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RGB~時計の針が止まる日は~  作者: 夏のカカシ
第二章
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第48話 見守る視線

  顔を持たないその化け物は、ひたすら何処かへ向かって歩き続けていた。


  その化け物は言わずと知れたヒトツキである。


  その足取りは早まることもなく、かといって遅くなる訳でもなく、ただ淡々と一定の速さで進んでいた。


  途中それは、別のヒトツキと出会った。


 だからといってそれは、歩みを止めることもなかった。


 別のそれも同様だった。


 お互いの事を意識することもなく、ただただ何処かへ向かって歩き続けていた。


  その様子を背後から伺っている人影があった。


 もちろんそれはタイラ達に他ならなかった。


 彼らは静かにその動向を見守っていた。


  しかし、その時彼らは気付いていなかった。


  彼らの他にもヒトツキ達の動向を見守っている人影があることに。


  気付かないのも無理もない。


 その人影はタイラ達よりも遠く離れた場所にいたのだから。


 逆に、その人影もタイラ達には気付いていなかった。


  その人影こそ、タイラが言う『回収者』であり、ヒトツキ達が向かう先である。


 そして、いつもと集まる場所が違うのも仕方がない。


 何故ならその『回収者』は、初めて回収に訪れていたのだから。


 そう、つまりその『回収者』はシュウキだった。


  彼は、木々の中で一際高い木の上からその様子を伺っていた。


  彼がそこにいるのにも理由があった。


  それは、ここに来る道中のこと……




  初めて回収へ向かうシュウキは、度々回収へ赴いているガクテイ、ジンキと共にいた。


  無論、シュウキは回収方法を確認した。


 そして、もちろん回収場所も。


  「シュウキ、お前はあの街で回収しろ。あの時計台…分かり易いだろ?初めてのお前にはうってつけだ。あの上からやればいい」


  ガクテイにそういわれたシュウキは素直に頷いた。


  「分かりました。しかし、邪魔は入らないのですか?」


  「邪魔?まあ、若干な。武器を持った人間共が刃向かってくるが、大した事はない。ヒトツキが数体やられる程度だ。気にするな」


  「数体…ですか」


  「そうだ気にすることない」


  「まあ、気になるなら、他の場所でやるんだな。どの道、ヒトツキ達はお前の所へ向かって来るからな。とにかく、そこは任せたぞ、シュウキ」


  そう言い残すと、ガクテイ達は別の街へと向かっていった。


  その姿を彼は見送る。


  『何処でもいいのか…』


  ならば、むざむざヒトツキを人間にくれてやる必要もないではないか。


 それに…


  そう考えたシュウキは、敢えていつもと違う場所を選ぶことにした。


 彼は辺りを見渡した。


  「…あそこでいい」


  そして彼は今、その目的の場所にいた。


  静かで辺りに明かりもない。


 街外れのこの場所…最適だ。


  が、彼は知らない。


 偶然にも、そこはこのアカツキが始まる前にアンジ達が待ち合わせをしていた、あの公園だったことを。


  木の上に立ったシュウキはその後、ガクテイに教えられた呪文を唱え、静かに時が過ぎるのを待った…




  そして今、この木の下には既に十数体のヒトツキがいた。


  更に、それ以外にも街中に点在していたヒトツキ達がこちらへ向かって来ている。


 シュウキにはその様子が見てとれた。


  「もう少しか…」


  シュウキが呟いたそれは、もちろんヒトツキがここに集まるまでの時間の事に他ならない。


 しかし、それは回収するための時間ではなかった。


  もう一つの彼の目的。


  それはガクテイ達も知らない。


『兄弟』の誕生の瞬間を目にすることだった。


 その為に彼は今日、この場にいる。


  しかし、それには二十体以上のヒトツキが必要だ、とコウエンに教えられていた。


 その数まで後数体…


  その時を彼は静かに待っていた。


  公園の中にまた五体ほど入って来た。


 徐々に彼の元へ近づいてくる。


 しかし、彼はまだ動かなかった。


  「…あれか」


  彼は何かを見つけ呟く。


  視線の先は公園のすぐ外にあった。


 見ているのはもちろんヒトツキである。


 だが、彼が見ているそれは、他のそれより一回り体が大きくなっていた。


  そのヒトツキがこちらへ近づいてくる様を見ながら彼は右手を強く握りしめた。


  そして、その手の中には『エンセキ』が一つ入っていた。


  「見守っているだけでは、お前の『兄弟』は生まれない…」


  というコウエンの言葉を彼は思い出していた。

 

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