21 面倒事はマスターに押し付けよう!
「……どーしてこうなったぁ……」
「お前が目立つことしたからだろ」
「…………こーなるなんて誰も思わないよ……」
「だからってギルドに居着くのはやめろ」
コノハは家にいることもせず、ギルドに来ていた。
家は町の人が彼女に会おうと、たくさん押しかけ、「コノハ様、万歳!!!」的なことを叫んでいて、とてもじゃないがゆっくり出来ないので。
よってコノハはこの町のギルドマスターの元に避難していた。
マスターは40代の白髪が増えてきたのが気になってきた、がっしりとした体つきの男。
元冒険者で、Aランクだったらしい。
面倒見がいい、イイ人である。
コノハは『面倒見がいい』ということもあってマスターの事はそれなりに信用していた。
「私の平穏を奪うつもりっ!」
「だったら俺の平穏を返せ、お前、邪魔」
「くっ…(正論過ぎる……)、じゃあ、あれ見てみなよ、私、人に恐怖を感じたよ!」
「知るか。て言うかお前いろいろもらってたじゃねえかよ」
「………ふ、不可抗力だもんっ!」
「どうだか」
コノハは一回普通に家を出たのだが、人が多すぎて、前に進めず、彼女にいろいろな物を皆渡そうとするのでとりあえず大量の贈り物を持って、家に戻るしかなかった。
不可抗力である(多分)。
いつも通り、普通に家を出るのは無理だと判断したコノハは裏の二階の窓から気配を消し、空気を魔法で操作し飛びながら、ここまでやって来たのだ。
よって、ここにコノハがいるとはマスター以外知らないだろう。
(何も外から聞こえないというのはすごくいいことだぁ)
コノハはギルドの必要性を改めて感じた。
………まぁ、主にマスターの部屋、だが。
「て言うか、今のお前の事件の後処理俺がやってるんだからな、手伝え」
「やだ」
コノハは即答した。
「………………」
事件とはあの奴隷売買のことだ。
なんだかんだでマスターとコノハの付き合いは長い。
だから、マスターはコノハが面倒事が大嫌いというのは知っている。
よって、その面倒事は全て、ギルドの責任者であるマスターに押し付けられるのだ。
そしてコノハはどれだけいっても後処理はしない。
絶対にしない。
マスターはコノハに権限を使ってやらしてもいいのだが、面倒見のいいマスターは自分でやってしまう。
マスターはお人好しなのだ。
ちなみにコノハは困った時にもマスターに押し付けるため、マスターは多大な迷惑を被るのはいつものことだ。
今回もこの延長線上だとコノハは思っている。
「…………お前なあ、もっと大人を敬う方がいいぞ」
「だって、マスターだし!」
言い切った。
「…………………」
もうマスターは苦笑いするしかなかった。
次回、久しぶりの王様とーじょー!!




