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RGB~時計の針が止まる日は~  作者: 夏のカカシ
第三章
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第59話 覚悟

  「いや、だから、違うってば」


  ハクさんは、自分が魔法使いであることを、あくまで否定した。


  「でも…」


  俺が更に、続けようとすると、


  「いくら言っても無駄だぞ、アンジ。こいつは、それを認めないからな」


  やれやれという素振りで、リョカさんが言う。


  「俺も何度ハクにそう言った事か…」


  「だって、違うでしょ?」


  ハクさんは、やはり否定する。


  「なっ?いつもこうだ。だから、諦めろ。こいつは、医者でもない、魔法使いでもない。ただ『ある種の知識を持った人』だ」


  俺の肩を軽く二度叩きながら、リョカさんはそういった。


  「わ、分かりました」


  と、俺は、とりあえず頷いた。


  「でも、ハクさん?」


  「なんだい?トウジ」


  「ハクさんは、一体どうやって、その『知識』を得たのですか?それに、その石も」


  トウジの疑問は、俺も思っていたことだった。


 普通に暮らしていて、得られる物事ではないはずだ。


  「気になるかい?」


  「それは、もちろん」


  俺と、トウジは同時に頷いた。


  「アンジ、それに、トウジ」


  「はい」


  「いいかい?この世界にはまだ、君達が知らない事が、山のようにある。良いことも、悪いことも。そして、不思議なこともね。…僕が持っているのは、その中の一つに過ぎない。それに、僕よりすごい人達なんて、沢山いるんだよ。君達はそれを、自分達の目で確かめるんだ。いいね?」


  「…はい」


  と、俺は返事をしたものの、なんだか、うまく答えをはぐらかされたような気がした。


  すると、突然、


  「そうだ!」


  と、トウジが大きな声を出した。


  「どうした、トウジ?」


  驚いて俺が、尋ねると、


  「ハクさんの力で治してもらおうよ!」


  「何言ってるんだよ、今治してもらったじゃないか」


  「違うよアンジ。君じゃなくて…」


  そう言いながら、トウジは、上を指差した。


  『上…?』



  ………そうか!


  俺は、トウジの言う意味が理解出来た。


 ここには、俺以外にも、治療を必要としているやつがいたんだ。


  「ハクさん」


  「なんだい?」


  「実は…、ハクさんのその力で、治してもらいたいやつが、もう一人いるんです!」


  「もう一人?」


  「そうです、もう一人。…お願い出来ますか?」


  「ん~、どうしようかなぁ」


  「お願いします」


  そう言って俺は、頭を下げた。


 そして、隣ではトウジも。


  「別にいいさ、なぁ、ハク。一人も二人も変わらないだろ?」


  「簡単に言うね、リョカは」


  呆れ顔でハクさんは、そう言った後、


  「でも、いいよ。やって上げるよ」


  と言ってくれた。


  「あっ、ありがとうございます」


  頭を上げ、俺達は礼を言った。


  「で、どこにいるんだい?」


  「二階です」


  「二階?」


  「はい」


  「その人の名前は?…もしかして、…カイナのことかい?」


  「はい、そうです」


  俺がそう答えた時、ハクさん達の顔から笑顔が消えた。…いや、そもそも、


  「カイナのこと、知ってるんですか?」


  俺より先に、トウジが二人に質問する。


  「まぁ…な」


 と、リョカさんが答えた。


  「だったら、尚更、お願いします。彼女を、カイナを助けて下さい。ハクさん」


 俺達の、願いに対し、ハクさんは、首を横に振り、


  「すまない。残念だけど、僕には、今の彼女を助ける事は、出来ないんだ」


 その返答に、俺は、動揺した。


  「助ける事が…出来ない?何故ですか?俺は治してくれたじゃないですか!なのに…カイナは…」


  「ハクさん、理由を教えて下さい」


  トウジが、そう尋ねると、


  「理由…ね」


  ハクさんは、そういうと、ちらりとリョカさんの方を見た。


  それに対し、リョカさんは頷くと、ハクさんの替わりに口を開いた。


  「アンジ、お前はこれから俺達が話す事を受け入れる覚悟はあるか?」


  「覚悟、ですか?」


  「そうだ」


  答えるリョカさんに笑顔はない。


 とても冗談を言っている雰囲気ではなかった。


  俺は、暫く返事をしなかった。


 覚悟を決めなければ聞く事が出来ない答えとは、一体なんなのだろうか?


  胸の中に不安が広がる。


  「トウジ、お前はどうだ?」


  リョカさんは、同じ質問をトウジにもした。


  「…」


  彼も答えなかった。


  「…お前達、聞く気になったら、ジンさん…いや、お前達の、園長の部屋へ来るんだ。そこで、話してやる。…強制はしない。聞く勇気がなけりゃ、来なくていい。……行くぞ、ハク」


  リョカさんは、ハクさんを促し、席を立った。


  「…別に一人でもいいぞ。お前達」


  そう言い残し、二人は部屋から出て行った。

 

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