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15 逃げる準備 その5 ミッション[誰にも気付かれずに買い物をしよう]

(ミッション!!)

 

 ミッションを冗談半分で始めたコノハ。

 どうなっても何も景品はでないが、気持ちの問題である。

 

 

 

 

 

 (おお~、けっこう活気が戻ってる。前以上かな?)

 

 いつもはもみくちゃにされているため町の様子など気にする余裕がなかった。

 すごく新鮮な気分だった。

 

 (よし、ばれてない。このままやることやろう)

 

 コノハは予定通り“ミッション”を始めた―――。

 

 

 

 

 ◇◆◇

 「ば、ばれずに終わった~」

 

 もう太陽は沈みかけている。

 家を出たのは真昼だったから、こんなに長い間ばれなかったら、ほかでもばれないだろう。

 買ったものは全てマジックボックスの中だ。

 

 それにコノハはばれないのが本当に嬉しくて予定にないものまで買ってしまった。

 魔道具の部品やらなんやら。

 凄く変な目で見られたが彼女のニコニコ笑顔でそれもすぐになくなった。

 彼女の笑顔は人を幸せにするのかもしれない。

 ……いや、人の“まとも”という神経を麻痺させるのかも………。

 深くは考えない。

 

 ちなみにお金の心配はない。

 そもそもコノハは冒険者として普通の大人の倍以上は稼いでいるし、臨時収入もあったので。

 『臨時収入』とは国王から竜討伐でもらった重い袋(アレ)だ。

 アレである。

 中身はやっぱりお金で「はっ!?どんだけ入れてるの!?あの腹黒王様っ!」と(非常識な収入の)コノハが心の中で絶叫するレベルでやばかった。

 具体的な金額はあえて言わない。

 ………しかし平民の家族が一生暮らせる額とだけ言っておく。

 

 「さて、帰るかなぁ~」

 

 やること終わったしねぇー、とコノハが思ってた時だった。

 

 「嬢ちゃん、おかあさんにお使い頼まれたのか?」

 

 真後ろから声を掛けられた。男の声だ。

 終わった感満載だったコノハは、その問いかけにワンテンポ遅れた。

 完全に気を抜いてた。

 

 「うん!」

 

 ごまかすために、くるりと子どもらしく振り返り、にっこり笑う。

 だが、内心心臓は激しく脈打ち、冷や汗ものだった。

 

 (終わったと思ってたぁー、焦ったっ!)

 

 そう、これは家に帰るまでミッションは続いているのだ!

 気を抜いてはだめと自分に言い聞かせる。

 

 「おかあさんにね、パン買ってきてって、お願いされたの!」

 「へぇ、偉いな」

 「ふふん、私、えらいの!」

 

 これはコノハと同年代くらいの子の話し方をまねしたためにこうなった。

 いつものようにしゃべっていればばれそうなので。

 今はコノハではなく、“その辺の町娘”なのだから。

 ………忘れがちだが、コノハは見た目は(・・・・)8歳なので。

 

 ふと、コノハは前髪の間から男を見た。


 彼女はそのとき「はぁ」とため息を吐きたくなった。

 

 だってその男の目は、コノハが見てきた犯罪者と同じ目をしていたから―――。

 

 (――最後に面倒なのがやって来たぁ!)

 

 コノハはその後の展開が予想できすぎてこの場から逃げ出したくなった。

 

ちなみにですが。

コノハは主人公あるあるの巻き込まれ体質です。


自分じゃなくて大体相手から面倒事を持ってきます(笑)


人と話せば、面倒事フラグが立つことが大半です(笑)

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