↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リーズ・ナブルは此れにて御免 ~元軍人付与士は冒険者として成り上がる~  作者: アゲインスト
ダボンナ王国独立編 ~リーズ・ナブルの人理《ひとり》立ち~
27/123

親の心子知らず、しかし子の成長は親の知らないところで

お昼の合間に二十七話、投稿。

地獄の月曜日だべ、ヒャッハー↓


親子の話、決着


そんなお話でございます。

評価、ブクマもよろしく。

 姉と友が話をしていたとき、子と親もまた、同じような内容の話をし、一息ついていたところだった。

 終わったわけではない。

 真実を知ったところで、これまでが変わるわけではない。行き違いによるお互いの齟齬を認識したはいいが、だからといってすぐさまに仲良くなれるわけではないというわけだ。

 だからこそ、言葉を尽くして想いを交わさなければならないのだ。

 

 

 

 

 

 

「……」

「……」

 

 まずは二人とも、沈黙した。

 リティアは父の言葉を噛み締めていて。

 ダグラスは娘の言葉を待って。

 

 ダグラスは全てを話した。

 自分の心を、子供の届いていなかった本心も全て。

 

 リティアは考えていた。

 友の言葉と父の言葉。それによって、確かめたかった愛の形を。

 

 

 

 

 

 

「…プリシアとの確執も、全ては私のせいだ。そのために今まで、お前たち姉妹には辛い思いをさせてきた。これでは、無き妻ルチアに顔向けできん。そのことをずっと、後悔してきた。

 ……お前が感じてきたであろう私との壁も、お前に母の面影を残してやれなかったことに対して私が勝手に落ち込んでいただけだ。

 本当に、すまなかった」

 

 ダグラスは貴族としての姿などかなぐり捨てて、娘に向けて頭を下げた。

 

「お前が騎士の道を行くのならと、それで本当のことを話しても大丈夫なぐらい、強い心を身に付けてくれるのならと。そう期待していたことも私の勝手な……お前に対する、甘えだった」

 

 赤裸々に、自分の弱さであったところを晒していく。

 

「今回のことでもそうだ。私がいくべきだった、私がお前の代わりに動くべき事態であった。国の防衛など、お前に比べればどうとでもなることだった」

 

 いや、それはまずいぞ。

 

「挙げ句の果てには死ぬかもしれなかった。守ると誓ったはずのお前が手の届かないところでそんなことになっているにも関わらず、私はできることをしなかった。

 何かが欠けていれば、お前が死んでしまっていたかもしれない。私は父親失格だ、妻との約束も守れず、娘の命も守れなかったかもしれん男が父を名乗るなど……」

 

 ダグラスは、覚悟していた。

 娘が自分の元を離れてしまう、そんな選択を取るかもしれないことを。

 真実を知り、今までの自分の不甲斐ない行いに愛想を尽かせて家から出ていってしまっても、しょうがないことだと。

 

「リティア。私はお前に確かな愛を示せてこなかった。だがそれはお前に問題があったわけではない。悪いのは私だ、私がお前を孤独にしたのだ」

 

 だが。

 

「―――愛している。それだけは事実なのだ」

 

 ダグラスは顔を上げた。

 心の底からのことを伝えた今、まっすぐと娘の顔を見なければならない。

 その思いに従って娘の姿を瞳に映した彼は、娘のその様子に驚愕した。

 

「リティア…」

 

 泣いていた。

 こんな娘の姿を見ることになるとは思っていなかった。

 怒ると思っていたのだ。怒鳴り散らして当たり散らして、そうやってくると思ったのに。

 

「何故、泣くのだ…」

 

 そう思っていたのに。

 何故、そんなに嬉しそうに泣くのだ。

 

 

 

 

 

 

「…やっと、言ってくれた」

 

 真実を知り。

 父の思いを知った。

 今まで語られることがなかった本当のことを、ようやく話してくれたのだ。

 認めてくれたのだと、心の底から信じられる。

 

「ずっと、その言葉を言ってほしかった。それだけが、私のほしいものだった」

 

 でも、それだけじゃあ、ああそうなのか、寂しいなリーズ。

 

「私もです。私も愛しています。今までずっと言いたかった、でもそれが否定されるとずっと思っていたから、私は頑張らなきゃいけないんだと、そう思っていました」

 

 でもそうじゃなかった。

 本当は、私はこんなにも愛されていたのに。

 

「こんな事態にならなければ、お互いのことを言葉にできない時点で、私たちは似た者同士でしたね…」

 

 そして私は驚いたような顔をしている父の手を両手で包んだ。

 

「似た者同士、か」

「ええ、私たち、親子ですから」

 

 一方通行は、もう止めよう。

 そんなことをしていては、この一歩を進ませてくれたお前の応援が意味の無かったことになってしまうからな。

 

「姉様にも、謝らないといけません」

「…そうだな。今ごろ客人の相手をしていよう。お前を救ってもらった礼もせねばなるまい。共に行かぬか?」

「勿論です」

 

 

 

 長い時間の果てに、食い違っていた二人はこうして歩みを共にすることができる未来を手に入れた。

 苦しみもあっただろう。悲しみもあっただろう。

 しかし、簡単にとはいかなくても、それでも彼女たちは手を取り合うことができたのだ。

 彼女たちは、不器用ながらでも、少しずつ親子になっていくのだ。

 

 

 そしてそれは、二人の間で繋がれた手が証明してくれている。

 これまで結ばれなかった二人の心が、通じ合った象徴として。

読了ありがとうございました。

感想など大募集しておりますのでよろしくお願いいたします。

評価、ブクマもよろしくね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=775143467&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。