17 犯罪者組織に(誘拐されて)潜入しよう
路地に入ったコノハの前にはいくつかの人影がある。
もちろん、コノハは気配で気づいていた。
「嬢ちゃん、こんな所で何やってるんだ?」
(話しかけられた!)
「あのねー、おかあさんにお使い頼まれたからその帰りだよー」
「そうか、そうか」
前から人が近づいてくる。
そして後ろからも。
前に注意を引きつけ、後ろから攫うのだろう。
そんな中、コノハは心の中で格闘していた。
(防衛反応が……条件反射で………抑えろ抑えろ……)
条件反射を必死に抑えていた。
そして、後ろから口を布か何かで覆われる。
コノハはバタバタと抵抗(形だけ)した。
だがどうやら眠り薬を嗅がされているようで意識がぼんやりしてきた。
どうせ売ることが目的だろうから、いきなり殺されることはないだろう。
なので、コノハは睡魔に身を任せることにした――――。
◇◆◇
次に目覚めた時、まず首に違和感。
手で触ってみる。どうやら奴隷用の首輪をつけられているようだ。
奴隷用の首輪には魔法がかかっており、主人に逆らうと耐えられないほどの痛みが襲う。
本で存在は知っていたが実物は初めて見る。
奴隷などほとんど見ないし。
すぐに解析してみたかったが、やっと今の自分の状況を思い出した。
(まぁ、奴隷用の牢獄だろうね)
ろうそくなどの明かりがなく、小さな窓からの月明かりがぼんやりと照らす程度だ。
見ることはできないが、気配的には自分の他に子どもが10人ほどいる。
全員が衰弱しているのが気配でわかる。
マスターが言っていた人数より少し少ない。おそらく売られてしまったのだろう。
(そっちは……マスターに任せよう)
コノハもそれほど暇じゃない。今回だってたまたまそれっぽいヤツと出会ったので、ついでに組織ごと潰そうと思っただけである。
…まぁ、マスターもそこまで暇じゃないと思うが。
(その方が楽だしねー)
コノハはそういう子である。
面倒と思ったことは全力で回避する。
面倒事に巻き込まれた場合は一番楽な方法を選択しどんな周り道もしない。
……その方法のほとんどはコノハ以外には絶対に出来ないので誰もしようとしないが。
ちなみに今回もそんな中の一つだ。
「あなたも………さらわれたの?」
そんな中、コノハに声をかけてきた少女がいた。
彼女はすぐに“その辺の町娘” の仮面を被ってその少女と話し始めた―――。




