20 待ち人、来たる!
コノハは自分がしたことに気付き、「ごめん」と言ってから次の行動を考える。
自分についている首輪については問題ない。
どうやらけっこう性能が甘いようで軽く魔法をかけたらすぐにとれると分かったからだ。
(後で取ろう)
すると放心状態だった少女が、
「一体、本当にあなた、何者?」
と、聞いてきた。だから。
「ん?唯の町娘。」
((((う、嘘だぁーーーーー!!!))))
その場にいる全員の思いがシンクロした。
そしてやっと、待ち人が。
「いいヤツが手に入ったんです」
「ほう、見せてもらおう」
やっと来た、と思い邪魔な首輪を簡単に外す。
みんなは震えているようでコノハの行動には気づいていなかった。
やって来たのは予想通りと言うべきか……、いかにも“悪人”という感じの男と羽振りの良さそうな太った男だった。
前者が組織のヤツで、後者が貴族かなんかだろう。
まぁ、あまり興味はないが。
コノハは二人が牢に入って来た時点で行動に移した。
とりあえず、悪人男に普通なら目に見えぬ速さで近づき、電気魔法(かなり威力弱め)をジャンプしたコノハは男の頭に叩き込む。
もう一人の男も反応する前に同じようにして昏倒させた。
次に収納魔法に避難させていたマジックボックスからロープを取り出し、男たちを縛る。
それをコノハは音一つ立てずにやってのけた。
それからコノハは、
「んー、じゃあ他のヤツらも捕まえてくるねー」
と緊張感なく言って、次の瞬間にはコノハはその場にいなかった。
「………………………え?」
コノハが出てからしばらく経った後。
かなり遅れて誰かが呆然と言った。
それからコノハが全員を捕まえるのに5分とかからなかった。
この事件により、国の兵士が動いた事で、大量のそういうことをしていたヤツらは捕まった。
尚、これをやったのが、『常識知らずの凄く強い少女』という噂が広まるのにそう時間はかからなかった。
そんな少女がコノハ以外にいるはずがなく。
バレるのと、コノハを感謝し崇める者の数を増やすのに拍車をかけたのは言うまでもなく。
また、あの国王陛下の耳にはもちろん届き。
よって、コノハが掲げていた『誰にも見つからずに買い物をしよう』というミッション(途中から買い物ではなくなったが)は失敗し、彼女の好感度を跳ね上げるという本人にとっては、
「なんでこうなった!!!」
と叫びたくなるような予想外の結果に終わった。




