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RGB~時計の針が止まる日は~  作者: 夏のカカシ
第三章
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第58話 ハクの『力』

  「よし。もうこれで大丈夫だと思うよ」


 ハクさんにそう言われ、


  「あ、ありがとうございます」


  俺は頭を下げた後、両手を確認した。


  「すごい。ハクさん、すごいですね」


  と、俺の両拳を覗き込んだ後、トウジが歓喜の声を上げた。


  俺がハクさんに『治療』をしてもらったのは、両手合わせても十分程度だったはず。


  そう、たった十分で、俺の両手は元通りに戻っていた。


 どう見ても、傷一つ無い。


  「痛みはもう無いの?」


  興味津々にトウジが尋ねてきた。


  「…全く無い」


  どんなに手を動かしても、先程までの、あの痛みを全く感じない。


  俺は、リョカさんの顔を見た。


  「任せてよかっただろ?」


  口元に笑みを浮かべながら、リョカさんは俺にそう言った。


  「はい。ありがとうございます」


  俺は、再び二人に頭を下げた。


  「僕からも、お礼を言わせて下さい。ありがとうございました」


  トウジも二人に頭を下げた。


  「どういたしまして」


  ハクさんは、笑顔でそう答えてくれた。


  「でも、ハクさん。一体何をしたんですか?」


  俺は、改めて疑問を投げかけた。


  「決まってるじゃん。治療だよ。治療。だって、ハクさんは、お医者さんなんだから!」


  と、トウジが得意げに俺に自慢した。


 どうやら先程、リョカさんに耳打ちされていたのは、その事らしい。


  そして、ハクさんの方を向き、「ね、ハクさん」と、同意を求めていた。


  しかし、ハクさんは、ため息をついた後、リョカさんの顔を見て、


  「何て言ったのリョカ?」


  と、笑いをこらえている、彼に問い掛けた。


  「いや、別に…ただあいつは凄い『医者』だって教えてやっただけだ」




  「医者?誰が?」


  「お前だよ。お前」


  と、リョカさんと、ハクさんは、何やら変なやり取りをしていた。


  やがて、


  「全く、…何でそんな嘘をつく必要があるんだか…」


  そう言って、ハクさんは、俺達の方へ向き直り、


  「とりあえず、彼が言った事は気にしないで。僕は、医者じゃない。これが、本当」


  「えっ?リョカさん嘘ついたんですか?」


  トウジがまた驚いた様子で、リョカさんを見る。


  「いや、すまん。ちょっと…な」


  「ちょっとって…ひどいじゃないですか!」


  「悪かった。お前が、あんまり心配そうだったから、安心させようと思って、つい」


  「ついって…あんまりです」


  「いや、本当、悪かった。この通りだ」


  そう言って、リョカさんは、トウジに頭を下げた。


  「もういいですよ。リョカさん。とりあえず、俺の手は治してもらったんだし。な、トウジ?」


  「たしかにね。リョカさん、もういいです」


  「そりゃ、よかった」


  頭を上げ、リョカさんは、そう言った。


  「でも、何で俺の手は、治ったんですか?」


  俺は、どうしてもそこが気になった。


 ハクさんが医者じゃないとすれば、尚更だ。


  すると、リョカさんが再び口を開いた。


  「それはな、ハクが魔法を使えるからさ」


  「…リョカさん」


  「ふざけないで下さい。また、それ嘘でしょ?」


  「ハクさん何か、言って下さいよ」


  俺達が、半ば呆れ顔でそう言うと、


  「いや、…今度のは、あながち間違いじゃないんだよ。君達」


  「えっ?」


  思いもよらない返答に俺達は驚いた。


  「ハクさん、魔法使えるんですか?」


  魔法なんてものは、本の中でしか存在しない、架空のものだと思っていた。


 それが実際に存在しているなんて…


  俺達は、ハクさんの返答を待った。


  「とりあえず…僕は、魔法使い、じゃない。普通の人間だと、自分では思ってるよ」


  「?」


  俺達は、顔を見合わせ首を傾げた。


  魔法が使えるのに、魔法使いじゃない。


 俺達には、理解出来なかった。


  「君の怪我を治せたのは、これのおかげさ」


  ハクさんは、そう言って、両方の手首に着けている物を見せてくれた。


  それは、全て紫色で、大小様々な、石のようなものを繋げて出来ていた。


  「これにはね、不思議な力があるんだよ」


「その石にですか?」


「そう。この石にね。でも、これだけでもだめなんだよね」


「そうなんですか?」


「うん。この石の力を引き出す為には、ある知識が必要なんだ」


「知識ですか…。ハクさんは、それを持ってるって事ですか?」


「もちろんさ。知識だけでも、これだけでも、だめ。両方が揃ってるからこそ、君を治すことが出来たんだよ」


  「ハクさん…」


  「何?」


  「あなた、やっぱり、魔法使いです…」

 

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