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22 腹黒国王の思惑[国サイド]

 一方、その頃、王都の王城では。

 

 王室で国王は大量の書類を片付けながらある報告を待っていた。

 

 そのうちコンコンッ、とノックがする。

 入って来たのは、側近だ。

 彼は国王と幼なじみであり、今では国を支える一人である。

 

 「陛下、今日の報告です」

 「おぉ、待っておったぞ」

 「………今日のはすごいぞ」

 「ん!?そうかそうか、早速見せてくれ」

 

 側近は公私を分けるタイプなので、人がいない時には口調が砕ける。

 国王は苦笑いの側近から持っていた報告書を受けとる。

 これはある町のある少女を見張っている兵士からの報告をまとめた物だ。

 ある少女―コノハの行動である。

 だが、そもそもコノハは監視の兵士に気づいているため、兵士に尾行されて気づかない訳がないし、それ以前に外出時を悟られないようにする。

 だから、多少の申し訳ない程度の事しか書かれていないことが大半である。

 まぁ、町の人の反応でどこにいるかは分かるが。

 

 これでいいのか、という話だが、国王も面白半分でやっていることで本気ではない。

 というか、国王が本気を出せば、王城に客として招待(という名の城に軟禁)する事は可能である。

 

 国王はコノハを国にとっての戦力程度しか考えておらず、『記憶力』の能力持ちとか、年のわりに優秀すぎることとか軽くしか見ていなかったのである。

 

 だから今日のように分厚いのは始めてだ。

 国王は早速報告書を読み始める。

 

 静寂が流れる。

 

 しばらくして国王が何の前触れもなく

 

 「ははははは!!!!」

 

 と笑い始めた。

 

 側近以外の他の人が見れば怖すぎる光景である。

 だか、側近は「そーなると思った」と驚きもせずに言い切った。

 この国王とやっていくにはこの程度で驚いてはいられない。

 というか、幼なじみであるため既に慣れてしまったのだ。

 

 「攫った方が……返り討ちって……はははは!!!」

 「うるせぇ」

 「だかな……はは、こんなに面白いこと…なかなかないではないか…あぁ、お腹痛い……」

 

 側近は笑い続けている国王に溜め息を吐いた。

 

 この国王、貴族の間では“腹黒”と言われているが、実際は腹黒の“は”の字もない。

 ただ、面白いことを求める自由人なのだ。

 

 しかし、「それでは国王の威厳がない」というよくわからない理由で側近と二人っきりの時しか出さず、表ではちゃんと「国王」をしている。

 もともと、政治の才能もあったので。


 ちなみに“腹黒”と呼ばれる原因は面白さを求める故に貴族に色々命令しているからである。


 ……黒い笑顔をしているからかもしれないが。

 

 また、コノハと会ったときは彼女の殺気に当てられさすがにのんきにしてられなかっただけである。

 なんだかんだで真面目に国を思う(ちょっと、いや大分おかしい)国王なのだ。


 

 余談だが。

 側近はこの姿を年がら年中見ているためこの国王がこの国を本当に動かしているのか半分くらい信じていない。

 自分で補佐しているのだが。

 

 (ほんっとこいつ、何なんだろう……)

 

 この疑問(国王の性格について)は側近の長年の最大の謎である。

 


あれ?


国王の性格こんなことにするつもりなかったのになぁ……………



あるぇ???おっかしいなぁ?


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