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RGB~時計の針が止まる日は~  作者: 夏のカカシ
第二章
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第53話 葛藤

「お前達、誤解するんじゃないぞ。俺はシシカドを辞めるつもりは毛頭ない。あくまでも『隊長』を辞める、というだけだ」


  「隊長を辞めるだけって、何を急に言ってるんですか!?」


  「隊長、それは元々決まっていたことなのですか?」


  訳の分からないタイラの発言に隊員達は混乱していた。


 それに対しタイラは、


  「元々ではない。これは俺がついさっき決めた事だ」


 と、答えた。


  「ついさっきって、…それじゃあ、隊長はシュウを助ける気が無いのですか?」


  「まさか…全てあの人に任せるつもりですか?」


  「答えて下さい隊長!」


  隊員達は口々に質問した。


  「俺は、全てをリョカに任せるつもりは『無い』」


  「だったら何故ですか?何故、隊長を辞めると言われるのですか!」


  カイが強い口調でタイラに問い掛けた。


  「俺が弱いからだ」


  タイラは冷静にそう答えた。


  隊長が弱い?隊員達は顔を見合わせ、


  「誰がですか?」


  と、聞き返した。


  それに対して、タイラはため息を一つついた後、


  「だから、『俺が』だ。俺は、弱い。本人が言うのだから間違いないだろ?」


  「そんなっ、そんなことありません。現に、ここにいる私達は誰一人として、あなたに敵わないのですよ?」


  そうカイが言うと、残りの二人も頷く。


  「確かに、俺は、お前達よりも少し強いな。だが、その程度の強さで倒せるのはヒトツキぐらいだ。…その程度の強さしか、俺は持っていない。分かるか?今の俺に、シュウキを倒す強さはない。それに引き換えリョカはどうだ?あいつは…強い。俺とは比べ物にならない程にな。あいつよりも弱い俺が、隊長であって良いはずがないのだ…」


  タイラの心情を彼らも理解した。が、


  「しかし、隊長。彼はあくまで部外者ですよ?そこまで気になさらなくても、良いのではないですか?」


  「そうですよ。隊長、考え直して下さい」


  カイとリュウが説得する。


  「確かにそうかもしれない。だが、もう決めた事だ」


  タイラの決意は揺るがなかった。


  そして、


「これだけはお前達に約束する。俺は、必ず今より強くなってみせる。そして、いつか俺がシュウを救う。必ず。その時俺は、隊長ではないだろう。が、共に戦ってくれるか?」


 彼が言うと、隊員達は勢いよく


  「もちろんです!」


  と、返事をした。


  「私達も、強くなります。あなたに追いつけるように」


  カイは、そう付け加えた。


  「互いに一層精進しよう。だが、俺はお前達に負けるつもりなどないがな」


  タイラが笑顔でそういうと、皆の顔もほころんだ。


  「当然です。隊長は、常に私達の先を行ってもらわないと、困ります」


  リュウがそういうと、


「困ります、と言われてもな。努力はしよう」


  タイラは苦笑いを浮かべながら、そう答えた。


  その時、突然イスミは真顔になり、刀を抜く。


 そして、刃先をタイラに向け、


  「お願いがあります、隊長」


  と、口を開いた。


  「なんだ?イスミ」


  タイラも真顔で尋ねる。


  「私も、剣の腕を磨きます。強くなります。約束します。…その時は、隊長、私と仕合って頂けますか?」


  「仕合か…」


  「はい」


  イスミの決意も相当なものだ、と感じたタイラは、


  おもむろに、鞘から『オウノト』を抜き、その刃先を、イスミの方へ向け、


  「いいだろう。時が来れば、いずれな、イスミ」


  「ありがとうございます」


  そう礼を言いながら、イスミは刀を鞘へ戻した。


  一方、タイラはそのまま自分の刀を眺めていた。


  『これで、見納めか…』


  彼は、隊員達に黙っている事がまだあった。


  それは…


  「隊長?」


  不思議に思ったカイが、声を掛ける。


  「ああ、すまない」


  我に帰ったタイラは、刀を腰にさした鞘へ戻し、


  「よし、戻るぞ」


  と、皆に声を掛け、公園を後にしようとした。


 ところが、


  「隊長!」


  リュウが再びタイラを呼ぶ。


  「どうした。リュウ」


  タイラは振り返り、彼の方を見た。


 しかし、彼は、タイラの方を見ていない。


  シュウキの方を見ている。


  「あそこに、別の人影が…」


  そう言いながら、シュウキの方を指差す。


  「なっ、なんだと!?」


  タイラも、他の隊員達も一斉にそちらへ目をやる。


  「本当だ…」


  イスミが呟く。


  確かに、そこにはシュウキとは別に、もう一つ人影が増えていた。


  『人影…。一体どこから現れた?いや、そもそもあれは、人なのか?』


  タイラの中にまた疑問が湧き上がってきた。

 

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