リーズ・ナブルと教会
どうもアゲインストでございます。
教会へとたどり着いたリーズたち。
今回はそこでのお話。
それではどうぞ。
俺の提案と行動によりライドは戦うことを決め、改めて協力関係となった。
ダンジョンという異界へと挑まんとする彼らだったが、まずは全員の意思を統一するため、そして戦うための準備をするために一度活動の拠点となる教会へと移動することにした。
行動の指針を決めた俺たちはジュリウスからの謝礼と合わせ俺が壊したテーブル代金を含めたものをエイミーに渡し、そのまま店を後にする。
拠点までの道行きで街の地形を把握しておこうか、と考えて店を出た俺たちを待っていたのは予想外の人物。
シェルフィーの従者の一人、御者をしていたはずの女がまるで出迎えるかのようにして待っていた。
「お待ちしておりましたお嬢様。教会への手筈は整えておりますのでどうぞこちらへ」
「ヘレン、ご苦労様ですわ」
まるで店内の様子を伺っていたかのように、俺たちがシェルフィーに案内を頼むことは折り込み済みとでもいうように極々当然といった様子で話をしている。
「皆さんよろしいかしら、時間は待ってくれないのですから急ぎますわよ」
待ったをかけさせてもらえない性急さで用意されていた馬車に乗り込まされ、予定していた街の把握はほぼできなくなったものの、その分宣言した通りにあっという間に教会へとたどり着いた。
出迎えてくれた教会の人たちはシェルフィーを見た途端にぱぁ…! と顔が明るくなって司祭や見習いの立場に関わらず彼女にひざまづいている。
「ようこそ我らがサベクの教会へ! このような機会があるとは露にも思わず、準備が足りぬ次第ではございますがその分どうぞ御心のまま我らをお使いください」
「迷惑を掛けます、リドリム司祭様。本来であればこういった用件で教会を頼るのは特権をひけらかすようで好きではないのですが、事情が事情です」
「いいえそんなことお気になさらずに!」
「そうですぅ! 色々お話聞かせてくださいぃ!」
「『盾を持つ清者』の御高名はここまで響いております! 戦場で武力を用いずに両軍の衝突を納めた話など、正しく神の教えを体現する行いだと心の底から感動いたしました!」
「あれは周辺の村へ被害が出るほどの規模でした。まだ避難が終わっていない方々がいたために致し方なくしたことでしたわ。戦士たちの領分に異を唱えるにはああでもしなければ、私のような小娘の話など誰も聞きはしませんから」
口々にシェルフィーへと話し掛け、司祭たちは俺たちへの対応がおざなりになったままである。
棒立ちになったままの俺たち、どうにも話が終わるような気配がなくさてどうしたと思案していると、シェルフィーの従者たちが腰を折って側に寄ってくる。
「リーズ様」
「おう、終わりそうかあれ?」
「いえ、申し訳ありません。主はああなると長くなります故、先に皆様を部屋の方へと案内いたします。どうぞこちらへ」
やーれやれ、ホストが客をほっとくとは……まあいい。どうやらあっちは見た目以上に経験があるみたいだし、今はこの初心者集団にこれからの指針を教え込むのがいいだろう。
低姿勢のまま先導しだす従者に案内され、教会の中の施設へと足を踏み入れた。
教会という施設の特徴か、部屋の内装は質素ではあったが作り自体はしっかりとしている。少し狭いのが不満と言えば不満だが、気にするほどのことじゃあない。
一人一部屋も融通してもらえているのもかなりの厚待遇である。
「よし、荷物を置いたら俺のとこに集まってくれ。早速ダンジョンに攻略について、各自のできることを確認しながら予定を擦り合わせていこう」
「はい! それじゃすぐに行きますんで待っていてください!」
「おう」
少女二人を連れだって自分たちの部屋へと引っ込んでいったライド。
俺も自分の部屋へと入り、ベッドに座り込んでようやく一息つくことができた。
「……っう!? やっぱり無茶をし過ぎたか?」
その途端、左腕を中止に体中へ痛みが走る。
ユリアナとの手合わせとも言えない戦いは、体の治癒が十分とは言えない俺の体にダメージを与えていた。
特に最後の肘打ち。あの一撃……受け止めたはいいものの防御を突き抜けて内蔵に衝撃がくるほどの威力であった。そのせいで若干制御の緩くなったキリンの魔力が暴れそうになったのを無理矢理押さえ込んでいた。その反動がきている。
「……」
だが、それよりも俺の思考していたのは「星の歩み」の面々のことだ。
強敵に挑むということを理解して、それでも怯むことなくいる。それについていく少女たちもまた怯えた様子はない。
ダンジョンは危険の巣窟のようなものだ。どれほど気を付けていようと傷を負う以上のことが起こる可能性はある。
あいつらがそれに考えが及ばないということはないだろう。
つまり、それ危険性を考慮してもダンジョン攻略を成し遂げることに意味を見いだしている、ということだ。
この街のためになりたい、というだけでそこまでできるのか?
何か特別な理由があるのかもしれない。それを知らないままで挑むべきではないという考えは、外から俺の名を呼ぶ声が遮る。
どうやらライドたちが言葉通りに手早く荷物を置いてきたようだった。
顔色を直して何でもないというような表情で彼らを部屋に招き入れるのだった。
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