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RGB~時計の針が止まる日は~  作者: 夏のカカシ
第三章
65/211

第65話 告白

 勢いよく、園長の部屋を出たのはいいのだが…


「…トウジはどこだろう?」



 辺りに姿は見えなかった。


 この家の中なのか、外なのか、俺には見当も付かなかった。


 とりあえず、食堂を覗いてみる。


「…いないか」


 せっかくの良い知らせなのに、聞いて欲しいトウジがいない。


 良い知らせ…あいつにとってこれは良い知らせだと受け取るだろうか?


 少なくとも俺は、良い方に受け取った。


「トウジ…」


 小さく呟き、食堂の窓から外の様子をうかがう。


 見える範囲にトウジの姿はなかった。


「じゃあ中かな?」


 とりあえず俺は食堂を後にし、二階へ向かった。


 二階にあるのは、俺達の部屋。


 廊下を挟み、左右に同じ数だけ等間隔に扉が並んでいる。


 俺の部屋は左側の一番奥。


 そして、トウジの部屋はというと、俺の部屋の向かい側。


 つまり右側の一番奥にある。


 俺は、彼の部屋の前まで静かに歩を進めた。


 『ここにいてくれたら、助かるんだけどな…』


 俺は期待を込めて、彼の部屋の扉を二回ノックした。


 …………


 返事が無い。


 『やっぱり、いないのかな?』


 そう思いながらも、俺は、あえてもう一度扉をノックした。


 …………


 やはり返事は無かった。


 『でも…念のため』


 諦めきれない俺は、とりあえずトウジの部屋の中を覗いてみることにした。


「…トウジ…いないの…かぁ?」


 そう、小声で呟きながら、扉を開けた。


「あっ!いたっ!」


 トウジがいるとは思ってもいなかった俺は、驚きの余り声を上げてしまった。


 しかし、彼は何の反応も示さなかった。


 自分の机に顔を伏せて椅子に座っていた。


「いるなら返事してくれよ」


 そう言いながら、俺は部屋の中に入り、扉を閉めた。


「…」


 トウジからの返事はやはり無い。


 その状況を見て、俺は、ある事を思い出した。


 部屋の中で落ち込む俺…


 そして、そこへ入ってきたトウジ…


「今朝とは、逆だな…」


 あの時の事を思い出し、俺はそう呟いた。


 『今度は俺がトウジを…』


 と、思ってはみたものの、どう声を掛けようか……


 いい言葉が見つからない。


「あぁあぁ~。悪い、トウジ。お前みたいに、上手くなぐさめられる言葉が見付からないや」


 俺は諦めて開き直り、思っている事を言うことにした。


「とりあえず、さっきはごめん。お前に何も声を掛けてやれなくて…。それに、お前の父さんのこと…少し恨んでしまったこと…。声には出さなかったけどさ、…ごめんな」


 そう言って俺は一度トウジに向かって頭を下げた。


 もちろん、彼が見ていないことは分かっている。


 だが、謝っておかないと、俺の気が済まなかった。


「…いいよ」


「えっ!?」


 小さな声だったが、トウジから返事が返ってきた。


「…いいよ。しょうがないよ。恨まれても、憎まれても…しょうがないよ。…父さんは、そういうことをやってるんだから…ごめんね、アンジ。父さんのせいで、カイナも…」


 そう言いながら振り向いた彼の目には涙が溢れていた。


「やっぱり、トウジもそう思ってたんだよな。よかった、俺だけじゃなかったんだ」


 不謹慎かもしれないが俺は、トウジの返事を聞いてほっとした。


 そして、思わず声に出してしまった。


「…よかったって、何がだよ!」


 もちろん、それに対してトウジは、怒りをあらわにした。


「何がいいのさ?僕の父さんが皆を苦しめているのが、そんなに嬉しいの?…ひどいよアンジ」


「いっ、いや、そうじゃないんだ」


 俺は慌てて訂正した。


「じゃあ、何がいいのさ?」


 俺を見据えトウジが聞いてきた。


「…さっきも言ったけどさ、俺もお前の父さんのせいでこんなことになってるって思ってた。お前があの部屋を出て行くまではな」


「…じゃあ今は?」


「今は違うさ」


「どうして?」


 俺は、一息つき、


「悪いのはトウジの父さんじゃない。お前の父さんも被害者なんだ」


「…そんな訳ないじゃん…じゃあ、一体誰が悪いのさ?」


「…それはな」


「それは?」


「ヘイシってやつがお前の父さんの中に入れた『石』のせいさ!だから、トウジの父さんは悪くない!」


 それを聞いたトウジは、唖然としていた。


「だから、落ち込むなよ。…俺達でお前の父さん…助けに行こうぜ」


 そう言って俺はトウジに手を差し出した。

 

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