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23 マスターの白髪事情

 コノハは場の雰囲気を変えるように言った。

 

 「あ、そうそうマスター」

 「なんだよ?」

 

 ニヤリ、とコノハは笑い。

 

 「白髪、増えてきてるね」

 「……………人の気になるところさらっと言うなよ…………」

 「うん、知ってる」

 「………………」

 

 マスターはそっと頭を抱えた。

 わりといいコンビなのだ。

 マスターの心をバッサリ切って、マジックボックスからあるものを取り出す。

 それは普通サイズのボトルで中には怪しげな緑色の液体が入っている。

 コノハはそれを1本出した。

 

 正直マスターには怪しげな薬にしか見えない。

 

 「……………なんだ、それ?」

 

 マスターは恐る恐るコノハに聞いた。

 もしそれが本当に薬であったのなら全力で拒否しなければ。

 何故ならば。

 マスターでもこんな薬見たことがない。

 ということは、………コノハの作の薬。

 

 (あんなもん飲まされたら生きてかえって来れんのか………?)

 

 コノハの薬の恐ろしさはギルドでは有名な話で(コノハ作の)薬は(ギルド内下手するとAランクの魔物より)恐ろしさレベル5に指定されている。

 尚、レベルは5がMAXである。

 マスターがある冒険者(11話参照)の話を聞いて即設定した。

 死人が出かねないと半ば本気で思ったので。

 

 とにかく、コノハから渡される薬は絶対に口にしない。

 その辺の毒よりヤバい。


 この町のギルドの常識となりつつあった。

 本人は全く知らないが。

 

 そして、コノハからの返答は、

 

 「マスター用の白髪染め」

 (よ、良かった…………)

 

 マスターは心の底から安堵した。

 だが。

 

 「白髪染め?俺用の?」

 (白髪染めって薬扱いじゃないか?)


 安心できなかった。

 

 「マスター用。今回は完成品だよ~」

 

 コノハなりの日頃の感謝の気持ちである。

 

 「今回はってなあ、普通完成品しか持ってこねぇよ」

 

 コノハはマスターに今まで色々なものを渡していたがそのほとんどが完成(仮)品で、マスターは実験として使われたことが多々ある。

 まぁ、コノハは基本失敗しないので問題はないが。

 その事実をつい最近(竜が来る前)聞いたマスターはかなり冷や汗をかいたらしい。

 そのマスターの不満を「だってマスターだし!」という謎の信頼でごまかす。

 あ、コノハは言って、


 「ちなみにこれは薬扱いしないでね、魔道具だから」

 「…………本当に?」

 「本当に。効果は魔法を使ってるから」

 

 緑色の液体を髪につけることで髪の繊維に干渉し、芯から色を染める。

 魔法で干渉しているため、髪の色素も同時に修復しその効果でしばらく染めなくても持つ。

 しばらくとはおよそ3年(・・)だ。


 ……基本良いものでも持って1ヶ月である。


 また、髪が痛まないように魔法を自動的にかけるように設定してある。


 ちなみにマスターの髪が緑なので白髪染めが緑色なだけであって(どく)など入っていない。


 この世界で一番性能がいい(チートな)白髪染めである。


 「薬じゃないから、魔道具だから」

 「……………(怖すぎる………)」


 コノハの言葉を(前科がありすぎて)信用出来ないマスターだった。

 

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