リーズ・ナブルの旅は道連れ
どうもアゲインストでございます。
今回は少年少女のパーティーとのお話。
それではどうぞ。
冒険者パーティー「星の歩み」のリーダー、ライドとの話はなかなかためになる情報が多かった。
何よりも、彼らが乗ってきている馬車の存在が魅力的だった。
パーティーの一人、シェルフィーという神官の少女。彼女は俺が目指している国、「クロスユナイト聖教国」の出身であり国を治める神官長の一人、ヒルバスの娘であるらしい。神官長の三女として生まれた彼女は世界の見聞を広めるべく、冒険者となって様々な国を巡っているとか。
彼女は国を出る時に不自由がないよう、ヒルバスから数人の召し使いと、彼らを収容して余りある大型の馬車を所有している。これによって地面に転がっている他の盗賊五人を連れていける、ということらしい。
「で、それだけじゃないんだろう?」
「はい。僕たちとしては今回は賞金についてそこまで重視していません。五人、できればそちらの人も含めて情報を集めることができるなら、六人分の懸賞金をあなたにお譲りします」
こいつらはあくまで盗賊の被害を減らすのが目的である、ということらしい。
利点としては俺の手間を省きつつ、想定よりも多くの賞金を得ることができる。そして街に行くまで同行数が多くなるので、魔物などに襲われる危険性も低くなる。
逆にデメリットだが、考える限りそれらしいものはあまりないと言える。俺が戦う頻度も下がると考えればこれもプラスと言える。
「……オーケー、交渉を受け入れよう」
「あ、ありがとうございます!」
「よかったわねライド!」
「ああ。これで少しでも被害が減るなら嬉しいよ。早速馬車を連れてこよう」
「でしたら私は彼らを読んでまいります。セルーナさんは私と来ていただけます? 道中危険がないとも限りませんので」
「よーし。すぐに帰ってくるからみんな待っててね!」
そういって二人の少女は自分達の馬車を連れてくるために俺がきた方とは逆の方向へと駆けていった。先ほどから何とも勝ち気な少女だったが、こうしてみるとただの元気っ子に見えるのだから年代の差というのを感じてします。
「お前ああいうのどう思う?」
「…生憎、静かな女性が好みでして」
「分かるわ」
御者の奴はなんかそんな感じがする、暖炉の前で一緒にお茶とか飲んでる姿が簡単に想像できるわ。
俺は……俺もそうかな。あんましぐいぐい来られるのはちょっとどうかと思う。お兄さん女の子には慎ましさを求めちゃう年頃。
「あ、あの……」
「ん?」
隣にいた御者とたわいもない話をしていると、最初に出てきた魔法使いの少女がこちらに話しかけてきた。
おずおずとした態度の彼女、確か名前は……。
「マールだったか」
「は、はい! マールっていいます! あの、話を聞き入れてもらってありがとうございました」
「別に、無償ってわけじゃないからな。利益を差し出してきた相手との交渉で駄々捏ねるほど、妥当じゃねぇことはないからな」
こちらにしても確かに悪い話ではなかった。ただそれだけのことだ。
「はい。それでも、ありがとうございます。私たち、その……成人したばかりで冒険者にもなったばかりなんです。経験も薄くって下に見られることばかりで……」
手に持った杖を抱えて俯く彼女は、これまでよい経験をしてこなかったようだった。経験の薄い若年層を軽視する風潮はどこにでもあり、冒険者業界でも極一般的と言えるだろう。
危険な世界にわざわざ飛び込んでいくのなら、この程度で落ち込むようではこの先やっていけないだろう。
まあ、俺がとやかく言うことではないが……。
「でも行動してるじゃないか」
「え?」
俺の言葉に驚いたように顔をあげるマール。その小さな魔法使いに向けて、俺は言葉を続ける。
「お前さんはその下に見てくるような冒険者たち、ひいては街の人たちのためにこうして行動している。例えそれがどんな理由があっての行動だろうと、誰かのために行動できるのなら、それは胸を張っていいんだよ」
「胸を、張って……?」
「ああ」
俺は人生の先輩として、少しばかりの助言をしてやることにした。
自信がないというのなら、その自信の根拠になるものを提示しよう。
「いいか? どんな大人だろうとな、始めはガキだったんだよ。その成長の過程で学んだことの結果がそいつを形作るんだよ。誰だってそうだったのに、みんなそれを忘れるのさ。それでもバカにするような奴らには、心の中でこう言いな。『お前のガキの頃よりマシ』だってな」
これからもっと多くの苦難に会うであろう後輩に向けて、俺はせめてもの心構えを教えた。
「まあ、気にするなってことさ。若いお前らを僻んでるだけなんだからな」
「そ、そうなんですか?」
「大人ってのは結構そういうこと気にしてるもんなんだぜ? だから年上にはおばさんやおじさんって言っちゃだめだぞ」
「ぷふっ……じゃ、じゃあ?」
「たっぷりと気を使ってやれ。おねぇさんとかお兄さんとか、喜ぶと思うぞ?」
おどけた様な俺の言い方が面白かったのか、暗かった雰囲気を吹き飛ばすような明るい声でクスクスと笑っている。
そんなマールのことが気になったのか、盗賊たちから情報を聞き出そうとしていたライドもこちらの方へと混ざってきた。
そして俺たちは年代の違いによって起こる愚痴とか悩みなんかを言い合った。
それはセルーナたちが馬車を連れてくるまで続き、彼女たちは俺とライドたちがわいわい話をしているのを見て少し驚いているようだった。
まあ、何はともあれ準備はできたのだ。早速運び込むことにしよう。
俺たちは残りの盗賊たちをその大きな荷台を持つ馬車へと押し込み、目的の街へと出発することになった。
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