしぶりに、人ごみのなかは、キツイな。」

エリカが、横で笑っている。

アーケードのなか、人にあふれて、進まない。

エリカは、真と手を繋いで歩いていることに、喜んでいる。

信号で、止まっている。

人々が、雑然と並びながら、変わるのを、まっている。

前に、デパートが、見えた。

大理石で作られた、高級なデパートである。

百年は、建っているだろうか? プレゼントには、よく使う、デパートである。包装紙には、赤い薔薇の印刷を施している、デパート。

真が、横断歩道を渡りながら、エリカと話をする、真。

時々、真を見る人が。

「どうした?」

大学のコンパだろうか? 連れが、飲み友達が、立ち止まって、見ている。

「あの人、誰と話をしているのかしら。」

話す、女性。

「スマホでしょう。」

言う、友達が。

「横向いて、話をするの?」

言う、人に、

「いくよ。」

友達に手をとられて、チェーン店の居酒屋に、入った。

(あの人、見えているみたい。)

笑う、エリカ。

「そうだな。」

真はデパートのなかに、入った。

地下にいく、真。

エリカが、4枚の羽根を出した。

エスカレーターのなか、歩いて降りようとした人々に、天使が、見えて、慌てて止まった。

エリカは、地下の食品売り場で、羽根をのばした。

(ねぇ、真。ジュース飲みたい。)

と、ふたりで、生ジュースのコーナーに。

生のリンゴジュースを選んだ。

透明カップのリンゴジュースが、透明になっていく。

ジュースコーナーのお姉さんが、お客さんたちが、驚いている。

ジュースを飲んだ、真と、エリカは、宝石売り場に。

売り場のスタッフが、天使を見て、固まっている。

「なにか、お探しですか?」

聞くスタッフ。この売り場の責任者だろうか。

(少し遅いけど、入学祝いをさがしているの。)

エリカが、宝石を見ながら、言う。

「知り合いの。」

宝石を、いくつか見せる、売り場のスタッフ。

エリカは、

(綺麗。)

と、羽根を羽ばたかせて、見ている。

売り場のスタッフ達は、見ている。 

天使の粉が、エアコンに乗って、飛んでいく。

エリカが、宝石を手にとって、見ている。

「エリカ。」

(なに?)

「まずは、ミユキのからだ。」

笑う、エリカ。

(ねぇ、ラぺルピン。ある?)

エリカが店員に聞いた。

「あんなのでいいのか?」

(魔女リカの、ラペルピンを見ていたから。)

エリカが言う。

(それに、色いろ、もらったって、言っていたから、ミユキ。) 

「天使様ですよね。」

微笑んだ、エリカ。

と、出してもらった、ラぺルピンを手にとって見るエリカ。 

(ねぇ、真。どれがいい?)

迷っている、エリカ。

「エリカが、選んだら、いいよ。」

言う、真を見て、微笑んだ、エリカ。

(いいの?) 

「ミユキも、エリカが選んだ、ラぺルピンなら、大事に使ってくれるから。」

(うん。)

(そうね。)

ダイアモンドの入っている、赤い薔薇のラぺルピンを取った。

「気に入ったの、あった?」

(真。私。これ欲しい!)

エリカが笑って言った。

「エリカ。今日は、ミユキのプレゼントだろう。」

(だから、ミユキには、これ。)

金の薔薇でダイアモンドの入った、ラぺルピンを、真に見せた。

(私のは、これ。)

赤い薔薇でダイアモンドのラぺルピンと、銀の羽根を持つ、ダイアモンドの入った、ラぺルピンを、持っている。 

「エリカ……。」

(なに、真。)

エリカの微笑み、うなずいた、真だった。

「この3本、プレゼントにしてください。」

と、店員に言った、真。

(まって。私、これ、つけたい。)

と、赤い薔薇のラぺルピンを、胸に置くエリカ。 

「でも、エリカの今の服では。」 

と店員を見る、真。

「なにかいいことない?」

アドバイスを求めた、真。

夜ザクラを、見にいくと話した、真とエリカ。

「そうですね。」

エリカを見て考える、スタッフ。

「スカーフなんか、どうですか。」

スタッフが、すすめた。

「スカーフの留め具としては、どうでしょう。」

スカーフ売り場に、案内する、責任者。

「好きなの、選んでいいよ。」

真が、言った。

(いいの?)

エリカは、上機嫌だ。

同じフロアにあるコーヒーショップから、サービスのコーヒーが届いた。

「あの、天使様って、あんな感じなのですか?」

スタッフの責任者が、聞いた。

「俺の知ってる天使は。」

「天使のエリカは、3千年位、天使でいるんだ。」

「天使って、不死の身体なんだ。」

「いいですね。」

店員が、言った。

(いい事ないは。)

エリカが悲しい顔で笑った。

(私の愛する真も、死ぬ。)

(私は、真の想いを抱いたでのなかで、生きていくのよ。)

(何百年、何千年。)

悲しく笑いながら話す、エリカ。

(私にとって真以上の人は、いなかった。)

(そして、これからも。)

(好きな人を、死ぬところを見る気持ち、わかる。)

(亡くした心、解る?)

(想いでのなかの人になった、人を。)

(多くの人の死を見ないといけない。)

(亡くなる人の苦しみを、家族の、愛する人の別れを見ないといけないの。)

エリカは、店員に、人々に、言った。悲しそうに。

みんな、黙っている。

「で、決まった?エリカ。」

真が、ショーケースを見た。

スカーフの山になっている。

「これは?」

「天使様が、あるだけのスカーフを、広げて、見たのです。」 

店員が、話た。

100枚はあるだろうか。

店員のみんなが、困っている。

(真。これと、これと、あれ。)

エリカの笑顔が、まぶしい。

(どれがいい?)

エリカが迷っている。

真が、店員に言った。

「3枚とももらうよ。」

笑顔に、なって言った。

「いいのですか?」

聞く、店員。

「エリカの、天使の、笑顔が、一番の、プレゼントだ。」

カードを出した。

「それに、天使は、ほとんど食事をしないし。」

「天使って、金持ちが、多いし。」

エリカを見る、真。

喜ぶエリカを見て、カードを出した。

受け取った宝石売り場の責任者が驚いている。

デパートの店長が、来た。

「これって。」

アヴァロンの、ブラックカードを見た。

「よろしいのですか?」

「私も、はじめて、見ました。」

「だろうな。」

(アヴァロンは、メシア教会と深いつながりがあるの。)

(それに、アバロンのブラックカードって、地球中で、1万枚もでてないもの。)

カードには、エリカの羽根が、おしている。

「それより、エリカに、天使に、スカーフの使い方、教えてくれる。」

真が言う。

3枚のスカーフから、お気にいりの、1枚を、着て、喜んでいる。

スカーフを、教えてもらったら、1回ずつ、真に、見せにくる、エリカ。

そして、真が、誉めてあげないと、1回づつ怒る、エリカ。 

店員達が、スカーフを直しながら、見ている。

「なにか、子供みたいですね。」

と、スタッフ。

「毎日、魂を、天上界に、連れていくんだ。」

スタッフが、真を見る。

「何百人。何万人と。」

「それだけ、別れがある。悲しみがある。」

「苦しみが。」

「天使は、毎日、見ているんだよ。」

「だから、楽しむ時は、おもいっきり、遊ぶのさ。」

「あなたと?」

店員が、聞いた。

(そう。牧師の、真と。)

エリカが、言った。

羽根をたたんだ、エリカ。

公園にと、いく、真とエリカ。

桜が満開の公園。多くの人々が、楽しんでいる。

真の手には、デパートで買った、弁当が、ひとつ、お茶が、ふたつ、袋に。

デパートの前で信号待ちをしているエリカは、真と話をしている。

真が買った、スカーフをして。

エリカ、ご機嫌だった。

話に夢中のエリカは、真と向かい合っているため、後ろの人とぶつかった。

しかし、人をすり抜けて、前にでた。

ぶつかった人が驚いて悲鳴を上げた。 

(アイム、ソーリー。)

羽根でバランスをとって、真に抱きついた、エリカ。

回りの人々が、見ている。 

真は、笑っている。

「天使が。」

「天使がいる。」

信号機が、青になった。

人々が、わたり出した。

真も、歩いている。

デパートの前で、悲鳴が。

怒る人も、いる。

「誰だ!ビール缶を落とした奴は!」

人々がデパートの上を見る。 

靴が、落ちてきた。

「どうした。」 

デパートのスタッフが、出て来た。

「上に、誰かいるのか!」 

エリカが戻って来た。

(人がいる。)

(自殺するみたい。)

「他の人は?」

真がエリカに。

(まだ。)

宝石売り場のスタッフを見た、真は、デパートの案内で、屋上に上がった。

エリカは、死のうとしている人を、見ている。

デパートのスタッフが、説得している。

「ビール、飲んでいるのか?」

聞いた、真。

「そのようです。」

女の人が。 

「デパートのスタッフです。」

真を見て、言った。

「ハイ。私の、下で働いている人です。」

(どうするの?)

エリカが、聞いた。

デパートの人々は、男の前で、飛んでいる、天使に、驚いている。

「ビール、ありますか?」 

真が聞いた。

ビールを6本、持って来た、スタッフ。

エリカは、笑っている。

下には、赤い回転灯がいくつも見える。

フェンスの、外側にでた、真。

「凄い人だな。」 

男が、真を見た。

「あんた、なんで。」

「開いていた。」

ビールを開けて、飲んだ、真。

「ここから見るのって、いいな。」

ビールを渡す、真。

ツインタワーが見える。城も。

「子供の頃、親ときたもんだ。」

「あんたの、特等席か?」

真が聞いた。

「あんたは?」

聞く、男。

「牧師をしている。」

「俺を、迎えに来たのか?」

笑う、真。

(ちがう!)

男の前に天使が現れた。

男は、驚いて、後ずさりして、尻もちをついて、フェンスにぶつかった。

「立てるか?」

真が。

「て、天使が見える。」

「ああ。いるよ。今日、一緒に、買い物していたから。」

(デートよ。)

(いいでしょう。このスカーフ。)

(真が、買ってくれたの。ここで。)

「え? デート? スカーフ? 天使が?」

男が、聞いた。

「俺はもう死んだのか?」

言う、男。

「いい物を買えることができたよ。エリカが喜こんでいる。」

「エリカ?」

男は、真を見る。

「ここで、いつも、飲んでいるのか?」

「特等席だな。」

真が、言った。

「ちがいます。」

「死ぬつもりで、来たのです。」

男が、言った。

「そうか。……。でも、なぜ?」

「それは、……。」

男の口から出たのは、会社の不満。上司が代わったから、うまくいかない。

ノルマが……。

「俺にはわからない世界だな。」

話す、真。

「エリカと、天使のエリカと会った時から、俺の人生が決めたんだ。」

「あんたが死にたいと思うほど、つらい仕事なら…。」

「転職という選択もあるのでは?」

真が、飲みながら、言った。 

「ダメです。自分は、サービス業を目指して、このデパートに入ったんです。」

「私立の一流大学を出て、何倍もの競争に勝って……。」

「だから、転職なんて。」

(ねぇ。本当に、自殺したいの?)

エリカが、聞いた。

「上司が代わったから。」

(だから、自殺したいの?) 

「自分にとって、大事なことです。」

(……。)

真を見る、エリカ。

(ねぇ、真。上司って人になったら、みんな、自殺するの?)

エリカの回りに、天使のマリー姉さんが、ヘルガ姉さんが、ジェシカ姉さん達が、話をしている。

「後ろにいる人に聞け。」

(うん。)

フェンスをすり抜けて、デパートの人々に。

「あの? 本当に聞いているのですか?」

「本当だろう。」

エリカを見て、言った。

「さて、どうする? 生きるか? 死ぬか?」

真が聞いた。

「あんた、人を殺したこと、あります?」

「な、ないです。」 

「だろうな。自殺って、勇気がいる事なんですよ。」

「自分で、あなた自身を殺すことなんですから。」

真が、話をした。

「でも、あなたが自殺しても、すぐに忘れ去られる。」

「会社から、上司から。同僚から。後輩から。」

「家族からも。」 

「解ります?」

「多くの人が生きていく為に、すぐ、忘れ去られる。」

「すこし、休んだら。」

男が、真の顔を見た。

「自殺したから、楽になれる。なんて、考えないで欲しいな。」

真が、話をする。

「あんたの生きた事。生きた記憶。してきたこと。歩いてきた、道。」

「あんたが、全て、たち斬る。」

「そして、あんたが生きたことを、多くの人がわすれる。」

話す、真。

「自殺するまで、考えたのだから。」

「生きるという勇気を選択することも、転職するという選択もあると思う。」

男は、黙って、うなずいた。

デパートの人達が見ている。

人々のところに帰った、真と男。

「この!バカ!」

力いっぱいの、平手が、男にあたった。

倒れた、男。

殴った女性は、右手を左手で抑えている。

エリカは、真に抱きついた。

(キャ!)

「立てるか?」

デパートの人々が、男を立たせた。

「見ろ。お前より、あの人のほうが、痛いだろう。」

真が。

(ねぇ。真。わかんない。)

「なにが?」

(上司っていう人が代わったら自殺するの。)

エリカが、言った。

「後で言うよ。」

真は、エリカと、いく。

「後は、頼みます。」デパートでは、送迎車を出して真を見送ってくれた。

「どこにまいりますか?」

聞く運転手に。

「桜の花見ができる公園にお願いします。」


何日かして、教会に客が来た。

友達と、天使達と、遊んでいた女の子が、礼拝堂に、きた。

「ママ。お客さん。」

シスター、アンに抱きついて言う、マリア。

「どうした?」

デープ牧師が、聞いた。

「あなた。お客様ですって。」

「パパ、お客さん。」

礼拝堂の扉に立つ、人が、3人。

デパートの袋を、持っている。

「マリア。おじいちゃん、呼んできて。」

走る、マリア。

デープと、アンが、話をしている。

マリアが、真と天使のエリカと天使のマリアを連れてきた。

天使のマリアは、子マリアを抱いている。

報務室で話をする、お客さんと、真とエリカ達。

「どうして、解ったのですか。」

デープが聞いた。

アンとマリアの間に座った子マリア。

「ウェブで、すぐ解りました。」

「それで彼は?」

「今、休暇をとっています。」

デパートの店長が、言った。

「彼より、鈴木課長の方が、まいってしまって。」

女の人が、落ちこんでいる。

「でしょうね。」

真が言った。

女の人。鈴木課長を見る、真。

「あなたと、太田さんは、外商部でしたね。」

真が、話を変えた。

「どうして、それを?」

「ネームプレートを、みましたから。」

店長と、部長が、顔を見た。

マリアは、天使のマリアの膝に座って、ビスケットを食べている。

アンは、紅茶を、7つ、出した。

エリカと、マリアには、ジュースを。

「マリア。このジュースは、エリカとマリアのだからね。」

「ハーイ。」

と、返事すると、マリアのジュースに、手を出した。

怒る、アン。

笑う、マリア。

「あの、本当に天使が、見えるのですけど。」

店長が、言った。

「この教会は、天上界に通じる門があるのですよ。」

デープが、話をする。

天使が、入ってきた。

(エリカ! また、真に買ってもらって!)

(いいでしょ。)

(私も、欲しい。)

天使達が、言う。

驚いている、デパートの人。

「なにが、おこっているのですか?」

「天使のエリカが、スカーフと、ラベルピンを、見せているのですよ。」

(ねぇ!真。エリカに買ってあげるのは、いいけど。)

(私達も、欲しい。)

(どこで、買ったの!)

天使が、せまる。

(姉さん。ダメ。)

(怒るよ。)

「本当!エリカ!」

アンと、マリアが言った。

(本当よ。アン。マリア。)

デープを見るなり。

(いつも、エリカ姉さん、真に買ってもらってんだから。)

マリアが、言う。

「あなた、私も、欲しい。」

(デープ。お姉さんには。)

と、言う、ふたり。

「パパ、マリアも。」

3人に、せがまれる、デープ。

「おやじ。」

(お茶、美味しい。)

エリカが、真は無視している。

「鈴木課長。今後、教会にきて下さい。」

真が話した。

「ハイ?」

真を見る、デパートの3人。

「スカーフと、ラベルピンなどを持って。」

天使は、鈴木課長を見た。

(いつ、来るの?)

「天使の間では、今、スカーフブームなのですよ。」

(エリカの真似、みんなするの。)

笑う、真。


エリカは、木下病院に、いた。

「エリカ。どうしたの?スカーフ?」

木下トモコdoctorが、聞いた。

(いいでしょ。真が買ってくれたの。)

「ウソ。」

「見せて!」

天使のファッションを真似する、

doctorに、nurse達。

この病院では、天使のファッションは、必ず、当たる、と、言われている。

「先取りよ。先取り。」

トモコdoctorの前を通る、木下doctor。

「あなた。エリカ。スカーフをしている。」

黙った、木下doctor。

「ブランド物。ブランド!」

(ラベルピンも、買ってもらったの。)

エリカが、トモコdoctorに、自慢している。

(来週、きてくれるの。)

エリカが、火に、注いだ。

燃え上がる、トモコdoctorに、nurse達。

「必ず、だんなと、教会よ。」

「デートよ。教会で。」

「主人。連れていく!」

女doctorに、nurseの話は、夢中になっている。

「どうした。木下?」

「真。エリカにスカーフ、買ってあげたんだって。」

「話、したのか? エリカが。」

「トモコにスカーフ、見せびらかして。」

「そうか。」

笑い顔になった。真。

「ウソ!」

トモコdoctorが。

「あなた!エリカさん。3枚も、買ってもらったって。」

(この、ラベルピンも、買ってくれたの。)

「ですって。あなた。」

真を探す、木下doctor。

白衣を、つかんで、言う。トモコdoctor。

「解りました。プレゼントするよ。トモコ。」

抱きついて、キスをする。トモコdoctor。

見ている、doctorに、nurse。

「なに、見てんのよ!」

「早く、こいびと、作りなさいよ。」

エリカが見ている。

「早く、買ってもらえる人を。」

「はよ、作ろう。」

「今、呼び出ししたよ。あの人!」

「ゴルフ辞めさせて、デートよ。」

真はというと、木下からの、クレームを逃れる為に、2階のフロアから、1階の受付を見ていた。

「アレ。」

(どうしたの。)

エリカが、聞いた。

「あの人、デパートの人だ。」

トモコdoctorが、PHSで受付に聞いてくれた。

「マリさんのお客だって。」

エリカが、見ている。

エレベータ前で、男を待ってる、真と木下。

「もういけるのか?」

と、真が、聞いた。

男は、太田という。 

「刀根課長。刀根マリさんの、下で、今まで、いたんです。人づきあいの下手な自分を、ここまで、教えてくれました。」

「あの人が、入院なんて。」

言う、太田。

喫茶店で、話をする、太田と真。

木下が、聞いている。

エリカが、真に、抱きついている。

「それで、doctor。マリさんは?」

「マリさんに、本人に、聞いて下さい。」

と、言った。

「でも、牧師さんが。」

言う、太田。

「学生の仲間だ。」

笑う、真。

太田を見送った、真と木下。

「辛いね。」

トモコdoctorが。

病室のエレベータを出た処。

「太田君?」

マリが、驚いた。

挨拶する、太田とマリ。

nurseが、ふたりをからかう。

車椅子に座っている、マリ。

「nurseが、車椅子の方が、楽だからって。」

笑う、マリ。

「今まで、弟夫婦が、きてくれたの。」

マリが、言った。

「今日は、嬉しい。ふたりもきてくれて。」

マリが、太田と、病院の庭に、行った。

サクラが咲いている。

「どう、みんな、元気にしている?」

マリが聞いた。

「早く、帰ってきて下さいよ。」

「さびしいの。太田君?」

「あなたなら、大丈夫よね。」

言う、マリ。

「でも、先輩の時のように…。」

と、話す、太田。

笑う、マリ。

「もうすぐ、退院できるの。」

マリが。

「じゃ、また、会社に。」

「そうね。」

遠くを、見る、マリ。

「眠い。病室まで、送って。」

マリが、言った。車椅子を押す、太田。

「また、休みに来ます。」

「ありがとう。でも、太田君、無理しないで。」

大部屋の、ベットに入った、マリ。

「やっと、弟さん、きてくれたの?」

言う、同室の患者さん達。

笑う、マリ。

「カーテン。お願い。」

言うと、マリは寝た。

病院の出入口。

多くの家族連れが、友達が、見舞いにきている。

太田を呼ぶ人が。

「誰ですか。」

聞く、太田。

「あたし。鈴木よ。」

サングラスをとった、鈴木課長。

鈴木課長の家族だろうか? 男の人と、話をしている。

「クルマでしょ。いきましょう。」

言う、鈴木課長。太田を見ている、人々が。

頭を下げた。

「なにしてんのよ。」

顔を赤くして、太田を引っ張る、鈴木課長。

と、太田の手を握って、クルマに。 

「ドライブよ。」

高速道路を走る、赤いハッチバック。助手席には、鈴木が、座っている。

「あたしのオバサン。木下病院のnurse長していたりして。」

言う、鈴木。

黙っている、太田。

ウォークマンを、見る、鈴木。

クルマのミュージックは、ウォークマンから、流れている。

「マリさんの隣。おばあちゃんが、いたりして。」

「そうなんですか。」

「うん。」

「おばあちゃん、長くないの。」

「!」

「あの病棟。ガンの人だけ。」

湾岸道路を走る、クルマ。

「オバサンが、言っていた。」

「マリさんの所。誰も来ない。」

「マリさん、メール見ている。」

「エレベータから、離れない。」って。」

サングラスをする、鈴木。

ミュージシックが、替わった。

「ヘー、太田君って、こんな音楽、聞くんだ。」

「おかしい?」

「ちがうは。スゴいなって思って。」

「私の知らなかった、世界。知っているんだ。」

「ケビックウーマン。ボンド。プライス。禅? これって、お経?」

クルマから流れる曲に、笑っている。

「楽しい?」

「だって、JPOP に、アニメ。お経って、すごい。」

工場地帯を、横にして走る、クルマ。

「海辺の、ショッピングセンター。海が見える、テラス席。

トロピカルジュースを。夕日を見ながら。

「マリさん、どうするの?」

「ふられた。」

「そう。」

鈴木は、サングラスをする。

「家の人。来ないって。」

「えっ?」

「いつも、車椅子に座って、エレベータ、見ているって。」

「オバサン、言っていた。」

鈴木が。

「マリさんの家の人って。」

「クルマで、すぐのところよ。」

「誕生祭とかに、プレゼントしたのに。」

「家の人、誰も、来ないなんて。」

「家族って、たとえ、血がつながっていても、こんなものでしよう。」

「私は、ちがう、と、思いたい。」

海が、鳴いている。

「マリさん。ひとりで、なにを見ているんだろう?」

「みんな、マリさんの話。しなくなって。」

太陽が、見えなくなった。

太田が、仕事に戻った。鈴木課長が、見ている。

 

教会に、デパートから、外商部の人達が、スカーフ売場から、何人か、きた。

nurse達の、機嫌を取りに来た、男共は、酒を飲みながら、話をしている。

天使たちと、女達は、アレがいい。これも、いい。と、スカーフに、ラベルピン、リング、など、等、選らんでいる。

トモコdoctorも、木下doctorと、木下doctorのおかあさんと、きている。

エリカは、天使たちは、ひとつひとつ、真達、天使のパートナーに、見せては、買えと、アピールする。

天使のパートナーのシスター達は、天使たちと、買い物を楽しんでいる。

天使たちの押しに弱い、牧師は、買ってあげた。

シスターに、買っている、牧師も。

天使たちが、男共に、ワインを、飲ましている。

nurse達も、恋人に、だんなにと、ワインを注いで、アピールをしている。

デパートの人が、売り切れた、と、言うと、天使たちから、クレームが、入った。

追加を指示する、デパートの社員。

「いつも、こんなのですか。」

鈴木課長が。

「天使の買い物、凄いだろう。」

デープが、言う。

横に、アンと、マリアと、小マリアが、いる。

エリカは、スカーフリングとスカーフを、2枚、買ってもらったので、機嫌がいい。

執務室で、太田と、鈴木課長と、話をする、真達。

「マリさんのことだけど。」

トモコdoctorが、話をする。

家族も、誰も、見舞いに来ない。

「でも、マリさん。退院するって。」

太田が、言った。

「退院するのも、2つあるのよ。」

トモコdoctorが。

(生きて、家族の処に帰る人と。)

エリカが、太田の顔を見て、言った。

「私の病院は、真の教会に、助けてもらっているの。」

(私達、天使と会って、死を、受け入れて、最後の日を待つ人々の為に。)

エリカが、言った。

(多くの人は、最後の日が、くるは。)

(私は、大丈夫よ。って信じて。)

(でも、死ぬ日が、近づいてくると、逃げることのできない、死を、見えてくると、心が、折れてね。)

「話をする友が、愛する人と、話をするだけで、ね。」

エリカと、真が言った。

「なぜ、私達に?」

鈴木が。

「私に、するのですか?」

太田が。鈴木課長は、太田を見た。

「見えるンだ。」

(私の、天使の、関わった人には。)

さびしく笑う、真とエリカ。

(あなたのように、死を望む人もいれば、生きたいのに、時間がこぼれる人もいる。)

「太田君。あなた、忙しいんだから、来なくていいのよ。」

マリが、言った。

車椅子を押している、太田。

病院の庭は、サクラの花びらが、風に乗って踊っている。

「平気ですよ。早く、復帰して下さいよ。」

「イヤよ。私、退院したら、家で、ゴロゴロするの。」

笑う、マリ。

「私、ガンと解った時、入院していたらよかった。」

「仕事が、楽しくて、会社の為に、頑張って、みんなから、認めてもらえる、って。」

「そうですか…。」

「でも、違った。」

「私が、倒れて、入院しても、相手様には、迷惑かけなかったし。」

「いくつもの、契約も出来たみたいだし。」

マリが、言った。

「それは、課長が営業日誌を書いていたから。」

「ファイルも。引きついでも、トラブルにならなかったし。」「そうね。私、会社が、楽しかった。」

「もっと、私自身を大切にして、受け入れていれば、死ななくていいのに。」

マリが。

「課長!変なこと。言わないで下さい。」

「いいのよ。」

大空を見ながら、マリは。

「この病院。ホスピタル、してくれるの。」

「死ぬことが、恐い。」

「生きたい。」

「今でも、叫びたい。」

「でも、身体が、時が。」

「私の気持ちを、牧師様が。」

「死出の、準備を。」

「心の、やすらぎ……。」

見ている、太田。

「ガンと解った時、doctorの言うように、入院して、治せばよかった。」

「なぜ、しなかったのです?」

「楽しかったのよ。仕事が。」

「次から次に決まって。」

「グラフがのびて、会社に認められて、社長に表彰されて、海外旅行のオマケまで、タダで、行けて。」

「初めてだったのよ、海外旅行って。」

「こんなこと、されたら、私は、特別な人だと。」

「ホレてしまったのよ。私に。」

「デパートが、会社が、後ろにいるってことを、忘れて。」

「病院には、行ったは。」

「でも、ガンが、進むと、お客様が離れていくのと、同じぐらいだった。」

マリが、泣きながら、言った。

「てきるなら、時を戻して、私に注意したい。」

「入院しろ! って。」

「そして……。」

「そして?」

マリが太田の顔を見て、言った。

「プロポーズを、受けろ……。」

黙った、太田。

「あなたと結婚していたら、楽しい家族がいて、もっと、楽しい、生きられるかも。」

「ガンに、ならなかったかも。」

マリが太田の顔を見て。

「マリは、そう思うのです。」

「楽しい。」

「けれど、イヤなことも、多くあった。」

「毎日が、プレッシャーで、ムリな生活してきたの。」

「身体が、怒っているのに、無視してきたの。」

太田から、反らした、マリ。

「ごめんなさい。太田君の気持ち、受け入れなくて。」

「いいえ。いいのです。」


「好きな人。てきた?」

「いませんよ。課長みたいな人。」

「ありがとう。」

「でも、もう来ないで。」

「私、アナタ、嫌いだから。」

マリは、言った。

「nurseさん。病室まで、連れていって。」

イスに座って、空を見る、太田。

「来るな、って言われてもな。」

空には、鳥が飛んでいる。

「青いな。」

「どうしたの?」

と、声をかける人が。

「なんだ、鈴木か?」

課長を見るつけない太田に、ムッ、と、しながら、話す、鈴木。「もう、来るなって。俺、ふられた。」

太田が。

「本心かな。マリさん。」

「………。」

「死ぬ準備をしているのに、あなたが、現れて。マリさん。あの人の、心は……。」

「どうすれば。」

太田が言った。

「お世話かもしれないけれど、最後まで、見てあげたら。」

言う、鈴木。

「グチなら、聞くわよ。」

「ドライブ。行こ。」

太田の手をとって、歩く。

「来てはダメ。って言ったのに。」

怒っている、マリ。

「今日は、休みだから。」

「地下のプリン。買ってきました。」

と、言う、太田。

菓子売場のホテルのプリン。

「懐かしい。」

マリが言った。

「課長、あの日。プリン、5ヶ、置いて、食べましたから。」「そうね。私へのご褒美。」

「ダメと思っていた商談、決まったから。」

マリが。

「1つ500円のプリンを、ひとりで。」

「美味しかった……。」

「見ているだけで、ハッピーになりました。」

「そうね。昔の話よ。」

「ねぇ、食べさせて。」

マリは、太田が見舞いに来る日は、エレベータの前で、待っていた。

太田が帰った後、エレベータを見ている。

「いい?病室に行きましょう。」

nurseが、車椅子を押して、歩く。

「ありがとう。ごめんね。」

エレベータが開いた。

マリが、いない。

病室に急ぐ、太田。

「ごめんね。エレベータにいけなくて。」

鼻に、チューブをしている。

「寝坊したンでしょ。マリ。」

「わかった! そうなのよ。」

「今日。なに、もって来てくれたの。」

「ケーキと、ワイン。」

「食べさせて。」

フルーツケーキに、甘いワイン。美味しいと、喜ぶ、マリ。

「ねぇ、ワタル。」

マリが、名前でよんだ。

「ワタル。私、ほしいものあるの。」

マリが、言った。

「何を?」

「ウォークマン。ワタルの聞いている。」

「これを?」

「夜中、ひとりでいるのが、恐いから。」

マリの声が、小さくなった。

「いいよ。」

マリにわたした。

「後で、バッテリーも、もってくるよ。」

「ありがとう。」

大事に撫でている。

「それと。」

「まだもっていたら、でいいから。」

言う。マリ。 

「リング。ほしい。」

「リング。婚約リング?」

うなずいた、マリ。

「ごめんなさい。こんな身体になって、わがまま、言えた義理でないけれど。」

太田の顔を見ないで、言う、マリ。

「いいよ。後で、もってくる。」

涙が、マリの頬を濡らした。

カーテンの影が、離れる。

リングを指につける、ワタル。

「大きかったかな?」

「ごめんなさい。こんな身体で。」

「でも、ひとりでいくのが、恐い……。」

太田の服をにぎりしめて、言う、マリ。

病室の人々が、聞いている。

泣き止むまで、抱くことしかできない、ワタル。

ネックレスにリングを、通した、ワタル。それを、マリの首に。「ありがとう。」

「私から、ワタルに、プレゼント。」

「いいよ。」

「そのバック、とって。」

マリが。バックを開ける、マリ。

リボンのついた、箱が。

「見て。」

マリが言った。

ラぺルピンと、ネクタイピン。カウスボタンのセットが。 

「社長賞で作った、私だけのもの。」

「私の、ご褒美。」 

力なく笑う、マリ。

「もったいなくて、使えなかったの。」

マリが、言った。

「ワタル。もらって。」

「でも、こんな大事なものを。」

「いいの。」

「私が死んだら、宝物、家の人にとられるだけだから…。」

「だから。ワタル。もらって!!」

「なに。落ち込んでいるのよ。」

朝。

鈴木課長が、太田のデスクに座って、聞いた。 

外商部の、部屋に、鈴木課長の大声が、響いた。

みんなが、驚いて、見る。

「リング。渡したの?」

太田に聞く、鈴木課長。

「聞いていたのか!」

「うん。おばあちゃんの隣だから。」

鈴木が、言った。

「ねぇ。見せて、マリさんの、プレゼント。」

箱を開けて、ラベルピンを手にとった。

「えっ。これって、マリさんのデザインでしょ。」

隣の女の人が。

「どうして、太田さんが。」

女の人を見る、太田と鈴木。

「えっと。私が、業者に発注したンです。」

「そうなんだ。」

箱を太田に返した。

「ねぇ!みんな、聞いて!」

「太田君。マリさんと、婚約しました。」

女の人から、黄色い悲鳴が、あがった。

「えっ。まて。マリさん。ガンで!」

「言うな!!!」

鈴木が、男の人に、ぶつけた。涙が。身体が、泣いている。

「ゴメン。すまない。」

涙が、男に、落ちた。

「ありがとう。鈴木課長。」

引き離す、太田。

その、太田に、顔を埋めて泣く、鈴木。

休みの日。マリは待っていた。

「今、何時?」

「まだ、10時ですよ。」

nurseが、笑って、言った。

「そう。」

ドアの前に、人だかりが、

「マリさん。婚約、おめでとう。」

会社の、外商部の、仲間が、入ってきた。

「えっ!ええ!!何?」

「婚約したでしょ!マリさん。」

「どうして、それ、知っているの?」

マリが。

「もしかして、太田君が、言ったの?」

「先輩。」

カーテンが開いた。

「私のおばあちゃんです。」

隣のベットには、鼻にチューブを入れた、老婦人が、寝ていた。「ゴメンね。孫に脅かされたのよ。」

「おばあちゃん。」

笑いながら、怒る、鈴木。

「婚約パーティよ。今日は。」

鈴木が。

「でも、病院でしょ。」

マリが、言った。

「病院だから、出きるの。」

と、トモコdoctorが、言った。

「容態、おかしくなったら、すぐに処置できるでしょ。」

「それに、私、今日、休みだし。」

ディルームが、パーティ会場に変わった。

ケーキに、ドリンク。パーティセットが、置かれた。

マリの前に、ドレスが、何着も、置かれた。

「どのドレスにする?」

「え?え!私……。」

「ドレスを着て、あなたが、太田君を迎えに行くのよ。」

「私が。」

「そうよ。」

「しんどいけれど、がんばりましょう。」

トモコdoctorが、言った。

うなずいている、マリ。

ウエディングドレスを着て、教会に、行った、マリ。

真が、教会の扉に。

「待っていました。」

真が、言った。車椅子を押す、真。

祭壇の前には、デープとアンが。

ミサも、いる。

小マリアが、車椅子の前を、歩いている。

「スゴい。」

会社の人々が、外商部の人達が、驚いている。

トモコdoctorが、マリの診断を、している。

真を見て、笑う、トモコdoctor。

「結婚式をしますか?」

アンが、聞いた。

マリは、アンを見た。

真を、デープを、そして、ミサを見た。

静かに、口を開いた、マリ。

「私の身体は、もう、生きる力をもっていません。」

「私は、この人。太田さんの生きるささえになりたい。」

「私がいなくなっても、好きな人と、愛の種を、はぐくんで、生きてほしい。」

「私が、作らなかった世界を。」

「ここで、結婚したら、あなたは、歩けなくなる。」

と、泣きながら、言い切った。マリ。

「太田さんは、弱くないですよ。」

真が、マリに言った。

アンが、ミサが、離れた。

真が、太田を見ている。

「お、おれは、マリと結婚したい。いま、すぐ、ここで。」

「ダメ!私、十分。しあわせ。」

マリが、太田の腕をにぎって、……。

「昔。結婚したい。言ってくれた、あなた。」

「それを、私のわがままで、しあわせを逃したのよ。」

「なのに、あなたは……。」

「だから、あなたを、しばりつけたくない。」

「おねがい。」

車椅子から、落ちた、マリ。

受けとめる、太田。

「おねがい。わがまま、言わせて。」

(解りました。)

頭上から、言葉が、聞こえてきた。

「エリカ。」

4枚の羽根をもっている天使が、牧師の横に降りた。

天使たちも、太田とマリの回りを、取り囲む。

「エリカ。」

笑う、天使のエリカ。

(マリさん。あなたの魂は、私、天使のエリカが天上界に、天上の母上の処に届けましょう。)

(真。ふたりの為に、礼拝を……。)

言うと、車椅子を押す、エリカ。

マリと、太田は、真と、エリカから、祈りの言葉と、聖水を、受けた。

病院のディルームで、会社の、外商部の人達に、祝いを受けたマリと太田。

病院を、回って、挨拶をする、ふたりを、喜んで、祝う、人々。パーティのなか、病室に行く、マリと太田を見送る、外商部の人達。

「疲れたか?」

木下doctorと、トモコdoctorが、マリを見ている。

点滴を受ける、マリ。

「元気よ。」笑って、言う、マリ。

着替えて、ベットに。

外商部の人が、ケーキを、フルーツを、もって来てくれた。

病室が、パーティ会場に。

鈴木課長のおばあちゃんも、孫娘に、甘えている。

そして、パーティが、終わった。

鈴木も、外商部のみんなも、いなくなった。

真と、エリカが、マリと太田の処で、話をしている。

木下doctorが、いる。トモコdoctorが、缶ジュースを。

「エリカ。また、缶ジュース、増えたね。」

マリが、聞いている。

「ジュースが?」

太田が、言った。

「天使たち、ジュースのオマケがほしいって、買うのよ。」

ミサが、言う。

「ねぇ。真。」

と、見る。

(教えてくれたの、真よ。)

エリカが。

「天使たちのなかで、流行って、自販機のジュース、買い占めたの。」

マリが、見開いて聞く。

「ね!しん!」

ミサが、真に、言う。

「昔のことだよ。」

と、言って、真が、笑わせた。

(しんどいってこと、ありませんか?)

エリカが、聞く。

「ハイ。」

「でも、天使様が、いて、牧師様の、恋人だなんて、夢みたいですね。」

病室の天井を見ながら、言う、マリ。

「doctor。後。何日、ありますか?」

木下は、黙った。

「聞こえてくるの。暗やみから、走る音が。」

「目を開けると、天井が高くなって、小さくなるの。」

「私の死を待つものが、私を見て、笑うの。」

マリは太田の腕をとって。

「死にたくない。」

「恐い!!」

カッターから、血が。

「マリ。恐いのなら、一緒に行こうか!」

動かなくなった、マリ。

「俺、死のうと、したンだ。」

「なぜ?」

「課長が、マリが、入院したから。」

「マリの姿を、見ていた。」

「いなくなって、見えなくなった。」

「鈴木課長では、ダメだった。」

「でも、死ねなかった。」

「だから、会社を辞めて、生きようと。」

太田が、言った。

「その前に、課長に、マリに、会いたくて。」

「マリを見たら。」

「モヤが、マリの回りに。」

「マリが、どこかに、いきそうで。」

頭を、太田の胸にぶつけた、マリ。

「ありがとう。ワタル。」

「でも、ひとりで、待つわ。」

「あなたが、私の為にしてくれたように。」

「あなたと逢えるその時まで、ひとりで待つわ。」

「だから、私を忘れないで。」

「そして、素敵な女と出会って、生きて。」

「逢えるその時に、ワタルの話を聞かせて。」

しばらくして、マリは、ひとり部屋に移った。

太田は、会社の帰りに、顔を見に行った。

マリの身体は、もう、食べることが、できなくなっていた。 太田の顔を見ると、笑う、マリ。

「家の人は、来ない。」

と、木下doctorが。

「マリさん。太田さんが、くるのだけを、楽しみにしているの。」

トモコdoctorが。

外商部のみんなは、マリを心配している。

「太田君、マリさんは?」

聞く、鈴木課長。

「がんばっています。」

マリを見にきた、太田と、鈴木。

ウォークマンの音楽が、スピーカーから。

マリの手には、婚約の写真が。

会社の人達も、マリを見舞いに来た。

ワタルを見た、マリは、手をにぎった。

弱い手で。

「ワタルさん、」

「来ているよ。」

nurseに、うなずいた、マリ。

ワタルが、マリに、ケーキを、ワインを、口に。話を聞いている、マリ。

真が、木下doctorに、トモコdoctorに、話をしている。

「来ているのか? エリカさん。」

木下doctorが、真に。デープも、アンも、病室の前に、現れた。

夜、帰りはじめた、ワタルにしがみつく、マリ。

「いて。」

鈴木は、真達を見て、悟った。

「おねがい。」

顔を見る、マリ。

「おねがい。」

「太田君、nurseを呼んでくる。」

「いて。」

座った、太田。

nurse長が、木下doctorの、大先生と、若先生と、トモコdoctorと。


「大丈夫よ。大丈夫だから。」

言う、トモコdoctor。

「今は。」

nurse長が、マリさんの家族に、知らせている。

真は見えている。

エリカが、マリの側にいて、マリさんと、ワタルの手に重ねているのを。

マリさんの額に、手を置いていることを。

「たまらんな。」

病室を出た、木下doctorに、トモコdoctorに、言った。

「なんぼ見ても、たまらない。」

「そうなんだ。見える、ってことは。」

木下doctorが。

「でも、エリカは、毎日、見ているンだ。」

「エリカの為に、見続けないと。」

「天使を、パートナーにもったから?」

トモコdoctorが、病室を、マリさんを見て、言った。

「ご家族の人は、朝にくると。」

nurseが、言った。

「私が言う。」

nurse長のひとりが。

「おかあさま。」

トモコdoctorが、言った。

木下doctorを見て、

「どうするの?」

大先生が、

「後は、あいつに任せた。」

と、言う。

若先生は、トモコdoctorに、笑っただけだった。

会社に、外商部に、連絡したのか? 会社の人達が、来た。

「鈴木課長!」

ディルームに、マリさんを慕う人々が。

「今は、ふたりにしてあげて。」

鈴木課長が。

病室から、出てくる、nurse達。

「まだ、大丈夫だけど?」

と、言う。

「doctorには、解るのよ。旅立つ時が。」

鈴木が、デパートの人達が、見ている。

「ウソ?」

「長年、していると、解るみたい。」

「それに、真牧師が、デープ牧師にアンシスターが、来ているし。」

話を聞いた、デパートの人は、

「解るのですか?」

「あなたも、見たでしょ。天使様を。」

「もっと、早く、手をつけておくンだったな。」

笑う、人も。

「でも、あの太田も、ふられたんだだゼ。」

言う、人が。

「俺達には、釣り針にも、かからないな。」

病室を見て、笑う、人達。

フロアは、会社の人達で、溢れていた。

「人が多いな。」

言う、人が。

マクドに、レストランに、行く人達。

ディルームに、人が、いる。

鈴木課長も、中に入った。

病室に、礼をする、人達。

その人を見ている、マリ。

(私、こんなに、愛されていたんだね。ワタル。)

言う、マリが。

魂が、身体から、離れようとしている。

ワタルには、マリの声が、聞こえない。

マリは、苦しみから、解放されている。

ワタルの頭を撫でている、マリ。

(ありがとう。ワタル。)

(ワタルがいたから、楽しめた。)

病室に、nurseが、来ては、出て行く。

トモコdoctorが、見ている。

「doctor。」

nurseが、マリさんの、おかあさまを、連れて来た。

「タクシーで、来たのですよ。」

太田が、開けようとした。

マリの目が。口が。ワタルを見ている。

「マリさん、おかあさまですよ。」

マリは、ワタルを。

手を取るおかあさま。

でも、もう、母を見る力が、残ってなかった。

「マリ。マリ。」

と、呼びかける、母に、答えることは、なかった。

ワタルが、力を込めて、握った手を、感じたのか、目を閉じた。「マリ。マリ。」

そして、目を、開けることは、なかった。

エリカが、マリと話をしている。

後ろに、真が、いる。

真が、エリカが、マリに、話を。

ブザーが鳴った。

「ワタル、あなたは、マリさんの処にいて。」

トモコdoctorが。木下doctorも、来た。

「真!」

doctorが、nurseが、見た。

エリカが、現れて、マリの身体から、離れた、炎を、手に。

マリアが、横に、いる。

ワタルが、マリの身体に、手を。

「……。」

母親は、イスに、座っている。

会社の人達が、外商部の人々が、病室に、集まった。

ディルームに移った、マリ。

お別れをと、車椅子に乗った、人々が、花屋を起こして、持って来てくれた、花を、マリに。

「ありがとう。」

「向こうでね。」

別れの言葉を。

夜明け前に、教会に帰った、マリの身体に、マリの家族が、怒っている。

「お寺で、すると。」

母親が、息子を、ステッキで、叩いた。

「牧師様。マリをおねがいします。」

教会は、マリのお別れに来た、人々が。ウェディングドレスを着ている、マリ。

「寝ているみたいね。」

「ウェディングドレス、似合っている。」

「なんで、ドレスを?」

真牧師が、現れた。

デープ牧師にアンシスターが。天使たちが、天使の金の粉を出して、降りて来た。

「ウソ?」

教会の、礼拝堂は、光輝いている。

(お別れの義を執り行う前に。)

(結婚の義を執り行います。)

エリカが、言った。

太田が、白色のタキシードで、マリの横に。

真が、行った。

ミサが、横に、就いている。

エリカが、マリの魂の炎を、手に。

モニターに映る。

魂の炎が。

結婚の義が、終わった。

エリカたち、天使は、魂を、天上界に、母上の処に。天使を見たことに驚いている、人々が。天使を見たことに、しあわせを感じた、人々が。

(お待たせ。)

エリカが、真に、手を拡げて、エリカを受け止めた、真。

(先程の、結婚の義は、来世で、マリさんと、ワタルさんが、出会って、結ばれるようにとの、ふたりの思いを。)

(マリさんの魂は、天上の母上の処で、眠り、心を癒す時まで。)真を見る、エリカ。

「そして、新しく、生を受けて、走り出す時まで。」

「マリさんの身体は、この教会で、眠りにつきます。」

多くの人々が、別れの義に、参列した。白い花で、ドレスが、見えなくなった。

棺は、教会の墓地に。

穴に入った、棺の上に、花が、山のように。

人々は、マリとの、別れを悲しんだ。

太田ワタルを、残して。



主人公、牧師の真が、40代の話であります。

おもいっきり、飛ばしました。エリカとの、出会い、教会学校の話、牧師の話、等、書いていきます。自殺をしたいと考えている人の話も。一年で、自殺する人が、数万人いると、言われています。あなたの悩みを、聞くことはできないですが、自殺をしたいと、思って、考えた答えを、書きました。自殺することは、いつでもできます。だから、生きて欲しいのです。話をしていると、あなたの手を握ってくれる人が、います。多くの人が、あなたの手を掴んでくれます。

ガンバって、生きて下さい。

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