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RGB~時計の針が止まる日は~  作者: 夏のカカシ
第四章
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第80話 感嘆と悲愴

 『やっぱりすごいね、タイラさんは…』


 日中の訓練の後に、トウジが掛けてきた言葉を、俺は今、思い出していた。


 俺は、こんなに凄い人と毎日訓練をしていたのか。


 それに、やはりというか、リョカさんも…。


「二人共、やっぱり強いね」


 俺の隣にいた、トウジがそう呟いた。


「…だな」


 俺はそれ以上言わなかった。


 目の前では、先程からリョカさん達と、ジンキとホウキとの攻防が繰り広げられていた。


 どちらも、一対一で戦っているが、


「リョカさん達が押してるんですよね?園長」


 トウジがそう尋ねると、


「見ている限り…そのようだな」


 園長はそう返事をした。


 確かに、俺から見ても、リョカさん達が押してるようにみえた。


 先程のリョカさんとジンキのやり取りを聞く限り、リョカさん達と対峙しているのは、コウエンの仲間のようだ。


 つまりは、敵。


 しかし、俺が知っている敵は、ヒトツキだけだったのだが、


「あいつらは、何者なんですか?」


 気になって、俺は園長に尋ねた。


 どう見ても、俺達と同じ容姿をした人間にしか見えない。


 ヒトツキとは、明らかに違う。


 全く違う。


「以前、お前達に話をした、過去の話を覚えているか?」


「もちろんです」


 俺は頷き答えた。


「その時、『ヘイシ』という名前が出てきた事も、覚えているか?」


「…はい。忘れる訳がありません」


 その名前は、きっと俺以上にトウジにとって、忘れることが出来ないものだと思う。


「そうか…これは、私の推測だが、奴等は、そのヘイシと同じ部類にあると思う。つまり、ヒトツキとは比べ物にならない程強いミツキではないかな」


「あれが…そうなんですか?」


「あくまでも、私の推測だがな」


「それにしては…」


「そう…あまりにも、力がない。いや、リョカ達が強いのかもしれんが…どうも、腑に落ちん」


 園長は納得出来ない様子でそう話していた。


「ジンさんは、多分間違っていないと思いますよ」


 そう言ったのは、ハクさんだった。


 そして、こう続けた。


「話しの流れからして、彼らがコウエンの手下。ミツキであることは、間違いないはずです。ただ」


「ただ?」


 園長が尋ねる。


「違うとすれば、あのせいでしょう」


 ハクさんはそう言って、空を指差した。


 その先にあったのは、暗がりに浮かぶ月だった。


「彼らは、あのせいで本来の力が発揮出来ないのではないですかね」


「そうか…そういうことか」


 園長は、納得したように頷く。


「アカツキじゃないからってことですか?」


 トウジがそう尋ねると、ハクさんは、


「きっと、そうだと思うよ」


 と、答えた。


「じゃあ、リョカさん達、あいつらに勝てますよね?」


 俺がそうハクさんに尋ねると、


「それはまだ分からない。けど、あの様子なら大丈夫じゃないかな」


 何か含みを残したような返事が返って来た。


 アカツキも出ていないのだから、何も問題ないはずなのに。


 そもそも、アカツキが出る時は、色々な条件が揃うはずだ。


 あの時計が止まり、街灯、家屋の照明が消える…


 今日はそれがない。


 何も心配ないはずなのに。


 ハクさんは何を心配しているのだろう?


 俺は一人、首を傾げる。


 その時、


「クソ~~~ッ」


 辺りに怒声が響き渡った。


 その声を発したのは、ジンキだった。


「おいおい、どうした?急に叫んでなんかして?」


 剣の手を緩めることなく、リョカさんがそう尋ねる。


「この私が、貴様…人間ごときに、手間取るはずないのだ!」


「はぁ~…現実を見ろよ」


 ため息混じりにリョカさんが答える。


「まっ、もうすぐ終わるから、辛抱しろって」


「貴様ごときに、貴様ごときに~!」


 防戦一方のジンキは、そう何度も繰り返した。


 無言ではあるが、ホウキも同様の状況だった。


 しかし、次の瞬間、状況は一変する。


 それは、その場にいた皆が感じた。




 皆、一様に空を見た。


「おぉ、コウエン様…」


 ジンキは、感嘆の声をあげる。


「そんな、まさか…なんで」


 俺にはそれが理解出来なかった。


 あろうことか、月が赤く浸食され始めていたのだ。


 辺りに変化はない。


 いつも通りなのに…


 ただ月だけが、アカツキへと変化しようとしていた。


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