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RGB~時計の針が止まる日は~  作者: 夏のカカシ
第三章
62/211

第62話 会話

  入口の扉が閉まり、部屋で一人になった後も、コウエンはずっと考え込んでいた。


  もちろん、先程知り得た事についてだ。


  「十年…」


  彼は、誰に言うでなく、一言呟いた。


  十年…それは、ミツキが八人になるのに要した時間のことだった。


  側近として使えるミツキ。


 それが揃うのに十年費やした。


  シュウキではないが、幾度不出来なミツキを消したことか…


  思い起こしながら、コウエンは口元に笑みを浮かべた。


  今までのことを嘲笑うかのように現れたあの男…


  あのホウキという者の中には確かに幾つかの生気を感じた。


  しかし、その核となる所には、たった一つの生気しか存在していなかった。


  「たった一つ…たった一人分の生気でミツキが生まれようとはな…」


  しかし、そのたった一つが普通ではない、特別な物だということをコウエンは感じとっていた。


  たぶん、それは、シュウキ達には分からない。


 きっとコウエンにしか分からないだろう。


  だからこそ、先程は、口外しなかった。


  「あの街に居るのだな、シキの子達よ…」



  『シキ使い』…それは、我々の存在を消滅させることが出来るいまいましい力の持ち主達…



  つい先程までは、そう思っていた。


  だが、今は違う。


  奴らは、我々に必要な存在となったのだ。


  「奴らはまだ後、三人いたはず…」


  口元の笑みが大きくなっていく。


  「ミツキが生まれると同時に、シキ使いが消える…一石二鳥とは、正にこの事か」


  それに、先程ホウキに試した『あれ』も、問題無さそうだ。


  「今回は、大いに収穫あり…か。…それよりも、…先程からうるさいぞ。…シキの力に触れて、目が覚めたのか?…まあよい。いずれにせよ、もはや、お前が出てくる場所など、どこにも無い。既にお前の体は私の物だ…消えよ。そして、指をくわえて見ているが良い………誰にも邪魔はさせぬ。間もなくこの世は、私の物になる」


  目に見えない誰かにそう言った後、部屋中にコウエンの高笑いが響き渡った。


  一方、部屋の外には、青ざめた顔をしたシュウキの姿があった。


  扉の前から数歩進んだところで、立ち止まっていた。


  中の話を聞くためではない。


  コウエンとの会話を、彼は思い出していた。



  『まさか…あの出来事が知れていようとは…』



  彼は、改めてコウエンの力を思い知らされた様に感じていた。


  『だが…』


  「想定内だな…」


  そう呟いた時には、既にいつもの顔色へと戻っていた。


  「何か?」


  と、隣にいるホウキが、問い掛けた。


  「いや、なんでもありません。独り言ですから、気にしないで下さい」


  と、シュウキはいつもの口調で答えた。


  「そうですか」


  ホウキもそれに従う。


  その様子を見て、シュウキは、コウエンが彼に何かしたことを確信した。


  「コウエン様は、あなたに何をされたのですか?」


  「…?」


  ホウキは、不思議そうに首をかしげた。


  「いや、なんでもありません。忘れて下さい」


  本人が気付いているわけがないか…


  シュウキは、つまらない質問をしたことを後悔した。


  「では、参りましょうか」


  そう言って、どこかへ向かおうとした時、


  「おい、シュウキ。こんなところで何してる?」


  と、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。


  「これは、ガクテイ殿。実は、コウエン様に部屋に来るように言われて…今、話が終わったので出てきたところでございます」


「何?親父に?」


「左様で」


「ふん。そうか」


「それよりも、先程は、お疲れ様でございました」


  シュウキはそう言うと、彼に向かって一礼した。


 だが、ガクテイは、鼻を一つ鳴らすと、


  「なんだ?嫌みか?別に疲れてなんかいねぇよ。それに、お前みたいな手柄立ててねぇしな」


「いえ、別に嫌みを言っているつもりなど、毛頭無いのですが…そう聞こえてしまったのであれば、お詫び申し上げます」


 彼は、ガクテイに対し、再び頭を下げた。


「…気に入らねぇんだよ、その態度…」


  頭を下げているシュウキに向かってガクテイはそう呟き、ガクテイは何処かへと消えていった。


  「…気に入らないのは…お互い様ですよ」


  シュウキは小声でそう呟いた。


  「何ですか?」


  隣にいるホウキが、再び問い掛けた。


  「なんでもありません。では、我々も参りましょう」


  そう言って、


 シュウキは、ホウキを連れ立て、何処かへと消えていった。

 

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