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2 え、英雄?

 「ありがとう‼」

 

 「嬢ちゃん、お前は英雄だ!」

 

 「あはは~…どういたしまして?」

 

 次の日、炎竜をコノハが倒したことはすぐに広まり、街はお祭り騒ぎと化していた。

 その原因のコノハは顔を引きつらせていた。

 

 (うーん、何でこんな騒ぎに?)

 

 もちろん、炎竜が悪魔のように恐れられているのは知っていた。

 しかし彼女にとって炎竜は『やけに紅い空を飛ぶ翼のあるトカゲ』程度の認識しかしていなかったのだ。

 自分のしたことの意味を半分程度しかわかっていなかった。

 コノハは絡んでくる住民達をかわしつつ、

 

 (家に帰りたい…)

 

 と考えていた頃、何かやってくることに気づいた。

 今度は空からではなく、豪華な馬車が。

 やがてそれは彼女の目の前で止まり、誰かが降りてきた。

 王都の騎士達というのはすぐにわかった。

 その人達はどうやらコノハのことを知っているようでまっすぐ向かってくる。

 

 (…まさか…)

 

 王都の騎士っぽい人、このタイミング…。

 呑気な彼女でも導き出せる答えは一つ。

 

 (ちょ……来ないで欲しいなぁ…)

 

 思っていることとは裏腹にまっすぐやってくる彼らはコノハの前に立った。

 

 (えぇ~…)

 

 コノハはとりあえずぺこりと頭を下げる。

 

 「お前がコノハだな」

 

 王都の騎士(と思われる)が言う。コノハは腹をくくり、

 

 「はい」

 

 と言う。

 

 (お願いだから、これ以上言わないで~‼)

 

 平穏を望む彼女にとって良くないことだとわかった。だが、現実は残酷だ。

 

 「私はサンチェルド国国王の命できた。コノハ、君には一緒に城にきてもらおう」

 

 (やっぱりねぇ…)

 

 コノハは「わかりました」と返事をするしかなかった--。

 

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