第97話 エスカの使い
「急ぎか?」
リョカさんがそう尋ねると、その子はコクリと頷いた。
肩に着くかつかないか位の髪の長さ。そして、容姿からすると女の子のようだ。見た目からすると、俺やトウジとさほど歳も変わらないような感じがする。
「そうか…しかし、残念だが、今、園長は取り込み中だ」
と、リョカさんがその子に伝えた。
取り込み中というほどの事でもないと、俺は思うのだが、ここで口を出すとまたややこしくなると思い、俺は黙っていた。
「知ってる」
そう口を開いたのはその子だった。
その子の周りにいた皆が一様に驚く。
「知ってるってどういう意味だ?何を知ってるっていうんだ?」
リョカさんが驚きながら、そう尋ねた。
「園長さんと、カイナさんが話している内容。それと…今、リョカさん達が話してたことも」
その答えに、さらに皆が目を丸くして驚いた。
「お前、なにも」
「リンドウ…です」
リョカさんの言葉を遮り、その子が答える。そして、こう続けた。
「私は、エスカの使いとしてここに来ました。きっと、リョカさんとハクさんならその意味が分かると思います」
「なんだと?…エスカさんの…エスカさんの使いだと?」
リョカさんは、驚きを隠せない様子でそう口にした。
『エスカさん?』
誰だろう?俺は首を傾げながら、トウジの方を向く。
しかし、彼も知らないのだろう。俺と同じ様に首を傾げた。
「ハク、どう思う?」
リョカさんがそう尋ねると、
「どうもこうも、調べようがないし、もし、彼女があの人と同じなら…この状況を把握しているとしても、不思議はないよね……それに、仮にここで嘘をつくとしても、あえてエスカさんの名前を出すことも無いと思うんだよね」
「まぁ、確かに…………それもそうだな」
二人が顔を見合わせる。
すると、リョカさんが何か思い出した様に口を開く。
「そうだ。思い出した。リンドウ、いいぞ、園長と話しても」
「どうしたのさ急に。今までダメだって言ってたのに」
ハクさんが驚いて目を丸くする。
「まぁ、まぁ。いいじゃないか。急ぎだろ?だったら、仕方ないさ」
「確かにそう言ってたけど…」
「ただし」
そう言うと、リョカさんはリンドウの方を見て、
「俺が言いたいこと分かってるんだろ?」
そう言われると、リンドウは一つ頷き、
「はい」
と答え、園長の方へ向かった。
「どういうこと?」
ハクさんがそう尋ねた。
「まぁ、見てりゃ分かるさ。あの子が本当の事を言ってるかどうかがな」
「本当の事を…ね。ああ、そう言う事ね」
ハクさんは、何かに気付き頷きながらそう言った。
「どういう事ですか?リョカさん」
二人だけが納得している様子だったので、たまらず俺はリョカさんにそう尋ねた。
「だから、見てれば分かるさ」
「そう言わずに教えて下さいよ。気になるじゃないですか、な。トウジ?」
そう問うと、トウジも頷き、
「そうだね、気になるね」
と、答えた。
「まぁ、黙って見てろって」
「いいじゃないですか、もったいぶらずに教えて下さいよ」
と、リョカさんに教えてもらおうと必死になっていると、
「何々?どうしたの?」
そう尋ねられたので、
「だから、あの子が何を……… 」
と、そこで言葉に詰まってしまった。
何故なら、そこには好奇心いっぱいの表情で、俺を見るカイナの姿があったから。
「彼女がどうしたの?」




