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リーズ・ナブルは此れにて御免 ~元軍人付与士は冒険者として成り上がる~  作者: アゲインスト
ダボンナ王国独立編 ~リーズ・ナブルの???~
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リーズ・ナブルと小さな一歩

どうもアゲインストでございます。

今回は新米冒険者たちの成長の一場面となります。

それではどうぞ。

「―――……はい、全員の確認ができました。どいつも軽犯罪から盗賊に身をやつしていました。唯一まとめ役のジャグーだけは相手とのいさかいでかなりの痛手を与えての犯罪となっていますので……全員合わせて金貨十八枚と銀貨四十枚がギルドからの報酬となります」

 

 場所はサベク警備隊の詰め所、石造りの部屋の中でギルド員の男と俺たちは机越しに対面していた。

 門番たちにこの部屋へと通され、少しばかり時間が経ったところでこの男、キトンがやってきた。

 どうやらこの男はライドたちに盗賊被害の調査を頼んだらしく、俺という部外者がいることに驚いていたが、事情を説明して同席を納得してもらった。

 キトンは俺とライドを席に促し、後は俺たちの背後に控えてもらうように指示を出してきた。それに従って二対一での話し合いを始めることとなる。

 

「さて、リーズさん。ライド君たちの話を聞きましたところ、この賞金はあなたに送られるに十分な理由があります。そこについては私が何かを言うことはありません。当事者し同士の話し合いでかし、元々の依頼である被害調査についての報酬、これについては彼らに権利があります」

「分かってるさ、俺だってそこまで貪欲じゃねぇ」

「ご理解いただけてありがとうございます。いやよかった……こういったことについて度々問題が起こっているので少し警戒してしまいまして。不快にさせたなら申し訳ありません」

「まあ……こういう仕事については理解があるつもりだ。俺もこれまでそういうことやってたもんでね」

「おや、どういったお仕事をされてきたんですか?」

「しばらく軍人として生きてきたもんでね。関係者と軋轢があると仕事に差し障りがあるのは経験してきてる、まあちょっと問題があって辞めさせられたんだが」

「ははは……それはまた……なんとも」

 

 真面目そうなこのギルド員はこのコメントしずらい身の上話に苦笑をあげて言葉を濁す。普通軍人が辞めるような事態になるのはよっぽどのことを仕出かしたか何かがないと中々そうはならない。そういう事情を知っているのだろう、彼の目には俺を哀れむような色が見えていた。

 

「え、ええと……じゃあライド君、君たちの方の依頼について話そうか」

「は、はい! お願いします!」

「そう固くならなくていいよ、今回は中々ない事態だから複雑に感じるかもしれないけど、ギルドは君たちの行動について高く評価しているんだからね」

「そうなんですか!?」

「ああ。まず、先に盗賊たちを発見していても戦いを仕掛けなかったところだ。相手の戦力をよく考えての慎重な行動は冒険者にとって大切な資質と言えるだろう。その後に仲間の独断行動を許してしまったのはよくなかったけど、パーティーの意見を纏めてリーズさんとの交渉に持ち込んだこと、これも余計な争いを避けるために必要なスキルと言えるだろうね。

 新米の冒険者にはまだ早いと思っていたけれど、ここまで考えて行動できているのならもう少し経験を積めば鉄級のランクに昇格するのも時間の問題だろうね」

「……あ、ありがとうございます!!」

 

 若者の成長していく姿というのはいつ見てもいいものだな。自分にはこんな微笑ましい時期というのがなかったせいか、他人がこうして輝かしい未来へ一歩進んでいくのがどうにも眩しくていけない。

 働きをきちんと評価してもらい、素直な喜びを仲間と共有しているケインたち。

 過ぎ去った時間の対比を見せられているようで居心地の悪い時間を過ごしたが、それからちょっとした話を彼らがした後にようやく解放されることになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 ギルド員から解き放たれた俺たちはようやくサベクの街並みをこの目に入れることになった。

 夕焼けに溶け込むような石造りの建造物が目立つ、頑丈さを念頭に建設された風景が視界一杯に広がっている。

 しかし、決して人情味がないわけではない。

 活気に溢れた街道の出店、住民と会話を交わす警備隊、そこかしこにいる人の波を潜り抜けて走り去っていく子供たち。

 戦争となれば真っ先に侵攻の対象となるのに、そのことに対する不安感などは欠片も見当たらない。住民一人一人から生命力の力強さを感じる。

 

「……いい街だ」

「ええ、いい街なんです。自慢の故郷なんですよ」

「故郷……そうだったか」

「はい。だから、僕たちはこの街の力になれるようにできる限りのことをしたいんです」

 

 今だ力及ばずというのを理解して、それでも何かがしたいという青臭い願いはまさに少年少女が胸に抱く理想というのに相応しい。

 街並みを見つめる彼らの顔には依頼を達成したということとは別の感情が浮かんでいる。安心感、とは違うな。またこの街に戻ってこれたことを喜んでいる、といったところか。

 

「リーズさん、宿のことは考えてますか?」

「……そうだな、確かにこのままだと部屋が埋まっちまうか」

「ライド君、だったらあそこ(・・・)がよくない?」

あそこ(・・・)か……いいね。リーズさん、今日のところは皆と一緒に食事をしませんか? 宿も何とか融通してもらえるかもしれないんですが」

「お、何だ。行き着けの店でもあるのか?」

 

 仲間内で共通の認識があるのか、あれで通じるところがあるらしい。

 ライドたちは短い話し合いでこれからの行動を決め、俺にも同行してほしいと言ってきた。

 

「はい。小さいころからお世話になってるところがあるんですそこに行きましょう」

読了ありがとうございました。

感想など大募集しておりますのでよろしくお願いいたします。

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