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RGB~時計の針が止まる日は~  作者: 夏のカカシ
第五章
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第99話 7つの影

 エスカよ、貴様は何処まで予見出来ていたのだ…


 コウエンの表情には、怒りが満ちていた。


 他に誰も居ない部屋の中。


 コウエンは一人、頭の中を整理していた。


 久し振りにわが家へ戻って来た主を、シュウキ達は出迎えた。


 もちろん、両手の事は伏せていた。理由は伝える必要が無いからだった。


 しかし、報告は受ける必要がある。


 部屋へ戻った後、シュウキに昨日までの主要な出来事を報告させた。


 が、その中に問題があった。


 ジンキが消されていた。


 しかも、ホウキのエンセキも一つ破壊されていた。


 念のためにと、ホウキの中に入れていたもう一方のエンセキが、こんなにも早く役に立つとは思いもしなかった。


 先日のエスカの件といい………


 人間ごときに何たる様だ。


 現状で、ミツキを増やす事は難しい。


 だが、ヒトツキを使って『生気』を集める事は出来る。


 それは、シュウキがアカツキを出せる事が分かったからだ。


 コウエンの口元が緩む。


 あの日。たった一度、術を唱える時に立ち合っただけで、よもや習得しているとは、正直驚かされた。


 人間同様ミツキの能力も個体により様々だという事か。


 シュウキをきつく叱りはしたが、あれは使える。


 コウエンは一度目を閉じ、そのまま思案する。


 暫く経った後、目を開けシュウキを呼ぶ。


「お呼びでしょうか」


 シュウキがそう尋ねると、


「うむ。シュウキよ、ミツキ全員にここへ集合するように伝えよ。今直ぐにだ」


「承知しました」


 理由を聞く事もなくシュウキは一礼し、直ぐさま部屋を後にした。


 そして、数分の内にシュウキとその他のミツキが集合した。


 その影は7つあった。


 もちろん、明かりが無いため顔は見えない。…人間には。


「集まったようだな。さて、周知の事とは思うが、同胞のジンキが人間によって消滅された。ジンキにはガクテイと共にエンセキの回収に当たっていたが、それも変更を余儀なくされてしまった」


「全くだ。人間ごときによ。やられるなんて、ジンキもヤキがまわったな」


「そうだな、ガクテイ。相方がいなくなって寂しいか?」


 そう聞かれたガクテイは、


「はっ。そんな事ある訳ないだろ。まぁ、…ジンキをやった奴は、ただじゃすまさねぇ」


「そうか。それは、頼もしい限りだ。だがそれは暫く我慢してもらうぞ」


「何だって!直ぐに行かせろよ!」


 納得出来ない様子で、ガクテイがそう叫ぶと、


「黙れ、ガクテイ。命令だ。それとも…私の命令が聞けないか?」


 と、コウエンは言い放った。


 その言葉はとても冷たく、殺気が込もっていた。


 部屋の空気が張りつめた事を感じたガクテイは、


「分かった。従う、従うよ。指示があるまで手出しはしねえ」


 と、慌てた様子でそう答えた。


「分かればよい。では、話しを戻そう。これから当面『エンセキ』の回収は、シンロウとホウキ。それと、シュウキとバコウで行う。よいな?」

 

 そう尋ねられた四名は、一様に頷く。


「ちょっ…」


 ガクテイは異を唱えようとしたが、


「よいな?」


 再びコウエンが、そうガクテイの方を見据えてそう尋ねると、彼は無言で頷いた。


「よし、ガクテイよ、心配するな。お前にも仕事はある。それとジャオツ、お前にもな。まあそれは、後程個別で伝える」


「珍しいことで。私にも仕事があるのですか?」


 ジャオツと呼ばれた影がそう答えると、


「そうだ」


 と、短くコウエンは言い続けて、


「話しは以上だ。一先ず、ジャオツだけ残り、後は解散せよ」


 そう告げられ、皆一礼し、部屋を後にしようとする中、


「コ、コウエン様」


「何だヨウボ?」


 ヨウボと呼ばれた影が、コウエンに近付き、


「お、俺は、何したらいいですか?」


 と、尋ねた。


「ヨウボ!お前の仕事は決まってるだろうが!」


 ガクテイが、声を荒げてそう言い放つと、


「よさぬか、ガクテイ」


「だってよ…」


「よいから下がれ。質問には私が答える」


 そう言われ、ガクテイは、渋々退室した。


「ヨウボよ。お主の仕事はいつも通り、皆の武器を整備せよ。あの仕事はお主以外に任せられぬ大事な仕事だ。よいか?」


 そう説明されたヨウボは、


「は、はい。分かりました」


「そうか」


「で、でも、コウエン様」


「何だ」


「そ、外で、あそびたいです」


「…そうか、いいだろう。だが、仕事はしっかりと頼むぞ、ヨウボ」


「は、はい。分かりました。あ、ありがとうございます」


 そう言うと、ヨウボはお辞儀をした後、部屋を出て行った。


『やれやれ…あれも個性か……』


 コウエンは言葉には出さず、ヨウボの後ろ姿を見つめながらそう思った。


『まあよい。それも含めて上手く使えるのはこの私だけだ。………エスカよ、貴様の思い通りになど私はならんぞ…………決して…………………』


 コウエンは一人、力強く頷くのだった。


 そして、部屋に残ったのはコウエンとジャオツだけとなった。

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